5-A 飛起! いつもここからはじまるよ!
5秒でわかる前章のあらすじ
「アルカ! おま、野生児だったんか‼︎」
「ジリリリリリリリリリリリリ↑ィリリ↓ィリ↑ィリ↓ィリ↑ィ! 朝だあああああああっ! 朝が来たぞおおおおおおおおおおお朝の五時でございますよおおおおお‼︎ 今日もお茶漬けだよおおおおおおおお!」
掛け布団を蹴り飛ばし、敷布団の上でハンドスプリングして立ち上がる。
…………おはようみんな! 私の名前は白雨存華! ここは私の家! 日本家屋なんだよ!
なぜこんなに元気かって? ……うーん……と
「なぜなら今日は! 休日だからああああ!」
休日じゃなくても元気だけど!
私は布団を畳み、押し入れに突っ込んだ後、居間の扉を開けて玄関前にある階段を駆け上がった。
「おはようございます! 今日のラジオテーマはぁぁぁぁ⁉︎ 運⭐︎命! デデデデーン‼︎ デ・デ・デ・デーン‼︎ 今日もげんきに! 運命の! 扉開けてぇぇぇぇぇ‼︎」
踊り場まで上がり切り、左の部屋……私の父親の部屋の扉を勢いよく開放した。
実はそこにはエルと名乗る、天使の少年(高校生くらい)が居座っている。天使軍の皆さまのご意見で、私の家にはエルだけでもいいから居候させることになっている。恐らく、いつハイジュウが来ても対処できるようにするためだとは思うが、本当にそうなのかどうかは知らない。
「エルー! おは……おはようぅ⁉︎」
つい声が裏返ってしまった。
部屋の中に、エル……はいたが、もう一人いたのだ。
「おはようございます、アルカさん」
「マ、マニさん……もしできたら、家に上がる前に事前連絡をお願いしたいです……」
相変わらず左目に眼帯をつけているマニさんは、腕組みをして仁王立ちでそこにいた。
一方で、エルは少し離れたところで、どこか不満げにしながらあぐらをかいていた。恐らく、マニさんに何かしらをこっぴどく言われたのだろう。
「僕は……言ったからね……」
彼は、マニさんを下から覗きながら……いや、睨みながら頬を膨らませた。
「——アルカさん」
彼女の声は冷たくて、いつしか聴いたことがあるものだ。
たしかその時は、首元に鎌の刃を当てられたっけ。
「はい……」
一体彼女に何を言われるのか、と私は体を強張らせた。
万が一、彼女が斬りかかってきてもいいように。低く、重心を低く落とした。
なぜなら彼女は、エルと違ってとても疑い深くて、誤ちは躊躇なく罰するタイプの、『正義の味方』だから。
「————しましょう」
「……え?」
「『訓練』! しましょう! 今日から! このままだとアルカさん、直に死んじゃいますよ!」
ついでにもう一個思い出した。
彼女は、「戦場のママ」だった。




