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おっさん冒険者、可愛い男の娘に懐かれてまんざらでもない冒険生活を満喫する小説を書いて下さい!

街道の先に、くすんだ石造りの町が見えた。

「……やっと着いたか」

革鎧の上から外套を羽織った男が、肩を回しながら息を吐く。年齢は四十前後。かつてはそこそこ名の知れた冒険者だったが、今は一線を退き、気ままな依頼をこなすだけの“おっさん冒険者”だ。

今回の依頼は、薬草採取と護衛を兼ねた簡単なものだったはず――だったのだが。

「ねえねえ、まだ歩くのー?」

背後から、軽い足取りが追いついてくる。

振り返ると、そこにいるのは小柄な少年……いや、少年に見える少女……でもない、どこか中性的な顔立ちの“可愛い男の娘”だった。淡い色の髪が風に揺れ、ぱちぱちとした目でこちらを見上げている。

「お前、ほんとに冒険者ギルドの見習いかよ……」

「見習いじゃなくて、もう一人前だよ!たぶん!」

自信満々に胸を張るが、その様子が妙に危なっかしい。

この少年――リオは、町のギルドでたまたま組まされた相手だった。最初は“足手まとい確定”だと思っていたのだが。

蓋を開けてみれば。

魔物の気配にいち早く気づき、罠を避け、妙に勘が鋭い。

しかも、妙に懐く。

「ねえ、おっさん。今日の夜ごはんなに?」

「おっさん言うな。あと勝手に決めるな」

「でも一緒に依頼だし、パーティーじゃん?」

「……勝手にパーティー扱いすんな」

そう言いながらも、男は完全には突き放さなかった。

自分でも分かっている。

この若造は、たぶん危なっかしいのに、妙に放っておけない。

夜。

焚き火の前で、二人は簡単な携帯食を広げていた。

「おっさんってさ」

「……あ?」

「昔はすごかったの?」

火を見つめたまま、リオがぽつりと聞く。

男は鼻を鳴らす。

「昔話なんて酒の席でするもんだ」

「今は酒ないじゃん」

「だからだよ」

短く返すと、リオはくすくす笑った。

「でもさ、今もすごいよ。あのオーク三体、普通に倒してたし」

「仕事だ」

「それでもすごい」

まっすぐな言葉に、男は少しだけ視線を逸らす。

褒められることには慣れていない。

ましてや、こんな子供みたいな顔で真剣に言われると、なおさらだ。

「……お前は?」

「ん?」

「なんで冒険者やってんだよ」

リオは少しだけ考えてから、笑った。

「なんとなく?」

「なんとなくで命張るな」

「でもさ」

焚き火がぱち、と音を立てる。

「おっさんと一緒だと、ちょっと楽しいから」

その一言が、やけに軽くて。

やけに真っ直ぐで。

男は言葉に詰まった。

「……バカか、お前」

「えー、ひどい」

そう言いながらも、リオはまったく気にしていない様子で笑っている。

その顔を見ていると、不思議と悪い気はしなかった。

翌日からの旅は、少しだけ変わった。

リオは相変わらず懐いてくるし、どうでもいい話を延々としてくる。

「おっさん、次の町ついたら甘いパン食べようよ」

「仕事終わってからな」

「約束ね!」

「勝手に約束増やすな」

そんなやり取りが、いつの間にか日常になっていた。

そして男は気づく。

――自分はもう、昔みたいに“孤独な冒険者”ではいられないのかもしれない、と。

焚き火のそばで寝転ぶリオを見ながら、男は小さく息を吐いた。

「……まんざらでもねぇな」

誰にも聞こえないくらいの声で。

そして、隣で寝息を立て始めた“やたら懐く男の娘”の頭に、そっと外套をかけた。

旅はまだ、始まったばかりだった。

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