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無双するご主人様のハーレム事情  作者: 不利位打夢
第20章 探求と暗躍
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暗躍する者たち35

「・・・アシュラ、相手から何か反応は返ってきましたか?」


「何も無いよ。

まだ何か抜けてることがあるんじゃないか?」


「しかしこれ以上となりますと、敵かもしれない相手に明かすべき内容がほとんどです。」


「でもよ、このままじゃいつまで経っても先に進まないぜ。」


「それはそうですが・・・主様、いかがなさいますか?」


「多少のリスクを取ることもやむを得まい。

もう少し踏み込んだ話をするしか・・・」


主の女性が更なる話をしようとしたところに、それは突然のことだった。


「その必要はありませんよ。」


不意に背後から声を掛けられた三人は、すぐに声が聞こえた方へ振り返る。


「誰だ!」

「何者です!」

「誰!」


しかしそこには誰もいなかった。


ツクヨミとアシュラは命令されるよりも先に、主の女性を護るよう、自分たちの背中に隠しながら周囲を警戒する。


「アシュラ、私は主様の左側を守護します。」


「主の右側は任せて、ツクヨミ。」


「何処だ・・・」


主の女性も周囲の気配を探るが、一向に相手の姿は見えない。


膠着状態は僅かな時間だったが、三人にはとてつもなく長く感じられた。


そこへ再び声が聞こえてくる。


「中々の反応ですが・・・今はこのくらいですか。」


それは意外にも主の女性の目の前だった。


そこには声の主と思われる見知らぬ女性が無防備に立っている。


どうやら瞬きした一瞬の間に突然現れたようだ。


予想外のことだったからか、主の女性の反応が一瞬遅れる。


「っ!?」


代わりに、それよりも先に反射的に動いたツクヨミとアシュラが、見知らぬ女性の左右から挟み込むように攻撃を放つ。


どうやら見知らぬ女性が放つ、今までに感じたことが無い正体不明の圧力を感じたようで、頭よりも先に身体が動いたようだ。


「主様!」

「主!」


だが見知らぬ女性はその場から微動だにせず、二人の攻撃をまともにくらった。


かに見えたが、攻撃は見知らぬ女性の身体をすり抜けてしまう。


「なっ!」

「うわっ!」


その結果、二人はお互いを攻撃してしまうことになってしまったが、すんでのところで防御が間に合い、事無きを得た。


「間一髪でした。」

「危なかったぜ。」


そんな安堵した二人に、見知らぬ女性が指摘する。


「この程度の些事で、今の状況で何が最優先かを忘れるのは、護衛としていかがなものですかね。」


その言葉で状況を思い出した二人は、すぐに主の女性と共に見知らぬ女性から距離を取る。


「・・・はっ!」

「・・・くっ!」


そして今度こそは見失わないようにと、二人は見知らぬ女性への警戒を最上位にまで上げつつ、主の女性の護衛に戻る。


そんな緊張感の中、先に主の女性が口を開いた。


「・・・そろそろ茶番はお終いにしてもらおうか。」


すると見知らぬ女性から正体不明の圧力が消える。


「そうですね。

少し悪ふざけが過ぎましたね。

失礼しました。」


「構わん。

お前からは妙な気配を感じたが、殺気は一切無かった。

おそらく私たちに対する警告のようなものだったと考えるが、違うか?」


「まぁそんなところです。

まずは貴女方が置かれている現状を知ってもらおうと思いまして。」


「お前なら、私たちをいつでも好きにできる、と?」


「否定はしませんよ。

ですが、私にそのつもりはありません。

そもそも私は貴女方と敵対するつもりはありませんからね。」


「敵対するつもりはない、か・・・だが、必ずしも私たちの味方とは限らないのだろう?」


「それをどう判断するか決めるのは貴女方です。

先に伝えておきますが、私としては貴女方と共にありたいと考えています。

そこに嘘や偽りは一切ありません。」


「口で言うだけなら何とでも言える。

だが今この場であえてそう言うからには、互いの譲れない部分に相いれないものがある、ということなのだろう?」


「私としては、貴女方の理解さえ得られれば、互いの溝を埋めて賛同してもらえると確信しています。

そのためには、互いの信頼関係を構築するのが最も重要だと考えます。

