↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無双するご主人様のハーレム事情  作者: 不利位打夢
第20章 探求と暗躍
404/407

暗躍する者たち48

アイの言葉通り、数分後にツクヨミが戻ってきた。


だが互いに話をせずに黙っていたことに違和感を持ったツクヨミは、真っ先にアシュラへと理由を尋ねる。


「これは何かあったのですか、アシュラ?」


「大丈夫だよ。

こっちはツクヨミも交えて判断したいことがあったから、ちょっと休憩していただけだからね。」


状況を把握して安堵すると、すぐにツクヨミは主の女性に帰還報告をする。


「そうでしたか。

安心いたしました。

ご報告が遅れて申し訳ございません、主様。

ただ今戻りましてございます。」


「構わん。

それよりも無事で何よりだ。」


「お気遣いいただき、ありがとうございます。」


「それで、調査の結果はどうだった?」


「ではご報告させていただきます。

ドアの先の空間ですが、私が確認した限りでは、危険は一切ございませんでした。

アイさんがご説明されていた通りの居住空間が存在しており、必要な物資が一通り揃っておりました。

ただ、気になる点がございます。」


「気になる点とは何だ?」


「アシュラからの情報共有で、ドアの先の居住空間が別に存在する場所とつなげられたものであることは聞いております。

場所の作成は、その場でできないことも無いと思われます。

しかし物資だけは違うと断言できるのでございます。

何故なら何処にも原材料から物資を作成する空間が存在しないからでございます。

そうなりますと、物資は外で作られてから搬入された、そう考えるのが自然でございます。

つまり、ドアの向こうの居住空間は外の世界と直接または間接的につながっていたことがある、そう推測されるのでございます。」


「なるほど、最もな推測だ。

で、そこのところはどうなのだ?」


主の女性に問われ、アイは前置きを挟んでから隠さずに答える。


「ではここで休憩は終わりにして、先にその推測について回答します。

先に結論から言いますと、そちらの推測通り、そこの居住空間は間接的に外の世界とつながっていたことがあります。」


更に主の女性が掘り下げて質問する。


「それは、今はつながっていない、ということか?

それとも、今後はつなげることができない、ということか?」


これにもアイは隠さず答える。


「どちらかと言われれば、前者の、今はつながっていない、が正しいですね。

正確には、つなげていない、だけですが。」


「つまり、今後も間接的であれば外の世界につなげることが可能、ということだな?」


「そうなります。」


「それは物資だけでなく、私たちのような意思を持った生命体でも、外の世界まで移動が可能なのか?」


「可能ですよ。

ただしつなげるには、こちらの作業が、人が通るには、こちらの許可がそれぞれ必要です。」


「私たちだけでは無理だと?」


「無理ですね。

現状における最高のセキュリティを施していますからね。

作業も許可も、貴女たちでは現状不可能です。

また、やわな造りはしていないので、物理的な手段も、貴女たちでは現状不可能です。」


このアイの答えに一部納得がいかない部分があったようで、主の女性が食い下がってきた。


「前者の作業や許可はともかく、後者の物理的な手段については見くびられたものだ。

これでもかつては最高戦力の一つに数えられたものなのだがな。

またここにいるツクヨミとアシュラは、少なく見積もってもかつての統制管理者たちと同等以上の力を有している。

それでも力不足だと?」


「それは最早過去の序列です。

確かに今の貴女たちの実力であれば、内側から今いる場所を破壊することくらいはできるでしょう。

しかし、そちらの居住空間には傷一つ付けることはできませんよ。

何なら試してみますか?」


アイからの突然の提案に、主の女性はある考えを思い付く。


「随分と過小評価されたものだな。

ならば試させてもらおうか。

だが、ただ試すだけでは面白みがないと思わないか?」


そう口にした主の女性が何を望んでいるか、アイは正確に察した。


「なるほど、報酬をご所望ですか。

まずは希望を聞きましょう。」


このチャンスを逃すまいと、主の女性は前置きなどを一切省いて、すぐに本題へ入る。


「話が早いな。

こちらの希望だが、誰かが居住空間を少しでも傷付けることができた場合、前回つながっていた居住空間の先と行き来する許可をもらう、というのはどうだ?」


ここぞとばかりに主の女性は、希望する報酬だけでなく、対象者を自分一人だけではなく、三人の内の誰かとすることも条件に紛れ込ませた。


しかしアイは条件について気付いていたものの、そこには何も言わず、報酬部分についてだけ確認してきた。


「外の世界へつなげる、ではなくですか?」


「つながったとしても、それが片道では困るし、その場合に外の世界へこちらは一切伝手が無いのも事実だ。

こちらとしてもいきなり放り出されてしまっては後が困る。

それに、そちらとしても私たちが今外の世界に出るのは、何かと都合が悪いのであろう?」


探るような主の女性の問いに、アイは素直に認めた。


「そうですね。

貴女たちが外の世界に出た瞬間、その存在がアカシックレコードシステムに記録され、状況を把握される恐れがあります。

そうなると高確率で、いずれどこかの勢力に、良くて取り込まれるか、悪くて拉致監禁されます。

それに貴女たちがアカシックレコードシステムから離れたことで、こちらの存在が露見する恐れも出てきます。

こちらとしてもそんな事態は、今はできるだけ避けたいのが本音です。

なので今回の貴女の提案は、双方の妥協点を加味した最適な提案とも言えます。」


アイからの思わぬ高評価に、主の女性は気が急いてまとめに入った。


「では、その内容で契約成立だな?」


しかしそれにアイが待ったをかける。


「その前に、一つ確認します。

仮に居住空間の先につながり、そことの行き来が可能となった場合、貴女たちの目的は何ですか?」


少し考えたのち、主の女性は本音を伝えることを選択したようだ。


「目的か・・・私が望むのは、そちらとの交流だ。」


「交流、ですか?

