不思議な猫
審査が終わったあと俺は屋上に居た。
別に自殺を考えてたわけではない。
ただ空が見たかったのだ。
俺は仰向けになり手を空にかざしていたが、空は思った以上に遠く手を伸ばしても届かない。
『何もせずに、何も考えずに空を見るのもいいもんだな』
俺はゆっくりと目を閉じた。
俺が眠ってからどれだけ時間がたっただろう。
目を開けるとそこには俺の顔を見ている女の子がいた。
『もう、やっと起きた。こんなところで何してるの?』
見覚えのある顔にそれは眠たそうに目をこすりながら欠伸をした。
大きな欠伸をしたあとに彼女に問われた質問に答えることにした。
『別に•••何も』
そう答えると彼女は不機嫌そうに立ち上がって
『そう•••それで今日能力審査あったでしょ?
どうだった?』
と彼女は笑顔で振り返りながら言った。
今の俺には一番言って欲しくない質問で少し言うのを躊躇していると
『悩み事だったらこの幼馴染の私がなんでも聞くよ!』
と、どんと来いと言わんばかり胸をはっている。
しかし彼女とは裏腹に張っている胸が余りにも小さい、B?いやAか?と考えて見たものの今は関係がないと思考を停止させ彼女の意見に乗ってやることにした。
『本当にか•••?なら絶対クラスや他の奴らにいうなよ!』
というと彼女は勿論と態度が大きくなる。
やはり少し戸惑ってしまうが言うことを決めた。
『俺の能力は••••無かった』
ついに言ってしまった。もうどうとなれと腹をくくり彼女の反応を待った。
『へぇ~ そうなんだ!』
おいおいおい 待ってくれ。なんだその反応は。
俺の考えてた反応と180度違う反応に俺は唖然としてしまった。
『へぇ~そうなんだ! じゃねーだろ!
もっとこう哀れむそうな反応するだろ普通!』
俺は少し怒鳴るようにいうと
『だって、別にいいじゃん能力なくても!
そんなことより早く帰ろっ!日が暮れちゃうよ』
おいおいおい こいつは天然か?それともバカなのか?!
こいつから聞いておいて早く帰ろとかふざけてるだろ。
いや、そんなことは無かった。なぜならこいつとは小さい頃からよく遊んだりしている中だ。
思い返せばこいつはただ単に阿保なのだ。
阿保に天然が加わりもう手の施しようがない。
俺はしぶしぶ立ち上がり帰るようにした。
学校を出て商店街へ行き今夜の晩飯の材料を買う。
彼女も俺も田舎町から出てきている。
今はそれぞれ違うアパートを借り学校に通っている。
だから自分で料理や洗濯など色々とやらなければいけないから大変だ。
たとえどれだけしんどかっても栄養が片寄って健康を損ねるのはいけないので以外に真剣に考える。
『今夜は•••そうだなシンプルに漬物に味噌汁にそれと魚でいいかな』
と独り言のようにいうと
『えー、肉もいれようよ!』
待ってくれ。こいつはなんなんだ。まるで自分も食べるように言ってるではないか。
『お前来るのか?』
と嫌そうにいうと
『ダメ?』
ダメに決まっている。
今日はゆっくり休みたいのにこんなやつがくると一晩中トランプやゲームでオールしてしまう。それだけはなんとか避けなければ。
『そりゃダメだろ。 ちゃんと飯は自分で作れ。』
彼女は仕方なく諦めたようで食材を選び始めた。
なんとか阻止できたようでおれはほっとした。
チリン。
なんだ?鈴のような音が聞こえる。
チリリン。
やはり聞こえる。どこからだろう?
音のなる方に顔を向けるとそこには猫がいた
『あの猫••••』
そうつぶやくと俺はなぜかあの猫と会わなければいけないような気がした。
彼女は食材探しに必死になっている。
『これちょっとこれ戻しといて!頼んだ!』
というと俺はネコの居た方に走って行った後ろからは
『ぇ?! ちょっとまって!ねぇ!』
と彼女は言っている気がしたが気にせずに走って行く。
猫を追って何分がたっただろう。
追いついた場所は大きな廃墟だった。
所々天井が崩れておりその部屋の真ん中に堂々と寝ている猫を発見した。
俺が息を切らしながら近寄るとゆっくりと猫は起きた。
『なんだてめーは! なぜこの場所がわかった!おれのお気に入りの場所なんだぞ!どうしてくれる!』
いきなり起きたかと思えば暴言の嵐。
しかも俺はまだ何もしていない、それどころか息を切らして立っているのがやっとなくらいだ。
しかもこの猫普通に日本語をしゃべってやがる。日本語をしゃべる猫なんて聞いたことがない。
『なんだよ急に俺はなにもしてないだろ!』
必死に反論したが猫はやる気満々で毛が立っている。
『てめーの能力はなんだ!別に言わなくていいがな!ハッ!てめーの能力は••••』
なにをいってやがる能力が分かる?そんな訳がない。それに猫だぞ?猫になんて能力がわかるわけがない、そう思っている俺の考えとは裏腹に猫は不気味に笑っていた。
『ハハハハハ! まさかな!お前能力がないだろ!これは傑作だ!笑い過ぎて腹がいてぇ』
猫は馬鹿にしたように笑転がっている。
それどころか猫は俺に能力がないことを的中しやがった。全くこの猫はなんなんだ。訳がわからない。
『いやー面白過ぎて笑いがとまらねぇ!
能力なしで俺の前に出てきたのか!ただのアホだな!』
猫はさらに追い打ちをかけるように馬鹿にしてくる。もう泣きたい。
俺は涙目になりながら猫を見ていたが猫はこちらを笑いながら向き直したとたん笑うのをやめた。
さっきとは真逆に真剣に俺の顔をうかがってくる。
『まさかな••••そんなはずはねぇ。
あいつと同じやつがいるなんて•••ありえねぇ。こんなことはあるはずがねぇ!』
なんなんだ。笑ったと思ったら急にブツブツといいやがって。
俺にはこの猫の言っていることが全くわからなかった。
すこしは説明しやがれってんだ。
『まぁいい人間。ケンカはやめだ。それじゃあな。』
というと猫は瓦礫の山から降りどこかへ行ってしまった。
俺は何もする事なくただ短期の猫にケンカを吹きかけられたとおもったら急に出ていかれて呆然としているしかなかった。
『••••帰ろう』
俺は夕暮れを背に家に帰る事にした。




