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コーン油

 赤オーク狩りはハンドレッド・ストーンズに任せて、俺達はコーン油作りに取り掛かることにした。

「コーン油って、どうやって作るんだ?」

 俺がそう聞くと、サトルさんは少し考えてから答えた。

「本来なら大規模な圧搾機が必要ですが、今回は今ある圧搾機で十分でしょう。」

「なるほど。」

「まずはトウモロコシを大量に集めます。」

 幸い、遺跡の村ではすでにトウモロコシの栽培を始めていた。

 数日後には広場に山のようなトウモロコシが積み上がった。

「これ全部使うのか?」

「使います。」

 サトルさんは平然と言った。

「油は意外と取れませんから。」

 こうして作業が始まった。

 まず粒を外す。

 子供たちも総出で手伝った。

「これ面白い!」

「競争だ!」

 誰が一番早く外せるか競争が始まり、広場は賑やかな声で溢れた。

 その様子を見ながら俺は思った。

(こういう作業は人が集まると早いな。)

 一人では大変でも、皆でやれば祭りのようになる。

 それもまた人間の強さだった。

 粒を外した後は胚芽だけを取り出す必要があるのだが、そこは俺の植物加工のスキルを使ってクリアした。

 その胚芽を天日で数日干し、水分を飛ばした。

 そして今度は石臼で細かく砕く。

「うおおお!」

 浪人のゴザエモンが気合いを入れながら石臼を回している。

「鍛錬になりますな!」

「それ絶対違うだろ。」

 俺は思わず突っ込んだ。

 しかし本人は真剣だった。

 四人の浪人は、何でも修行に結び付ける癖があるらしい。

 砕いた粉は大きな鍋で軽く蒸された。

 そして布袋に詰められる。

 最後は圧搾だった。

「せーの!」

 木製の圧搾機を皆で押し下げる。

 ギシギシと音が鳴る。

 すると、

 ぽたり。

 黄金色の液体が落ちた。

「あっ!」

 子供たちが歓声を上げた。

「出た!」

「油だ!」

 さらに圧力をかける。

 ぽたぽた。

 ぽたぽた。

 少しずつ油が溜まっていく。

 量は決して多くない。

 だが、その色は驚くほど綺麗だった。

 夕日に照らされた琥珀のような輝きだった。

「これがコーン油か。」

「はい。」

 サトルさんが満足そうに頷いた。

「不純物を沈殿させれば、かなり良い品質になります。」

 数日後。

 完成したコーン油で試しに野菜を揚げてみた。

 ジュワッと音が響く。

 香りが違った。

 今まで使っていた油よりも軽く、甘い香ばしさがある。

 出来上がった揚げ野菜を一口食べた俺は思わず目を見開いた。

「うまい。」

「でしょう?」

 サトルさんが笑う。

「素材の味がよく出ています。」

 ユーコも無言で食べていたが、

「もう一個。」

 と皿を差し出した。

 気に入ったらしい。

「これならトンカツも期待できそうだな。」

 俺は満足して頷いた。


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