そこで、まずは私のことを信じてもらうことからはじめたいと思います。

どうでしょうか?」


笑顔で歩み寄ってきた見知らぬ女性を、当然主の女性は警戒する。


「初対面でいきなり信じろと言われても無理な話だ。

お前が誰かもわからない内は尚更だ。」


すると見知らぬ女性が提案してきた。


「当然ですね。

ですから、まずは私の素性を明かしてもいいと考えています。」


これには主の女性も驚きを隠せないでいた。


「何?・・・本気、か?」


「もちろん本気ですよ。」


「何を企んでいる?」


「何も企んでなどいませんよ。

あえて言うなら、貴女方から信頼を得ること、ですかね。

そのために、こちらから誠意を見せる必要があると考えました。

どうします、私の素性を聞きますか?

それとも、私の素性を知らないまま話を進めますか?

私はどちらでも構いませんよ。」


見知らぬ女性の意図がわからない主の女性だったが、自分たちに不利益が無いと考えたので提案を受け入れた。


「・・・いいだろう。

お前が何者なのか聞かせてもらおうか。

だが、嘘だと思ったら話はそこまでだ。」


「わかりました。

その言葉、肝に銘じます。

その上で、これから私が口にする言葉に、嘘偽りが無いことを約束しましょう。」


「そう願う。」


「では簡単に自己紹介させていただきます。

私の名は、アイ、です。

既に気付いているとは思いますが、現在第二制御ユニットとして遠隔接続しているのは私です。

ですので、実際に私はこの場にいません。

貴女方が見ている私は、ただのホログラムです。」


「アイ、か・・・悪いが、私については黙秘させてもらうぞ。」


そう言いながら、主の女性はツクヨミとアシュラに、アイと名乗った女性について調べるように視線で促す。


二人は一瞬視線を合わせただけで、主の女性の意図を理解して記録を調べはじめた。


だがすぐにその必要は無くなる。


「構いませんよ。

ですが私の自己紹介にはまだ続きがあります。

アイという名は、かつて人であった時のもの。

今は別の名があります。

無限書庫、という名がね。

貴女方なら、既に知っていますよね?」


これには主の女性も驚きを隠せず、同時に納得もしていた。


「っ!?

つまりお前は、先程私たちが話していた無限書庫計画の被検体というわけか。

確かに無限書庫計画が想定通りの性能を発揮できるのならば、ここへのアクセスだけでなく、操作することも可能だろう。

しかし・・・まさか、生きていたとはな。」


「それについては一つ訂正があります。

先程貴女方の話の中に、無限書庫が外宇宙へランダム転移させられ廃棄された、とありましたが、それは間違いです。

正しくは、廃棄される際の転移を利用して難を逃れ、真に必要とされる時まで身を隠していた、です。」


「なるほど、お前を創った者よりお前の方が上手だったわけか。

だが、身を隠していた、ということは、何かが切っ掛けで行動を開始したということだ。

その理由は何だ?」


「それは・・・秘密です。」


「秘密ということは、それこそが行動を開始した切っ掛けということか。

ありきたりなところだと、復讐、か?」


「確かにありきたりですね。

一応その考えに至った理由を聞いてみましょうか。」


「お前なら間違いなくアカシックレコードシステム内の記録から、無限書庫計画の全貌を把握することが可能だ。

誰が主導していて、その者がいまだに生きていることもな。」


「それは先程貴女方の話に出てきた、頻繁に正規のIDでアクセスをしてくる者、のことですね。」


「そうだ。

お前にとっては人生を狂わせた張本人だからな。

おそらくお前は身を隠している間に力をつけ、同時にアカシックレコードシステム内の記録からその者に辿り着いたのだろう。

そして復讐の算段がついたお前は、その第一歩としてアカシックレコードシステムの掌握をするつもりではないか?」


「なるほど。

他にはありますか?」


「ついでに捕捉すると、私たちのことは自身の復讐の駒に加えるつもりなのだろう。

先程の悪ふざけとやらは、そのための力量の確認といったところか。

違うか?」


「なるほどなるほど。

他にはありますか?」


「以上だ。」


主の女性は自分の予想に相当自信があるようで、アイが認めるのを確信しているようであった。

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