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盗賊団捕縛

 盗賊団スリーピースのアジトへ到着した頃には、東の空がわずかに白み始めていた。

 森の奥。

 岩山をくり抜くように作られた砦。

 周囲には見張り台まである。

「……思ったより立派だな。」

 リクが呟く。


 砦の入口には、見張りが二人いた。

 だが、

「ふぁぁ……」

「眠ぃ……」

 完全に油断していた。

 酒でも飲んでいたのか、片方は壁にもたれたまま舟を漕いでいる。

 リクは小さく息を吐いた。

(……今だ。)

 そして。

 手を前へ振る。

(突撃!)

 次の瞬間、全員が一斉に動いた。

「な――」

 見張りが気づくより早く、リクの拳が顔面へ突き刺さる。

 ゴッ!!

「がっ……!」

 男は声も出せず崩れ落ちた。

 もう一人も、ボルグの裏拳で壁へ叩きつけられる。

 ドゴォ!!

「ぐべぇっ!?」

「静かに寝てろ。」

 疾風ウルフがそのまま砦内部へ雪崩れ込む。

「制圧開始!」

「二階行きます!」

「右側通路任せろ!」

 慌ただしい足音。

 次々と扉が蹴破られる。

 バァン!!

「な、なんだ!?」

「敵襲――」

 ゴキッ。

「ぎゃっ!?」

「<ボキッ! バキッ!>」

「グゲェッ!!」

 砦中に悲鳴が響いた。

 だが、それも長くは続かなかった。

 盗賊たちは、完全に油断していたのだ。

 酔って寝ている者。

 武器すら持っていない者。

 半裸で飛び出してくる者までいる。

 対して、こちらは準備万端の冒険者パーティー。

 勝負にならなかった。

 十分後。

(……終わったな。)

 リクは息を吐いた。

 各部屋から盗賊たちが引きずり出されてくる。

「暴れるな。」

「観念しろ。」

 ガルドたちが縄で縛り上げていた。

「くそっ……!」

「お、俺たちを誰だと思って――」

「盗賊。」

 ユーコが即答した。

「小物。」

「ぐっ……」

 盗賊が泣きそうな顔になる。


 そこへ、

「リク。」

 ユーコが奥を指差した。

「あっちに女、子供、いる。」

 空気が変わる。

 リクはすぐ駆け出した。

 奥の鉄扉を開ける。

 ギィィ……

 中は暗かった。

 そして。

「……っ!」

 二十人近い女と子供が押し込められていた。

 全員、痩せ細っている。

 靴も履いていない。

 服もぼろぼろだ。

 中には。

 手錠や足枷を付けられている者までいた。

 幼い子供が怯えた目でこちらを見る。

「大丈夫だ。」

 リクはすぐ膝をついた。

「盗賊どもは制圧した。」

 その言葉に。

 部屋の空気が止まる。

「……ほ、本当に?」

「助かった……?」

「うそ……」

 泣き出す女性もいた。

 リクは静かに頷く。

「皆を解放する。」

 ユーコが鍵を壊して回る。

 ガシャン。

 ガシャン。

 拘束具が次々外れていく。

 さらに。

「怪我人こっち。」

 ユーコが治療を始めた。

 さらに、衰弱している者には、ポーションを渡した。

「ゆっくり飲め。」

「……甘い。」

 少女が涙を流す。

 どれだけ酷い扱いを受けていたのか分かった。

 リクの拳が、自然と握られる。

(こいつら……。)

 怒りが込み上げた。

 だが、今は助けるのが先だった。

 その後、一番奥の部屋で、盗賊たちの財宝が見つかった。

「うわ……」

 金貨。

 銀貨。

 宝石。

 山ほど積まれている。

「全部盗品だろうな。」

 セシリアが顔をしかめた。

 リクは少し考え。

 金貨袋を持って、女性たちの元へ戻った。

「これ。」

「え?」

「当面の生活費に使ってくれ。」

「で、ですが……!」

「受け取る権利がある。」

 リクは真っ直ぐ言った。

「死ぬほど怖い思いをしたんだ。」

 女性たちは震えていた。

 その中の一人が、泣きながら頭を下げる。

「あ、ありがとうございます……!」

 次々と涙が零れた。

 一方。

 宝石や貴金属については、別にまとめる。

「それは?」

 ガルドが聞く。

「元の持ち主に返す。」

「……お前、ほんと変わってるな。」

「そうか?」

「普通は山分けだ。」

 だが。

 リクは首を振った。

「盗まれた物なんだから、返すのが普通だろ。」

 ガルドはしばらく黙り。

 それから小さく笑った。

「……だから皆、お前について来るんだろうな。」

 その頃。

 縛られた盗賊団スリーピースの頭領は。

 床に転がったまま、青ざめていた。

「ば、化け物どもめ……」

 目の前には。

 怒りがまだ消えていないリクが立っていた。


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