第十二話 怨霊王
夜はまだ終わっていなかった。
繁華街。
眠らない街。
ネオンが照らす通り。
人々は笑い。
語り。
今日という日を終えようとしていた。
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その片隅にある小さなジャズ喫茶。
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静かなピアノの音が流れている。
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鍵盤を弾いていたのは一人の少年だった。
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天城煌。
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銀紫の髪。
端正な横顔。
長い指先が鍵盤の上を滑る。
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激しい。
だが乱暴ではない。
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まるで剣を振るうように。
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音が生まれる。
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客たちは言葉を失っていた。
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誰も話さない。
ただ聴いている。
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一音。
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また一音。
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その旋律は。
どこか懐かしかった。
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煌はふと思う。
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忘れたい記憶ほど。
人は忘れられない。
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幼い頃。
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天城家。
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父。
母。
家臣たち。
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賑やかな食卓。
笑い声。
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あの日までは。
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――敵襲!!
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悲鳴。
炎。
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燃え上がる屋敷。
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「煌様をお守りしろ!!」
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「何があっても生き延びてください!」
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血。
剣。
叫び声。
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そして。
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炎の向こうに立つ巨大な影。
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煌は目を閉じる。
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記憶を振り払うように。
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最後の和音が響いた。
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拍手。
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煌は軽く頭を下げる。
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「ありがとう」
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それだけ言って店を出た。
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夜風が吹く。
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嫌な予感がした。
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人通りの多い通り。
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そこに異様な集団がいた。
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鎧。
刀。
乱れた髪。
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落武者。
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一人。
二人。
三人。
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十。
二十。
三十。
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五十。
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周囲の人々は笑う。
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「撮影か?」
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「何のイベントだよ」
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誰も気付いていない。
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人ではない。
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怨霊だ。
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煌の表情が変わる。
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「……平家?」
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息を呑む。
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見間違えるはずがない。
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あの日。
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天城家を襲った軍勢と同じ気配。
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◆
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一人の会社員が肩をぶつけた。
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「いてぇな!」
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振り返る。
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次の瞬間。
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刀が腹を貫いた。
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悲鳴。
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逃げ惑う人々。
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そして。
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落武者達が呟く。
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「祇園精舎の鐘の声……」
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「諸行無常の響きあり……」
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死者の詩。
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平家物語。
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◆
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煌は息を吐いた。
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「なるほど」
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「緊急事態か」
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怨霊達が襲いかかる。
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五十体。
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常人なら絶望。
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だが。
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煌は冷静だった。
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「この程度なら」
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肩を回す。
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「四割で足りるな」
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◆
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次の瞬間。
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消えた。
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轟音。
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一体。
二体。
三体。
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鎧ごと吹き飛ぶ。
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拳。
蹴り。
肘。
膝。
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圧倒的な身体能力。
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神話。
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それだけだった。
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五十体。
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三分もかからない。
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だが。
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終わらなかった。
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闇の奥。
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そこにいた。
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巨大な武者。
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他の怨霊とは格が違う。
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空気が重い。
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戦場そのもの。
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煌の鼓動が止まる。
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その姿を。
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煌は知っていた。
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◆
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「そんな……」
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拳を握る。
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「平将門……!!」
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武者が笑う。
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「我は平将門」
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世界が震える。
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「地獄より帰還せし怨霊王なり」
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◆
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将門の目が煌を捉える。
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そして。
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僅かに笑った。
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「ほう」
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「天城の血がまだ残っておったか」
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煌の顔色が変わる。
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やはり知っている。
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◆
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将門はさらに笑う。
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「草薙の剣」
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「まだ失われてはおらぬようだな」
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◆
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炎。
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悲鳴。
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焼け落ちる屋敷。
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幼い自分。
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隠し部屋。
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そして。
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千の兵。
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記憶が蘇る。
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◆
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将門は周囲を見る。
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消えた軍勢。
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そして笑う。
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「今宵は兵が足りぬ」
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夜風が吹く。
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「次は千を率いて参ろう」
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煌の瞳が揺れた。
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千。
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その数字だけで。
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あの日が蘇る。
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◆
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「首を洗って待っておれ」
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将門は闇へ消えた。
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◆
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煌は追わなかった。
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追えなかった。
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生まれて初めて。
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理解した。
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勝てるか分からない相手がいる。
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そして。
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忘れたことのない相手がいる。
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◆
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遠くで雷が鳴った。
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それは。
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怨霊戦争の始まりを告げる音だった。
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