縁日から非日常へ
凛は確かに慧眼です。でも見えすぎているが故に見えない。
そんな子です。
決して、目が悪い人のことを馬鹿にして言ってる訳ではありません。
(私も目はそれ程よくありません)
此処からはあたしが夏祭りで体験した時の話。この塵塗れな世界を、自分のこの盲目をほんの少しだけ愛せた話。
あたし達はまた時節邸に来ていた。色季とも何度も顔合わせて、友達と言っても差し支えない間柄になった頃のこと。たまたま三駅位離れた場所にある社でたまたま夏祭りが開催されていた。色季はそれにお供するらしい。財閥の分家筋の者が、そのような場所に行っても良いのかと聞いたら、父の仕事のついでだと返された。
と言う訳で、あたしと兄貴は色季の両親から送られた浴衣を着て、ふらりとその場所に降り立った。大鳥居を抜けると、そこには数多くの屋台が道を連ねている。橙の行灯が幻想的な空気を作り出し、非日常へと導く。現実世界では無いようだ。
「はぐれちゃ駄目」
そう言って兄貴はあたしの手を覆うようにして握った。慣れない下駄も相まって心配したのだろう。兄貴の気遣いに感謝して、同じように握り返す。
「分かってるよ。色季の手も離さないようにね」
兄貴のもう片方の手は色季へと繋がっている。そして色季の手は自分の父親へと繋がっている。相手が離さなければ、はぐれることはない。カラカラと下駄を鳴らし、この縁日の景色を目に焼きつける。眼鏡をかけているお陰で、随分と鮮明に見える。金魚掬い、型抜き、そして屋台の食べ物達。思わず腹が鳴りそうだった。
色季の父と母の出会いの話は脳内で完結してます。
なかなか少女漫画的展開でした。
母さん、ドジっ子だもんな.............。
お詫び
先日『モデルとなった神様はいません』と書きましたが。
語弊がありました。『飛梅様』はモデルとなった神様がいらっしゃいます。




