僕のお祖父ちゃんはYouTuber!何でワシは顔出しで孫はガワアリなんじゃ!だって僕は男の娘。小説をお願いします!
うちの家は、ちょっとだけ、いやかなり変わっている。
お祖父ちゃんはYouTuberだ。
しかも、今どき珍しくない「顔出しガチ勢」である。
年齢はそこそこいっているはずなのに、やたらとテンションが高い。
毎日カメラの前で元気に叫ぶ。
「はいどうもー!ワシじゃよー!」
……その画面越しの姿は、近所でも普通にバレている。
なのに本人は気にしていない。むしろ誇らしげだ。
一方、僕。
僕は――お祖父ちゃんの孫であり、そして男の娘だ。
見た目がわりと可愛いらしいこともあって、配信をすると「顔出し希望!」とかコメントが飛んでくる。
でも僕は絶対に顔出ししない。
代わりに使っているのが、いわゆる“ガワ”――アバターだ。
配信では可愛いキャラとして動いているけど、中の人は僕だ。
その設定に、お祖父ちゃんはいつも文句を言う。
「なんでワシは顔出しで、孫はガワなんじゃ!?逆じゃろ普通!」
「時代だよ、お祖父ちゃん」
「時代に負けるな!ワシは勝ったぞ!」
……何に勝ったのかは分からない。
ある日、家で一緒に配信企画をやることになった。
テーマは「祖父と孫の初コラボ」。
お祖父ちゃんは当然のように顔出しカメラオン。
僕はいつものガワを起動する。
「よーし!今日は孫と一緒に世界を獲るぞ!」
「獲らないよ」
コメント欄は大荒れだった。
『情報量多すぎて草』
『祖父強すぎて笑う』
『孫かわいい(中身おじいちゃんじゃないよね?)』
お祖父ちゃんは満足げにうなずく。
「ほら見ろ、ワシの方が人気じゃ!」
「それ多分僕のガワの人気だよ」
その瞬間、お祖父ちゃんは真顔になった。
「……ならば聞くがのう」
「なに?」
「ワシもガワをかぶれば、もっと人気が出るのでは?」
……出ない気がする。
けれど次の瞬間、お祖父ちゃんはなぜかダンボールとペンを取り出し、即席で謎の被り物を作り始めた。
「これでワシも“匿名系YouTuber”じゃ!」
「方向性が昭和すぎるんだけど」
こうして我が家の配信は、
顔出し祖父と、ガワ孫と、謎のダンボールおじいちゃんという混沌へ突入した。
コメント欄はさらに加速する。
『この家族、概念バグってる』
『一番正気なの誰?』
『たぶん猫』
……ちなみにうちの猫は、ずっと配信の椅子で寝ていた。




