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婚約破棄された公爵令嬢ですが、実は水の女神の娘でした~海の神に溺愛されて、王都には戻れません~  作者: 第三次ニート危機


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おまけ話 片付けをするオーシャン

アクセスいただき、ありがとうございます。


今回はおまけ話です。

筆者はギャグテイストの話が好きなので、書いていてとても楽しかったです。



次回からは過去編の予定です。


30分後に海中デートの約束をした後のこと。

オーシャンは宮殿で人型の水の精霊たちを集めた。


「お前たち、片付けを手伝ってくれ。フェミィが海底に来るまでに30分の猶予があるんだ。せっかくだから家に呼びたい」


侍女姿の水の精霊が代表して口を開いた。


「しかし、オーシャン様。こんなに散らかっているのです。30分ですと、物を別の部屋に押し込めるくらいしか出来ませんよ」


部屋の中には、エウフェミアに似合うだろうかと集めたアクセサリーの類い、加工して渡そうと思っていた大きな真珠、綺麗な貝殻が散乱していた。

それに加え、読みかけの巻物が至る所に積み上がっている。


珊瑚で作られた椅子の背もたれには上着が無造作に引っ掛けられ、机の上には飲みかけの紅茶やケーキが載っていたであろう痕跡のある空の皿、半分記入されているメモ用紙といったものが散乱していた。


その上では、小魚姿の精霊たちが行き場を失ったかのように行ったり来たりを繰り返していた。


「ああ、それで良い。どのみち、30分――いや残り27分か――じゃあたいした片付けは出来ん」



*****



オーシャンの指示のもと、精霊たちは片付け始めた。


小魚姿の小さな精霊たちは、水流を作り、小さい物を集め、大きい精霊たちは巻物を抱えて隣室へ急ぐ。


「ああ、待ってくれ、その真珠はこの箱に入れてくれ」


宝石の欠片とともにまとめて手近な袋に照りの良い真珠を入れようとしていた精霊にオーシャンは言った。

「その髪飾りも、そのブレスレットも……紗の布はこちらの箱に」


精霊は指示に従う。


「でも、この箱は何ですか?」


「これはフェミィに似合いそうな物を集めている箱だ。似合いそうな度合い別に仕分けている」


オーシャンは大真面目に答えた。その傍には、数個の箱が転がっている。


「オーシャン様、この調子では到底間に合いませんよ」


精霊はため息をついた。


「もう、残り時間は5分しかございません。ここは私どもに任せて、待ち合わせ場所に向かってください」


「いや、しかし……この状況では……」


オーシャンは渋った。

それを見て、精霊はため息をついた。


「待ち合わせ時間に遅れる男性は嫌われますよ」


オーシャンは目を見開いた。


「ッすぐ向かう!」


オーシャンが慌てて転移していくのを見送りながら、侍女姿の精霊は小さく笑った。

そして、手をたたいて周りに言う。


「さあ、落ちている物は全てまとめて隣室へ運び込んで構いません。一旦、この部屋は空っぽにしましょう」


指示を聞き、小魚姿の精霊たちが巻物を浮き上がらせた。


『おーしゃんさま、いそいでた』

『ぼくたちも、えうふぇみあに、あえるかな』

『あえたら、うれしい』



*****



地上に着いたオーシャンは、落ち着かない様子で手鏡をのぞき込みながら髪を整えていた。


「ああ、急いできたから、少し乱れている」


『そんなことなくってよ』


手鏡は言う。


『いつもとお変わりのない、整っているお顔ですわ!むしろ、少し乱れた御髪が美s……』


「お前は、顔のことしか言ってくれないから、信用出来ん」


そうぴしゃりと言うとオーシャンは急いで手鏡をしまい込み、エウフェミアの到着を待った。



*****



「さっきぶりね、オーシャン。少し待たせてしまったかしら?」


待ち合わせ場所に到着したエウフェミアは嬉しそうに微笑んだ。


「いや、今来たところだ」


オーシャンは答える。

そして、エウフェミアの髪に手をやり、素早く髪飾りを飾った。


「似合っているぞ」


そう言いながら、手鏡を手渡す。

いきなりの贈り物に、エウフェミアは驚きつつも、手鏡をのぞき込んだ。


「まあ、ありがとう、オーシャン。素敵な珊瑚の髪飾りね」


『……まぁまぁまぁ!!!素敵なお嬢様だこと!!!』


――手鏡から、声がした。


『でも、その髪飾りはセンスないですわね。色が合ってないのですわ。あなたは青系統の色合いをしているのだから、オレンジは少し……ねぇ?』


オーシャンは途端に表情を無にした。


「すまん、渡す手鏡を間違えた」


『あら、でもお顔立ちが良いから、ごまかせていますわ!』


「黙れ」


『それに、恋する殿方が贈った物ですもの。補正もありますし』


「黙れ」


オーシャンは気まずそうにエウフェミアを見た。


「その髪飾りは、この世界で海に入るのに必要な物なのだ。気に入らなくても、少し辛抱してくれ」


エウフェミアは頬をほんのりと染め、笑みを浮かべた。


「いいえ、とても気に入ったわ。わたくしのために選んでくれてありがとう」


『ま~ぁ!!!!両思いの兆しが見えましたわ!!!!まさに恋!!恋!!!恋!!!!ですわ~!!!!!』


「ちょっと失礼」


オーシャンはエウフェミアに言い、手鏡をとりあげた。


『あら、何ですの?やはり、いつ見ても美s……』


そしていつの間にか手に持っていた革袋に手鏡を放り込み、何事もなかったかのようにエウフェミアに手を差し伸べた。


「さあ、準備は出来たか?海の散歩に行こうじゃないか」


最後までお読みいただきありがとうございます。

もし少しでも「面白い」「続きが気になる」と思っていただけましたら、ブックマークや評価で応援いただけると励みになります。


感想もとても嬉しいです。今後の執筆の参考にさせていただきます。


引き続き、本作をよろしくお願いいたします。

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