第三十七話 「 制空殺し 」昭和十八年 二月
第四部隊の誘導を受け、敵空母に向け飛行中、追加の報が入った。
鏑木「グリムさん、井上さん、飛行隊長。制空隊が離陸準備を整えました。」
グリム「まずいね・・・雪奈大尉、どうしましょう?」
井上「間に合わないかもしれませんね・・・」
三人が心配する中、岩井は、かなりあっさりと答えた。
岩井「問題ない。それより、空母の直近で戦う方が危険だ。」
「高度1000まで泳がせる。鏑木中尉、触接よろしく。」
鏑木「かしこまりました。」
そして第一部隊は、未だ整っていない敵のはるか上を抑えた。
グリム「皆、他の敵機は?」
中野「左舷、敵影ありません!」
おちょ「右側もなし!」
ぺい「上も空しか見えませぬな。となればグリム殿、号令を。」
グリム「うん。全機、降下開始!」
第一部隊24機が、鈍重な米軍機の群れに勢いよく襲い掛かった。
敵はF4Fが20機、ちょっと違うグラマンが8機の計28機。ほぼ同数。
最初の一撃は、降下耐性の高いグリム隊・ぺい隊が叩き込んだ。
ぺい「低空だと、グラマンもボロボロですな!」
グリム「こうやって鈍重なやつを、勢い付けて墜とすのが一番楽しいね!」
若干黒い笑みを浮かべながら、それぞれの12.7粍4門が火を噴く。
グラマンは確かに高速でそこそこ曲がる。だが、それは中高度以上の話。
最優先で新型グラマンを狙い、グラマンは避ける間もなく海面に没した。
おちょ「くっそぉ!二人ともずるいですよ!」
中野「ちょっ、おちょ中尉!速度は気を付けてくださいね!?」
おちょ隊・中野隊も射撃を開始。20粍がF4Fの各所を貫き、束となって墜ちていく。
攻撃を終え上昇する頃には、敵は7機まで減っていた。
中野「今のでだいぶ減りましたね・・・」
おちょ「敵も混乱してるみたいだし、グリムさん!再攻撃しようよ!」
グリム「ちょっと待って~、今機首戻すから!」
ぺい「おちょ殿、機持ちは分かりまするが、飛燕は零戦ほど曲がりませんぞ。」
おちょ「そういえばそうだった!」
そして、グリム達の飛燕が機首を下に戻し、再攻撃が始まった。
機数は3倍以上、高度もエネルギーも圧倒的に有利。
―結果は、攻撃する前から見えていた。
中野「―これであと6機です!」
おちょ「よし!あと5機!」
ぺい「これで4機でござる。」
1機、また1機とグラマンが墜ちる。
全機が降下を終えるころには、見渡す空にグラマンはいなかった。
グリム「雪奈大尉!こっち殲滅しましたよっ!」
岩井「殲滅か。損害は?」
グリム「ほっとんど誰も被弾なし!」
岩井「了解、よくやった。弾薬はどうだ?」
グリム「次に備えて戻ります!」
岩井「それが賢明だな。私もこれを片付けたら戻るよ。」
グリム「その間はFVさん、お願いしますね!」
FV「へいへい、分かってますぜ。」




