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続きを書いて下さい! 。その後、主人公の元に居候する為に会いに来た雪女の見た目可愛い男の娘が主人公の所に居候する展開でお願いします!

更に別バージョン

居候が始まって三日目。

青年の部屋は、少しだけ“冬寄り”になっていた。

といっても雪が積もっているわけではない。

ただ、空気が妙に澄んでいて、エアコンの設定温度より体感が低い。

原因は明白だった。

「ねえ、それ何してるの」

キッチンの前で、雪女(見た目は可愛い男の娘)が鍋を覗き込んでいる。

「料理」

「見ればわかるけど……なんで氷が浮いてるの?」

「冷やした方が美味しいと思って」

「思わないでほしい」

鍋の中には、明らかに冷気が混ざっていた。

スープが凍りかけている。

青年は頭を抱える。

「お前、ここに来てから“冷やす”ことしかしてないぞ」

「だって雪女だし」

「開き直るな」

しかし、彼は悪びれない。

むしろ少し楽しそうに、スプーンでスープをつついている。

「でも、悪くないよ」

「本当か?」

「ちょっとシャリってするけど」

「それは失敗だ」

そんなやり取りをしていると、インターホンが鳴った。

「……誰だ?」

「宅配?」

「頼んでない」

青年がドアを開けると、そこには配達員ではなく――

妙にフリーズした隣人が立っていた。

視線の先は、当然のように室内にいる“白銀の少年”。

「え、えっと……弟さん?」

「違う」

即答。

雪女は普通に鍋を持ったまま振り返る。

「何?」

隣人は数秒固まり、そしてゆっくり頷いた。

「……そういう感じの人なんですね」

「どんな感じだ」

青年は扉を静かに閉めた。

「誤解が加速するやつやめろ」

「人間社会、難しいね」

「お前が原因だ」

だが当の本人は、まったく気にしていない様子で鍋を見つめている。

「ねえ」

「なんだ」

「ここ、ずっといていいの?」

その問いは、以前より少しだけ小さかった。

青年は一瞬だけ黙る。

そして、普通に言った。

「もう住んでるだろ」

「……そうだけど」

「今さらだ」

そう言うと、彼は少しだけ視線を逸らした。

「追い出されるかと思ってた」

「なんで」

「妖怪だし」

「前にも言ったけど、それで出す理由にはならない」

その言葉に、彼はほんの少しだけ目を丸くした。

そして、ぽつり。

「……変なの」

「お互い様だろ」

その瞬間だった。

鍋の中から“ぱちん”と小さな音がした。

見ると、スープが完全にシャーベット化していた。

「おい」

「……冷やしすぎたかも」

「かも、じゃない」

青年はため息をつく。

だが次の瞬間、彼はくすっと笑った。

「でもさ」

「ん?」

「ここ、悪くないね」

そう言って、スプーンで凍りかけのスープをすくう。

しゃり、と小さな音。

「人間の部屋って、うるさいけど暖かい」

「褒めてるのかそれ」

「たぶん」

あいまいに笑うその横顔は、雪山で見たときよりもずっと柔らかかった。

青年はふと気づく。

この部屋の温度は確かに下がっているのに、

なぜか悪くない。

むしろ少し、居心地がいい。

「なあ」

「何」

「お前、名前どうするんだ」

「名前?」

「ずっと“お前”とか“雪女”だと不便だろ」

彼は少し考えてから、首をかしげた。

「じゃあ、君がつけてよ」

「俺が?」

「うん」

あまりに自然な返答だった。

青年はしばらく悩み――そして適当に口を開く。

「……ユキ」

「そのままじゃん」

「文句あるなら自分で考えろ」

「ないよ」

即答だった。

そして、少しだけ嬉しそうに目を細める。

「じゃあ、ユキでいい」

その瞬間、部屋の空気がほんの少しだけ軽くなる。

雪の気配はそのままに、なぜか冷たさだけが和らいだ。

ユキはスプーンを置いて、静かに言った。

「ねえ」

「なんだ」

「僕、ここにいてもいい理由、少しわかったかも」

「どういう意味だ」

「理由って、たぶん“あるからいる”じゃなくて、“いるから理由になる”んだね」

青年は一瞬、言葉を失った。

そして小さく息を吐く。

「……難しいこと言うな」

「妖怪だからね」

そう言って、ユキは小さく笑った。

その笑顔を見ながら、青年は思う。

――この冬は、長くなりそうだ、と。

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