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第二十七話 「 現地改造 」 昭和十七年 十二月

第二部隊がガダルカナル占領支援に出る、数日前。

大戦果を抱えて防空戦から帰ってきたエリンギだったが、

格納庫で深いため息をついていた。


エリンギ「・・・またか。これじゃ、ただの鉄の棒だよ・・・」


翼内、機首に計4門ある12.7粍重機関銃の銃身は、

先ほどの乱戦で過熱し、無残にも焼き付いて歪んでいた。

整備主任が申し訳なさそうに頭を掻く。


整備主任「少尉殿、申し訳ねぇ。」

    「今、うちの補給処にあるホ103の予備銃身は・・・あと2本です。」

    「翼内か機首、どちらか片方で、在庫は底をつきます。」

エリンギ「2本・・・防空出撃はいつあるか分からないし・・・」


エリンギは顔を上げ、周囲を見渡した。

このラバウル基地は、大本営が「前線の補給基地」にしようとしているおかげで、

補給物資の量だけは異様に多い。しかし、それはあくまで「一般的な」物資の話だ。


エリンギ「ん?あれは・・・機銃?そして20粍か・・・」


その時、エリンギの視線が、整備工場の奥に置かれた頑丈な木箱に止まった。

そこには、内地から「試験用」として届いたばかりの、

新型「ホ-5」20粍機関砲が眠っているはずだった。


エリンギ「ねぇ、班長。いいこと思いついたんだけど。」

整備主任「少尉殿・・・その目は、ろくな事じゃない時の目ですよ。」

エリンギ「いやいや、名案だよ。予備がないなら、あるものを使えばいい。」

    「あのホ-5、鐘馗の翼に突っ込もう!」


整備主任は絶句した。


整備主任「正気ですか!?・・・いや機体は鐘馗ですけど・・・」

    「あいつは20粍ですよ!?ホ103とは重さも反動も訳が違います・・・」

エリンギ「大丈夫大丈夫!重戦闘機の鐘馗なら行けるって!」

    「それに、火力も上がれば戦果も上がる!すなわち仕事が早く終わる!」

    「・・・ね?いいことばかりでしょ?」

整備主任「・・・分かりました。ただ、責任は負いませんよ!」


それから数時間、掩体壕の中では火花が散り、金属を削る凄まじい音が響いた。

本来は一回り小さい機銃が入るスペースに、無理やり20粍機関砲を押し込む力業。

翼の点検蓋を加工し、補強板を噛ませ、弾倉の送弾経路を強引に曲げる。

それはまさに、「魔改造」と呼ぶにふさわしい光景だった。


エリンギ「ぱんぱかぱーん!完成!これぞ、鐘馗一型丁!」


汗と油にまみれたその顔は、会心の笑みを浮かべていた。


エリンギ「どうです整備主任!これなら・・・」


振り返ると、巨漢の男・・・FVが立っていた。


FV「おせぇと思ったら・・・なにこれ。」

エリンギ「え?機体の修理ですよ?」

FV「明らかに翼内機銃がちげぇじゃねぇか!何したお前!」

エリンギ「ホ103の在庫がなかったんで、置いてあったやつで代用しました!」

    「それに、火力も上がれば戦果も上がる!すなわち仕事が早く終わる!」

FV「だから昼寝の時間が増える・・・ってか?」

エリンギ「よく分かりましたね!流石部隊長、天才ですか!?」

FV「はぁ・・・どうせそんなこったろうと思ったわ。」


エリンギがボケて、FVがツッコミを入れる。何かと相性のいい二人だ。


FV「ってか、火力上げたっつったけど・・・何つけた?」

エリンギ「その箱のやつですね。」

FV「『試験用 新型20粍機関砲 ホ-5』・・・お前試験部品かよ!!!」


その叫びは、向かいの格納庫まで響き渡ったという。

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