今私とこうして話をしているのも交流だと思いますが、違いましたか?」


「いいや、これも交流だというのは、同じ認識で間違い無い。

だがこちらとしては相手が一人だけでは、そちらの意図などを図る判断材料として乏しいのが現状だ。」


「つまり真の望みは、そちらがこちらを見極めるために私以外の判断材料を提供すること、ですか。

前回つながっていた先には、私以外の人物たちがいると考えたわけですね。」


「そうだ。

できるならそちら側の複数人との交流を希望する。

そしてさまざまな意見交換を行った上で、今後の私たちの方針を決める判断材料の一つにしたいと考えている。

外に出るのはその後でも遅くはないからな。」


報酬に関する内容が出揃ったところで、アイは少し考えてから答える。


「・・・わかりました。

こちらとしても悪い話ではありませんから、その内容で構いませんよ。

ただしその場合、交流する相手の希望は聞きますが、人選はこちらに一任してもらいます。

それで構いませんか?」


「ああ、問題無い。」


「では、そちらが成功した場合のこちらが提供する報酬については決まりですね。

続いて、そちらが失敗した場合のこちらへ提供する報酬について、こちらの希望を伝えます。」


全く考えていなかったのか、それともアイの言葉で思い出したのか、主の女性が驚きの声を上げる。


「何!?」


「私たちは対等なのですから、そちらが報酬望むのであれば、こちらからも同様に報酬について提示するのは当然の権利ではありませんか?」


アイの正論に、主の女性は受け入れるしかなかった。


「うっ・・・たっ、確かに。

いいだろう、まずは聞こうか。」


アイの口からどんな突拍子もない報酬内容が出てくるのかと、内心焦りながら主の女性は問う。


しかしそれはある意味杞憂に終わった。


「私たちが望むのは、一つこちらの希望をそちらに受け入れてもらいたい、それだけです。」


内心安堵したものの、まだ油断できないと考え、主の女性は毅然とした態度を崩さずに、更にアイへと詳細を問う。


「内容次第だ。」


するとアイからは予想外の答えが返ってくる。


「内容については、今はまだ言えません。」


これに主の女性は、一転して強気に出た。


「話にならんな。

別の事前に内容がわかる報酬へ変えてもらおうか。

だが既にこちらへの報酬は決まっている状態なのだから、今更話を無かったことにするのは無しだ。」


「警戒しなくても、そちらに都合が悪かったり理不尽な報酬を求めるつもりは、絶対にありませんよ。」


「口では何とも言えるし、物事に絶対はない。

そもそも内容を明かせない時点で、何か含むところがあるのは明白だ。

違うか?」


主導権を奪い返した、そう主の女性が思ったところで、アイから挑発とも取れる言葉が出てくる。


「なるほど、つまり少なくとも貴女は、成功させる絶対の自信が無い、ということですね?」


この挑発に主の女性はあえて乗った。


「聞き捨てならんな。

まるで私が負けた時の事しか考えていないような言い方は不本意だ。

いいだろう。

内容については、今は明かさなくても構わない。

だが、もし仮にそちらが報酬をこちらに要求するの権利を得た場合、こちらが納得できる報酬内容以外は拒否できる権利を付けてもらうぞ。

どうする?」


最後に自分たちに有利な条件を追加することで、アイが新たに内容が事前にわかる報酬を提示するよう仕向けてきた。


これに対してアイは、まずは主の女性との認識が一致しているか確認してくる。


「それはつまり、そちらが納得するまでこちらが妥協して内容を提示し続けろ、と?」


「内容を後出しするのであれば、それくらいは当然だろう。」


主の女性は一歩も引かず、強気の姿勢を崩さない。


するとアイは少し考えてから、主の女性が提示した条件を全て受け入れるとの回答を口にする。


「・・・わかりました。

その条件でこちらは構いません。」


予想外のアイの答えに、主の女性は思わず聞き返して確認してしまう。


「なっ!?

・・・本当に、いいのか?」


「今そう言いました。

それともやはり怖気付きましたか?」


ここで再び主導権を渡すわけにはいかないと考えたのか、主の女性は何か引っかかりを覚えながらも、少し迷った末にアイから提示された報酬内容を受け入れた。


「くっ・・・いいだろう。

こちらの条件が受け入れられるなら、こちらもそちらが提示した内容の報酬で受け入れる。」


「ありがとうございます。

これで双方の報酬について決まりました。

では、最終合意に移ります。

そちらの契約書類の内容を確認し、署名、は不要ですので、拇印だけお願いします。」


アイがそう言って視線を向けた先には、いつの間にか先程までの話し合いで決まった内容が書かれた紙が置かれていた。


「わかった。」


主の女性は慎重に契約書類の内容を数回確認し、問題無いと判断してから、最後に右手の親指を使って拇印を押したのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。