制御方法
体を下ろされて、頬を叩く。この顔に絆されては行けない。気を取り直して問いかける。
「で、此処は何処?」
「君のいた縁日さ。場所なんか変わりゃしない。視覚の問題」
僅かに口角を上げて返された。その小馬鹿にした表情が不愉快だ。あたしは踵を返すと振り向き様に言い捨てた。
「御託はいい。力の使い方を教えてくれないなら、さっさと戻せ。戻してくれないなら、自力で戻る」
「まあ、そう焦らずに」
距離を置こうとして、前を向き直ったとき。それは現れた。何時も眼鏡を外した際に見える塵のようなもの。それが密に凝縮され、あるものを作り出す。この妙な空間に転移された際に居た、人擬き。仮面の軍勢。また出して気やがった。なんの嫌がらせだよ。
苛立ちを込めて睨む。今まで抑え込んでいた霊圧が、感情によって僅かに綻び漏れ出ている。このまま破れかぶれになって放出してしまおうか。そう思って上昇させて行くと。
「素晴らしい。出来るじゃないか」
気が付くと周りにあった塵共が薄まっているのが分かる。少し興味が出てきて更に圧力を上げる。血管が膨張し、脈拍が上がる。体が熱い..............。これ以上は..............もう。思わずその場で跪いた。まずい。放出量を間違えた。
薄まっていた塵共が集束し、また周りを囲おうとする。でももう抵抗出来ない。
「成程、持久力が無いのか。でもそれは君自身の気力、気迫の問題じゃない」
後ろには彼。やはり塵共は嫌いなのか、此奴が近付くと遠ざかっていく。息切れをしながら振り返る。相も変わらず飄々とした顔でこちらを見下している。
まぁ、視覚の問題って奴で。
彼にしちゃ、同じ世界ですけど、人間にしちゃ違うんですよね。考え方もまるで違う訳で。




