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人生の上り坂

少女の名前はクリスティーナ、従者の名前はセバスチャンといい、クリスティーナは商いをやっている裕福な家の娘で、14歳だが英才教育を受けるために、西側の町の寮生の学校に入り、週末だけ実家に帰っているそうだ。


セバスチャンはその商店の従業員で、今年で60歳になるそうだ。


「私も、もう人生の登り坂です」


こちらの世界では、若いときを人生の下り坂、年を取ってからを人生の登り坂と言うらしい。


若いときは、容易なほうに流れやすいため、坂道を転がり落ちるように底辺に墜ちやすく、年を取ると、体が不自由になり、普通のことも登り坂を行くように苦しいため、そう言うらしい。


「幸い、旦那様がいい人で、私は召し使いの1人ぐらいは雇えますので、片腕がなくても、なんとか生きて行けると思います。生き残っただけでも奇跡ですので、これからは好きなことをやらせて頂きます。」


セバスチャンはそろそろ引退する年であり、今回のこともあって、クリスティーナの送り迎えは屈強な若者がやるだろうとのことだった。


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「ユーコさんは、冒険者なの?」


「いまは只の村人。」


「そうなのですか? それにしても、あんなところに人が村があったなんて、知らなかったわ」


「・・・」


御台のほうでは、女の子2人が途切れ途切れに話をしていた。


ユーコも人間の女の子と話などしたことがないのだから、無理もない。


そして、夕焼け空もだんだん遠くなっていく頃に、町の門が見えて来た。


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社会はどうしても使う側と使われる側に分かれてしまう。しかし、全ての人間は高い尊厳を持っている。


したがって、人を預かる立場の者は、預けられた者を神様に預けられたと思い、大切にしなければならない。


せっかく優秀な者を預けられても、粗雑に扱えば、神様に取り上げられてしまう。


「リョータ様。わが主に会って下さいますか?」


「こちらこそ、よろしく頼む」


セバスチャンのようなきちんとした者が60歳になるまで仕えた主というのであれば、信用できる。


また、俺にも欲しいものがあったので、願ったり、叶ったりだった。


馬車が商店の前に近づくと、人が2,3人うろうろおり、馬車が見えるなり、走って近づいて来た。


「どうしたんだ? セバスチャンが乗っていないぞ」


「本当だ。見知らぬ者が御者をして、お嬢様が御者台に座っておられる。」


クリスティーナの帰りが遅いことを心配して、町の門まで店の者が迎えに来ていた。


「お嬢様、ご無事でしたか? セバスチャンはいがかなさいました?」


「途中で賊に恐れましたが、私は大丈夫です。セバスチャンは後ろにいます。」


セバスチャンも荷車から、降りて、説明を始めた。


「こちらの2人が命を助けてくれた、リョータ様とユーコ様です。」


クリスティーナの傷は完全に治っているので、にわかには信じられない様子であったが、セバスチャンの片腕がないのを見て、話を信じたようだ。


「旦那様がお待ちです。お店のほうへどうぞ。」

「いやいや、今日はもう遅いので、俺たちはいい。それよりも宿を紹介して欲しい」


俺達はすっかり暗くなった中、宿屋へと向かった。



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