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遺跡の村の復興

 遺跡の村が復活してから数日。

 村は相変わらず混乱していた。

「屋根がない!」

「井戸が崩れてるぞ!」

「畑が森になっとる!」

 百年分の風化は深刻だった。

 しかも村人たちは、昨日まで普通に暮らしていた感覚のままだ。

 精神的にも追いついていない。

「これは大変だなぁ……」

 リクは崩れた家を見上げながら呟いた。


 特に問題だったのが、建材不足だった。

 石材はある。

 だが木材が足りない。

 長年放置されていたせいで、使える木材はほとんど朽ちていた。

「森から切り出すしかないか……」

 そう思いながら、リクは村の外れへ向かった。

 すると。

 ふと違和感を覚える。

「……ん?」

 倒木を見た瞬間。

 なぜか、“どう加工すればいいか”が頭へ流れ込んできた。

「え?」

 木目。

 水分量。

 乾燥時間。

 どこを削れば強度が増すか。

 まるで長年、大工仕事をしてきたみたいに理解できる。

「なんだこれ」

 思わず自分のステータスを確認する。

《植物加工》 植物系素材を自在に加工できる。 木材・薬草・繊維などの加工効率上昇。

「増えてる!?」

 ユーコが覗き込む。

 かなり便利そうだった。

 リクは試しに倒木へ手を触れる。

「……こうか?」

 すると。

 淡い緑光が走った。

 ギギギギ……!

「うおっ!?」

 木が勝手に変形し始める。

 枝が落ち。

 表面が削れ。

 数秒後には。

 綺麗な木材になっていた。

「……は?」

 リク本人が一番驚いていた。

「すごい」

 ユーコが素直に感心する。


 だが、これが村の救世主になった。

「《植物再生》!」

 まず苗木を急成長させる。

 数分で大木になる。

 そして。

「《植物加工》!」

 木材へ変換。

 ドンッ!

 大量の建築用木材が積み上がった。

 村人たちが固まる。

「え?」

「今、一瞬だったぞ?」

「木が勝手に板になった!?」

 さらに。

 柱。

 梁。

 扉。

 家具。

 次々と加工できた。

「リクさんすげぇぇぇ!!」

「神の御業だ!」

「村長! この人もう一生住んでもらいましょう!」

「勝手に永住させるな!」

 村人たちのテンションが上がる。

 その結果。

 村の復興は異常な速さで進んだ。


 1週間後。

「……なんか村っぽくなってきたな」

 リクは広場を見渡した。

 崩れていた家々には屋根が戻り。

 井戸も修復された。

 簡易柵まで完成している。

 村人たちも笑顔が増えていた。

「リク兄ちゃん!」

 子供たちが走ってくる。

「秘密基地作ってー!」

 無茶振りしてくるが、リク自身も、作業が妙に楽しかった。

 木を加工していると、不思議と心が落ち着くのだ。


 一方、一人の老人が、完成した家を見上げながら涙ぐんでいた。

「……また、家に住める」

 静かな声だった。

「もう二度と、この村では暮らせないと思っておった……」

 周囲の村人たちも、どこか嬉しそうだった。

 百年を飛び越え。

 全てを失ったと思っていた。

 だが今、少しずつ、日常が戻り始めている。

 リクはそれを見て、小さく息を吐いた。

「……よかった」

 その時。

 ユーコがふと森の奥を見る。

「リク」

「ん?」

「木、もっと育ってる」

「え?」

 見ると。

 村の外れに植えた苗木が、異常速度で成長していた。

 しかも。

 普通の木ではない。

 葉が、ほんのり銀色に光っている。

「……なんだこれ」

 リクが近づく。

 すると。

《世界樹の眷属樹》 世界樹の影響を受けた特殊植物。

「えぇ……」

 どうやら。

 世界樹を一年治療し続けた影響が、少しずつ現れ始めているらしかった。


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