生き物の権利
例えば、毒蛇も神様が作られた生き物である。
それは、毒蛇は毒を使っても良いという許しを神様から得ているということだ。
理由は分からない。
だが自然界にはそういう生き物がたくさんいる。
毒を持つもの。
鋭い牙を持つもの。
強力な爪を持つもの。
それぞれが与えられた力を使って生きている。
それについて人間が文句を言う筋合いはない。
大切なのは、その力をどう使うかだ。
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ある晴れた日。
ユミさんが保育園の子供たちを連れて、村の外へピクニックに出かけた。
春の草原には花が咲き乱れ、小川には小魚が泳いでいる。
子供たちは大はしゃぎだった。
「見て見て!」
「花がいっぱい!」
「こっちに大きな虫がいる!」
ハクも一緒だった。
しかし以前のように輪の中心ではない。
少し離れたところから皆を眺めていた。
その時だった。
「きゃあっ!」
突然、女の子の悲鳴が響いた。
皆が振り返る。
一人の女の子が尻もちをついていた。
その前には――
「ホーンラビット!」
ユミさんが青ざめた。
角を持つ魔物の兎だった。
一見すると可愛らしい。
だが縄張り意識が強く、子供くらいなら簡単に怪我をさせてしまう。
ホーンラビットは興奮した様子で地面を蹴った。
次の瞬間には突進してくるだろう。
ユミさんが駆け出そうとした。
だが間に合わない。
その時――
ハクが前に出た。
次の瞬間、ハクの口元が赤く光る。
ボウッ!
炎が吹き出した。
ホーンラビットは飛び上がり、慌てて草原の向こうへ逃げていった。
静寂が訪れる。
女の子は呆然としていた。
そして――
「た、助かったわ……。」
ようやく声を出した。
ハクは何事もなかったように手を差し伸べる。
「立てる?」
「う、うん。」
女の子はその手を握った。
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その日の帰り道。
子供たちの様子が明らかに違っていた。
「ハク、すごかった!」
「火を吐いた!」
「かっこよかった!」
「もう一回見せて!」
皆がハクの周りに集まっている。
今までの距離感が嘘のようだった。
ハクは最初こそ戸惑っていたが、
「ふふん。」
少しだけ得意そうな顔をした。
久しぶりに年相応の笑顔だった。




