雪のポケットマネー
「……なんとか逃げられたな」
「……ふぅ……びっくりしたの……」
タクシーの中、鏡花からの逃走に成功した俺と優稀菜。……ふふふ……俺、家に帰ったら鏡花に殺される……。あいつ……強くなってたな。どうやって強くなったんだろう。
「いやぁ……俊ちゃんにお姫様だっこされちゃった♪」
優稀菜は機嫌よさそうな顔をしているけど……本当は嫌だったんだろうな。彼氏でもない男にあんなことされて。俺を傷つけないようにしているだけだろう。嬉しいぞ、優稀菜。
「で? これからどうするんだ?」
「安心してね。これからこのタクシーは優稀たちを目的地まで連れてってくれるから。運転手さんにはもう、お金は払っているから大丈夫なの」
運転手さんは優稀菜ほその言葉に頷いていた。肯定の意味だ。
「それで、そのトランクケースの中身は何だ? 意外に重かったぞ」
俺は優稀菜が持っているトランクケースを指差して訊く。
「ん? ああ。この中身には三千万円入っているんだよ~」
「へぇ……え!?」
ワンテンポ遅れて驚きの声を上げる俺。さ、三千万!? 相当の額だぞ。
「い、いいのか? そんなに持って行って」
「大丈夫。これは優稀の全財産の一部なの」
……「なんでも屋」のときに相当稼いでいたのは知っていたが、そこまでとは……。優稀菜の力の強さを改めて痛感する。
金の額の大きさは優稀菜のような「なんでも屋」、または暴力団などでは大事なステータスだ。それだけ儲けているということは、それだけの実力を有していることを表している。……とんでもないやつを親友にしたな、俺。
「それにね、このお金の半分は俊ちゃんの賭け金だよ?」
「え?……い、いやっ、そ、そんなこと……っ」
突然の巨額の大金が俺の元に来ると知り、驚きを隠せない俺。だが。
「俊ちゃん、このお金がないと賭け金ないでしょ?」
「……あ」
たしかに。俺、今一銭の持って来てねぇ。
「ほら、付き合ってって頼んだのは優稀だし、このくらいはお礼だよ。受け取ってね。それに小遣い稼ぎって言ったでしょ? 俊ちゃんにも参加してもらうの♪ 大丈夫。俊ちゃん強いから、これの倍ぐらいは稼げるよ♪」
……俺、もしかしてとんでもないことを引き受けちまったんじゃないか? 優稀菜の頼みだから仕方ないけど……まぁ、もう戻れないし、腹を括ろうか。
「わかった。今夜は付き合うぜ、優稀菜」
「うん! よろしくねん♪」
優稀菜は終始、機嫌よさそうにタクシーの中で笑っていた。
To be continued




