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NEW・アルカディア!  作者: 祝 冴八
[DAY4]絆よ
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31/64

4-F 鎮静! 映えある今日にサヨウナラ!

五秒でわかる前回のあらすじ

「超⭐︎エキサイティング‼︎‼︎」



「今回……アルカさんに集りましたよね、ハイジン」

「…………そうだね」

「何か、胸騒ぎがします」


「奇遇だね。僕もだよ」




「エル、お風呂上がったよ!」


 ナウ、日本家屋の我が家。


 私がガチャリとドアを開けると、黙々と座卓に向かっているエルがいた。


「……また本読んでるの?」

「うん、そうだよ」

「あれ、マニさんは?」

「マニは軍基地へ帰ったよ」

「なーんだそうなの」


 そうだよ、と相槌を打ちながら、一ページだけをパラリと捲る。


「ねえ、今なんの本読んでるの?」


 表紙を見ればギャラクアス語。でもまだ私には文法がわからない。


「評論文だよ」

「ふーん、面白い?」

「面白い……かもしれないね。別に好きではないけれど」


 好きじゃないのに読むんだ……何故だ……私は本は好きな物を読むべきだと思う。あれかな、買ったけどいざ開いてみたら面白くなかったってやつかな。


「色んな人の意見を知ってた方が、後々楽になるからね」


 おい作者! 今の地の文描き直して‼︎ 恥ずかしいこと言ったから!


「そ、そうなんだ、すごいね……」

「なにもすごくなんてないよ。実際、ただ読んでるだけだし」


 彼はまた本をパラリと捲った。

 体感だが、彼の読書速度はかなり速いとわかる。


「ねえ、私も一緒に読んでもいい? 読めないけど」


 すると彼は少し不思議そうな顔をした。しかしすぐに、いつもの優しい笑顔へと移ろい、本をうつ伏せにして卓上に置く。

 ……それ本が傷つくよとか言わない。言わないぞ私は。


「いいよ。じゃあ、わからないところがあったら教えるね」


 気がつくと、私の身体が持ち上げられていた。

 ひょいっと移動させられ、彼の股の間にちょこんと座らされた。


「はい、これで読みやすいと思うよ」


 彼は私の身体の横から腕を伸ばして本の端を持って広げた。

 まあつまり、構図として、私の前にある物から、「本→私→エル」の順番になっているということだ。

 確かにエルは私よりだいぶ身長が高いので、彼の視界からさほど障害にはなっていないようだ。


「……ここ、読めない」

「ここかぁ……うん、単語自体が『始まり』だけど、この文法だと『開闢(かいびゃく)』の意味だと思うよ」

「かいび……? え? なに——?」


 そんな風にしながら、彼は私のペースに合わせてゆっくりページをめくってくれる。綴られた文字はほとんどわからない。だが、時々知っている単語を見つけ、それらを繋げて文を想像しているだけでとても楽しかった。

 ただ、今の体勢、密着しているので当然なのだが、とてもちょうどいい感じに暖かい。風呂上がりであるにもかかわらず、その上人肌に触れているというダブルパンチである。つまり、めちゃくちゃ眠くなってきた。


 ——エルだったら、私がこのまま寝ちゃっても許してくれそうだな。


 寝ぼけていたか、不覚にもそんな思考が頭をよぎった。


 ——だめだよ。寝るならもっとスッと寝ないと。

 ——大丈夫だよ。寝ちゃえ寝ちゃえ。


 私の頭の中の天使と悪魔……! どっちも意見一緒やんけ‼︎

 などと思ったがしかし、争う前に目蓋が無意識に閉じてしまった。

 静かに紙の擦れる音と、窓の向こうの虫の声が子守唄になり、私の眠気をより誘いに来る。



 ——彼が父親の寝巻きを着ていたからか、


 私の口がポツリと溢してしまった。




「————お父さんの、匂いがする…………」




 久しぶりな、そんな暖かさに包まれながら。


 私はゆっくりと夢の中へ落ちていくことになった。










「アルカ、君は…………いつも僕の想像を超えるね」







「……君が光じゃなかったとしても……もしかしたら僕は、君を手離すことはないかもしれない」



 少年は、少女の髪を静かに撫でた。




4章はこのお話で終了となります。毎日投稿にお付き合いいただき、誠に有難うございました。皆様ごゆっくりお休みくださいませ。

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