第四十二話 「 宴と雷火 」昭和十八年 二月
かくして、第二次ソロモン沖海戦は終結した。損耗率も低く抑えられ、圧倒的勝利と言えるだろう。
その夜。酒保は歓喜の声に包まれていた。
窓側の列では、第一部隊と第三部隊が酒と料理を酌み交わしている。
グリム「初手に制空権を奪う作戦、上手く行ったね!第三部隊もお疲れ!」
井上「ありがとうございます!ギリギリの戦いでしたけどね・・・」
ぺい「それでも、皆が帰ってきた。それでよいではなかろうか?」
反省する井上を、ぺいが励ます。その横では、島田が悩んでいた。
島田「そうですね、ありがとうございます。」
「・・・第一部隊のようになるには、どうすれば良いのか・・・」
おちょ「桜少尉を真似すればいいんじゃない?基礎と言えば桜少尉だし。」
おちょが返す。中野は教育隊から直接来たこともあり、
「基礎的な戦い」ならとても上手いからだ。・・・当の本人に、自信はないようだが。
中野「わ、私は教本通りにやってるだけですよ!?」
井上「なるほど。教本を見直してみる、か。中野少尉、ありがとう。」
隣の列では、第二部隊と第四部隊、そして岩井が和気あいあいと語り合っていた。
FV「いやぁ、目があると無いとでは大違いっすね!鏑木中尉、マジ感謝っす!」
普段以上に上機嫌のFV。おそらく酒と雰囲気の影響だろう。
鏑木「ありがとうございます。お役に立てて何よりです。ただ・・・」
さと「あっしからも言わせてもらいます。部隊長、飲み過ぎっすよ・・・」
FVの前には、既に空の一升瓶が2本。3本目も空に近い。
エリンギ「そうれすよ!僕なんへまだ一杯しか・・・」
岩井「エリンギ少尉、話すか食べるかどちらかにしな。」
FV「まあ、限界は分かってるんで大丈夫っすよ!」
普段から飲んでいるからなのか、酒にはめっぽう強いFV。
ただ、ふと見まわすと1名いない。こんかわだ。
FV「全員呼んだはずなんですけどねぇ・・・大尉、こんかわ少尉知りません?」
岩井「こんかわならここだよ。起こさないでやってくれ。」
岩井の膝には、気持ち良さそうにすやすやと眠るこんかわがいた。
岩井「私の戦いについて来れたんだ。相当疲れただろうな。」
FV「え!?ついていけたんすか!?」
岩井「一応、な。着実に成長しているよ。少なくとも、生きて帰っては来れたからな。」
「本人に言いたかったが・・・これではな。」
岩井は優しく、こんかわの頭をなでていた。
宴の後、岩井は司令部に呼び出された。
先ほどまでの戦闘に関する、重要な報告があるらしい。
岩井「失礼する。」
司令「来たか。座ってくれ。艦爆隊の2割喪失の状況だが・・・」
あの戦いの裏で、味方攻撃隊の2割が、「謎の対空砲火」により失われていた。
岩井「近くで爆発したと思ったら、羽根が折れていたという報告を聞いている。」
参謀「近くで爆発、か。三式弾のようなものか・・・」
岩井「ああ。ただ、時間設定は自由自在みたいだ。」
司令「そうか・・・他に情報はないのか?」
岩井「帰還した隊員の多くが、『艦攻隊』だったようだな。・・・高度か?」
参謀「司令、追加情報として、艦攻隊曰く『かなり手前で爆発』したそうです。」
司令「やはり、高度に何か秘密があると見た。近く南方作戦会議で議論しよう。」
「参謀、岩井大尉、情報感謝する。」
こうして、「謎の対空砲火」に対する研究が始まった。




