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魔術師の男の娘が弟子の男の娘にイタズラされる小説を書いて下さい!

石畳の床に、魔法陣の淡い光が揺れていた。

古い塔の一室。そこは、王都でも有数の魔術師——セリオスの書斎であり、研究室でもある。

「……で、また失敗したのか」

低く響く声に、弟子の少年は肩をすくめた。

銀色の長い髪を結い、華奢な体にローブをまとった男の娘の魔術師——セリオスは、机の上の焦げた巻物を指先でつまみ上げる。

「し、師匠……今のは不可抗力でして……!」

弁明する弟子の男の娘——リュカは、同じく中性的な可愛らしい顔立ちをしているが、まだ見習い魔術師の域を出ない。

「不可抗力で書庫が煙だらけになるとはな」

「うぅ……」

リュカがしょげるのを見て、セリオスはため息をついた。

——その時だった。

「……今だ」

小さな声とともに、リュカの指先がひそかに動く。

机の下に仕込んでいた小さな魔法陣が、こっそり起動した。

「ん?」

セリオスの足元が、ふわりと浮く。

「なっ——!?」

次の瞬間、彼の身体はゆっくりと宙に持ち上げられ、ふよふよと書斎の中を漂い始めた。

「リュカ」

「は、はいっ!?」

「これは何の魔法だ」

声は静かだが、目は笑っていない。

しかしリュカは、どこか誇らしげに胸を張った。

「師匠の足元に、重力を一瞬だけ反転させる簡易魔法陣です! 昨日、師匠の古い研究ノートから応用して……!」

「勝手に読むな」

「すみません!」

宙に浮いたまま叱られるセリオス。しかしその髪はふわりと広がり、いつもより少しだけ……間抜けな光景になっていた。

それを見たリュカは、思わず吹き出す。

「ふふっ……師匠、浮いてるとちょっと可愛いですね」

「……ほう」

空気が変わった。

次の瞬間、セリオスの指が軽く動く。

パチン、と音が鳴ると、今度はリュカのローブの袖が勝手に動き出す。

「えっ、ちょ、ちょっと待ってください師匠!? 何か変な感覚が——!」

袖が勝手に結ばれ、次に髪がふわりと編み込まれ、さらに足元には小さな魔法の靴が浮かび上がる。

「弟子が師匠にいたずらをした場合」

セリオスはゆっくりと宙で姿勢を直しながら言う。

「倍返しが慣例だ」

「そんな慣例聞いたことないです!!」

塔の中に、しばらくリュカの悲鳴とセリオスの静かなため息、そしてどこか楽しげな魔法の音だけが響いた。

やがて——。

ふたりは並んで床に戻っていた。

リュカは髪を綺麗に結われたまま、妙に整った姿勢で正座させられ、セリオスは本を読みながら紅茶を飲んでいる。

「……次にやるときは」

「や、やる前提なんですか!?」

「もう少し上手くやれ」

「褒めてるのか怒ってるのかどっちですか!?」

セリオスは視線を上げずに、ほんのわずかだけ口元を緩めた。

「どちらでもない。ただ——退屈しないのはいいことだ」

リュカは一瞬ぽかんとして、それから顔を赤くした。

「……それ、ずるいです師匠」

静かな塔の書斎。

今日もまた、魔術の修行という名目の下で、師弟の“いたずら合戦”は続いていくのだった。

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