神様擬き
幼い首をもたげ、周りの辺りを確認する。なんせ子供の目線は低い。見上げたところで自分が何処にいるか分からないし、見えるのは大人達の顔でしかない。でも一つ違うところが。皆顔に面を付けている。それは顔を全体を覆うようなもの、目元だけを覆うもの、様々だ。此処に来て漸く別次元に訪れた事を知った。だって社を訪れたとき、皆面などしていなかったから。
気配的には神域? に近いもの。でも神域とも言いきれない。何ともあやふやで、不確定な世界だ。言葉表すことが出来ない分、もどかしい。
――ねぇ、あの子、私達とは異なる存在ではありません?
――何だか妙な子だな。
「..............」
道行く人を型どった者たちがあたしの事をチラチラと見ては通り過ぎていく。そいつらに今言った言葉をそのまま返してやりたい。お前らも大概妙だぞ。と。
ま、気にする事でもない。妙な目で見られているだけで、手出ししてくる感じはない。ならば、あたしも殴り合いに発展するような事は避けるべきだ。
歩みを進める。道行く者共に攫われないように。参道をひたすらに歩く。此処がどんな世界かは知らない。だから早く兄貴や色季達の元に戻らないと。
――あぁ、やっと分かった。あの子、人間だ。
「あ゛?」
後ろから仮面を付けた男の声がした。愉悦の滴る声だった。まるで獲物を見つけた肉食獣のような。警戒心を高め、後ろを振り返る。拳を握り締め、何時でも殴れる体勢をとる。しかし余りにも遅すぎたのだ。
道行く人々の歩みが一斉に止まる。周りを囲うようにして見詰めて来る。珍獣でも見るような好奇な目。それが須らく自分に注がれている。怖くはない。常に塵まみれの世界で生きているあたしを舐めるなよ?
まだ目“だけ”だからマシな方。
耳にも飛んだら本当に気が触れていると思います。
耳に飛んだ女の子の話は、次回作で。
あれこそ普通の反応だと思います。




