同族喰い
兄貴達と離れた後、あたしは神社の参道を歩いていた。さっきと変わらない地続きの石畳、幼少期と変わらない朱色の檻、そしてあの時の神擬きに会った。
今でも鮮明に覚えている。あの目、表情、声。心の奥でざわめく思い出を押し殺し、出来る限り冷静に問いかける。
「久しぶり、あたしのこと覚えてる?」
「あぁ、勿論。僕らを認識出来る輩なんか、そう多く居ないから」
彼はにぃっと口角を上げて、顎に手を当てた。指に包まれた頬が朱色に染まっている。血色が良い。健康な証拠だ。まぁ、思い出話に花咲かせる訳でも無いから、手短に。
「最近此処で人が消えてるんだって、何か知らない?」
「あぁ、あの子? 食べちゃった。大して美味しくも無かったなぁ。やっぱり食うなら君のような高位の神使えじゃないと」
そう言い終わる前に、彼は本性を表した。開口された口から覗くのは真っ黒な闇。淀み。変わってないのは見かけだけ。中身は既に堕ち切っている。こんな奴に情けをかけるつもりは毛頭ない。
「そ、良かった。ならあたしも躊躇いなく」
持っていた箱を相手に向かって投げ付ける。石畳を蹴り上げ、ポケットに手を突っ込む。飛梅様直々の呪符。並の淀みならばこれで浄化可能。それを鷲掴みにし、開かれた口目掛けて突っ込んだ。あっという間に白かった呪符が黒く染まる。澱んでいる証拠だ。
「がっ..............」
「よく此処で勝手が出来たなぁ? 同族喰らい」
そのまま体重を掛けて押し倒す。馬乗りの状態で、持ってきた短刀を心臓部に突き刺す。こぽり、こぽりと墨のような血が流れ、灰色の地を穢していく。
Q見た目同じなら躊躇いそうなのに。
A凛は見た目関係なく、内面に恋するタイプです。
だからそっくりさん見ても、中身が別人なら興味を示しません。
何時だってそうでありたいですね。




