西遊記の孫悟空、天竺への旅が面倒だから1000人の分身作って速攻で旅を終わらす小説を書いて下さい!
二次創作です。原作とはまったく関係ありません。
──西遊記・最短攻略ルート──
天界を追放され、五行山をも揺るがして脱出した孫悟空は、今日もいつものように頭をかいた。
「……天竺、遠くね?」
隣では三蔵法師が経文を抱き、静かに歩いている。沙悟浄は荷物を背負い、猪八戒は早くも休憩をねだっていた。
長安を出てからまだ序盤。それなのに悟空はもう悟ってしまった。
「これ、普通にやると何十年コースだろ」
そして、面倒くさがりの妖仙は決断した。
「分身、千体。」
瞬間、金色の光が爆ぜる。
──ボンッ、ボンッ、ボンッ!
山の斜面、川辺、空中、雲の上。ありとあらゆる場所に孫悟空が現れた。
「じゃ、各自ルート分担な」
分身たちが一斉に頷く。
「了解、本体」 「妖怪退治担当いくぞ」 「地図解析完了、最短ルート確保」 「経文護衛班、問題なし」
三蔵がぽつりと呟く。
「……増えましたね」
「効率化だよ、師匠」
猪八戒は目を丸くした。
「オイオイオイ! こんなんズルだろ!」
「ズルじゃない、工夫だ」
悟空(本体)は鼻を鳴らした。
そして旅は、もはや“旅”ではなくなった。
ある分身は東の妖怪山脈を一瞬で制圧し、ある分身は龍宮に行って通行許可をもぎ取り、ある分身は地獄に降りて閻魔大王に「すまん通る」とだけ言って道を開けさせた。
天竺への道が、文字通り“同時並行処理”されていく。
三日目。
「経文ルート安全確保しました」
「妖怪全滅しました」
「仏門通過申請、承認済みです」
千の報告が空に響く。
四日目。
天竺が見えた。
五日目。
到着した。
三蔵は静かに手を合わせた。
「……早かったですね」
悟空本体は空を見上げる。
「これが文明の勝利ってやつだな」
猪八戒は疲れ果てて寝転がった。
「俺の出番、ほぼねぇじゃん……」
だが、その瞬間。
天竺の仏たちがざわついた。
「何千もの悟空が同時に到着しているぞ」 「規格外すぎる……」 「旅という概念が壊れた……」
そして、釈迦如来は静かに笑った。
「面白い。だが、これもまた一つの悟りである」
悟空は肩をすくめた。
「だろ?」
こうして西遊記は、誰も想定していなかった最短記録──五日で終了した。
ただし後世の記録にはこう書かれる。
『孫悟空、旅をサボるために世界の概念を少し壊す』




