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有名人

 有名人が道を踏み外すとニュースになる。

 そういうニュースを見る度に思うのは、

「せっかく有名になったのに道を外した」

 ということではなく、

「道を外すような人間でも、頑張れば有名になれる」

 ということだ。

 結局のところ、人間の善悪と能力は別物なのである。

 善人だから成功するわけではないし、悪人だから失敗するわけでもない。

 世の中はもっと複雑だ。

(この子達も、ちゃんとした環境があればな……)

 俺は戦争孤児になってしまった子供達を見ながら思った。

 もし親がいて、家があって、学校へ通えていたなら、盗賊の真似事などする必要もなかっただろう。

 運が悪かった。

 ただそれだけなのだ。

 しかし、運が悪かったからと言って、その先まで不幸である必要はない。

 だからこそ、大人が手を差し伸べる意味があるのだと思った。


------------------


 遺跡の村へ戻ると、俺はすぐに料理の準備を始めた。

「ユーコは火の番をしてくれ。」

「任せろ。」

「ホワイトバードは皿になりそうなものを出来るだけ探してきてくれ。」

「皿か?」

「ああ。人数が多すぎる。」

 俺は大鍋を取り出した。

 大量の肉。

 大量の野菜。

 そして特製のタレ。

 異世界に羊肉はなかったが、代わりに魔獣肉を使った。

 いわばジンギスカンもどきである。

 しばらくすると村中に香ばしい匂いが漂い始めた。

「うわぁ!」

「肉だ!」

「すげぇ!」

 子供達の目が輝く。

 俺は笑いながら言った。

「さあ、いっぱい食べろ!」

 歓声が上がった。

 食べる。

 笑う。

 おかわりする。

 また食べる。

 途中からは誰が何杯食べたのか分からなくなった。

 ホワイトバードだけは少し離れた場所から、その様子を静かに見ていた。

 やがて食事が終わる頃には、子供達は全員満腹になり、そのまま眠ってしまった。

「久しぶりに腹いっぱい食べた。」

 そんな寝言が聞こえてきた。

 俺は少しだけ安心した。


------------------


 次の日の朝。

 俺はホワイトバードを呼び出した。

 朝日が昇ったばかりだった。

「ホワイトバード。」

「なんだ?」

「この子達を連れて、うちの農場で働かないか?」

 ホワイトバードは眉をひそめた。

「農場?」

「ああ。土地なら余ってる。」

「どうして俺が?」

 予想通りの返事だった。

「この子達だけ面倒を見てくれればいい。」

 俺は首を横に振った。

「それじゃ駄目だ。」

「なぜだ。」

「俺は面倒なことが嫌いだからだ。」

 ホワイトバードは呆れた顔になった。

「助けておいて、その理由か。」

「ああ。」

 俺は頷いた。

「だから、これからもお前に面倒を見てもらう。」

 ホワイトバードは大きくため息を吐いた。

 そして、まだ眠っている子供達を見た。

 安心しきった寝顔だった。

 森のアジトでは決して見られなかった顔だろう。

「……分かった。」

 小さく呟く。

「働こう。」

 その瞬間だった。

「やったー!」

 いつの間に起きていたのか、子供達が一斉に飛び起きた。

「聞いてたのか!」

「全部!」

「農場だ!」

「飯がある!」

「家もある!」

 ホワイトバードは頭を抱えた。

 だが、その顔はどこか嬉しそうだった。

 こうして遺跡の村には、新たに十数人の住民が加わった。


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