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雪のゲーム

「さて、では始めましょうか」



 麻雀卓に着き、優稀菜がそう切り出した。



「あんたが『ユキ』さんか。優秀な『なんでも屋』で、今のところ負け知らずっていうことで有名なおひとは」

「…………」



 福田が挑発気に言うが優稀菜は無視。



「不正が行われないように、一応、両者に監視をつけるぞ」

「ええ、どうぞ」

「へっ。おい」



 福田が自分の部下らしい男ふたりを俺と優稀菜の後ろに付けさせる。……不正なんてしないのに。

 優稀菜が言うに「俊ちゃんはあくまでも防御に徹していて。攻撃は優稀がするから俊ちゃんは手牌が揃っていない限り、振り込まないようにしていてね」とのこと。

 ってわけで俺は基本、防御だ。



「ルールは半荘一本勝負。喰いタンあり、ふたり同時ロンはその時点で流局、大車輪などローカルルールは無し……以上だが、なんか問題あるか?」

「へっ、りょうかーい」

「構いません」



 ルール確認終了。俺たちは東西南北の牌をひとつずつ取る。結果、東家は福田、南家は優稀菜、西家は俺、北家は福田の相方だ。



「じゃあ、東一局を開始してくれたまえ」



 馬場さんのその言葉を受け、東一局が幕を開けた。



     ❁ ❁ ❁



「(さて……テンパった……)」



 杉並俊輝の手牌は四筒を切ればタンピンの三四伍の三色、ドラ2と赤ドラあり、待ちは六・七萬、リーチすれば倍満まである高目。

 しかし、俊輝は福田の捨て牌を見て考える。



「(福田の捨て牌……あれは三・六の筒子か萬子待ち……。まぁ、テンパっているのならだけど。こっちは振り込むなって言われているしな。……しょうがねぇや)」



 俊輝は伍筒を切った。振り込まないことを最優先した結果だった。と同時に相手がどういう反応をするのかを見るためだ。

 続いて福田の相方が打ち、福田のツモ。



「(正面の奴……俺の待ち、若干わかっているな?)」



 福田の待ちは筒子の三・六両面待ちのホンイツ・發。高目が四筒でイッツーの跳ね満……俊輝が予想した通りだった。

 俊輝が萬子も待ちだと勘違いしたのは、今まで萬子を福田が引いておらず切ってもいなかったから。



「(鋭いやつだな。だが、俺はこれで通させて貰うぞ。なぁに、ツモればいいだけさ)」



 福田がさっき引いた三筒を切った。



「(それにしても……)」



 福田は隣に座ってツモ切りをしている優稀菜を見る。



「(この女……テンパってやがるのか? さっきっからツモ切りばっかだ。もしテンパっていやがるとしたら面子がわからねぇ)」



 優稀菜の捨て牌を見て福田は嘆息する。さっきから優稀菜は四・伍・六系統を切っていた。字牌を集めているかと思ったら約牌や風牌を切ったり、ジュンチャンかと思えば一・九牌を切ってくる。しかし、福田が待っている牌だけは絶対に切らない。



「(ちっ。薄気味わりー女だぜ。顔は可愛いのによぉ……おっと、俺のツモか)」



 福田が牌に手を伸ばす。来た牌は……四筒。



「ツモ! 4000オールだ!」



 福田は得意気に宣言する。しかし、優稀菜の顔を見た瞬間にその笑顔は凍りついた。



「(わ、笑っていやがる……!)」



 優稀菜は、笑っていた。ただ笑っているだけではない。まるで……自分の予想通りに動いたかのような笑みだった。



「(ふ、ふんっ。笑っていられるのも今のうちだ! 流れは俺のものだ!)」



 福田は自分が高目で和了ったというのに、酷く居心地が悪そうな顔をした。






              To be continued

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