表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
NOESISーノエシスー  作者: 月乃瀬
神崎マリア編ー出雲霊戦記ー
PR
26/33

第十三話 百鬼夜行

三年。


戦いに明け暮れていた日々が、まるで嘘だったかのように平和な時間が流れていた。


神有月。


今年二十の年を迎えた緋沙良とマリアは、今日、夫婦となる。


街中が祝いの旗で彩られ、


子どもたちは花びらを撒き、


老人たちは涙を流しながら笑っていた。


「本当に良かったなぁ……」


「二人なら幸せになれる。」


「これで出雲も安泰だ。」


出雲王朝の皇子。


そして熊野の巫女。


二人ほどお似合いの夫婦はいない。


誰もがそう思っていた。


誰もが今日という日を祝福していた。


……


マリアは静かに自分のお腹へ手を添える。


まだ誰にも分からないほど小さな命。


(蓮……。)


緋沙良も優しく微笑んだ。


「必ず守る。」


「お前も。」


「この子も。」



その時だった。


ドォォォォン!!


式場の大門が爆発した。


静まり返る街。


黒い煙の中から、


一人の男が拍手をしながら歩いてくる。


「いやぁ。」


「実にめでたい。」


「実に。」


「実に。」


「実にめでたい。」


老人とも青年ともつかないその男。


白い長髪。


翡翠色の瞳。


黒衣。


その左右には、


巨大な二人の鬼が静かに立っていた。


赤鬼。


青鬼。


マリアの顔から血の気が引いた。


身体が震える。


息が止まる。


「あ……。」


「あ……。」


「徐福……。」


その名を聞いた瞬間、


周囲の空気が凍りついた。


「……あれが。」


「徐福。」


緋沙良が一歩前へ出る。


「へぇ。」


「思ったより普通のおっさんじゃねぇか。」


「その場でぶっ飛ばして終わらせてやる。」


徐福は愉快そうに笑った。


「若い。」


「実に若い。」


「安心したまえ。」


「今日は君たちを殺しに来たわけではない。」


「今日は――」


両手をゆっくり広げる。


「ゲームを始めに来た。」


その瞬間だった。


バチン。


指が鳴る。


……


……


地面が揺れ始める。


井戸。


森。


川。


墓。


社。


あらゆる場所から黒い瘴気が噴き上がった。


「な……。」


「なんだ……。」


徐福は笑う。


「この三年間。」


「私は退屈していた訳ではない。」


「日本中から集めた。」


「暴れ足りない者達を。」


瘴気の中から、


次々と異形が現れる。


牛鬼。


馬頭。


鬼。


餓鬼。


飛頭蛮。


大百足。


骸骨武者。


化け蜘蛛。


巨大な蛇。


百。


いや、


それ以上。


百鬼夜行。


魑魅魍魎が街を埋め尽くした。


「さぁ。」


「百鬼夜行の始まりだ。」


「今宵は好きなだけ暴れよ。」


一斉に妖怪たちが街へ雪崩れ込む。


悲鳴。


炎。


倒壊する家屋。


出雲王が立ち上がる。


「総員!」


「民を守れ!」


「出雲革命軍、出陣!!」


戦士達が一斉に武器を取る。


緋沙良も振り返る。


「マリア。」


「お前は絶対に動くな。」


「蓮も。」


「必ず守る。」


マリアは涙を堪えながら頷いた。


その時だった。


出雲王の前へ、


静かに一人の男が歩み出る。


赤鬼。


巨大な両刃薙刀を肩へ担ぐ。


「……。」


何も喋らない。


次の瞬間。


ドンッ!!


地面が爆発した。


一瞬で間合いを詰める。


「速っ――!」


出雲王が剣を抜く。


ガガガガガガッ!!


怒涛の連撃。


出雲王も王として鍛え上げられた剣士。


しかし、


届かない。


一本も。


一本たりとも。


「馬鹿な……。」


最後に赤鬼は静かに薙刀を振るった。


シュッ。


……


……


首が宙を舞った。


出雲王の身体が、


ゆっくりと崩れ落ちる。


出雲中が静まり返る。


平和の象徴が、


たった一撃で斬られた。


緋沙良の瞳から光が消えた。


「……。」


拳が震える。


「てめぇ……。」


「何しに来やがった……。」


徐福は満面の笑みで答えた。


「決まっている。」


「神を殺しに来たのだ。」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