↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無双するご主人様のハーレム事情  作者: 不利位打夢
第20章 探求と暗躍
389/407

暗躍する者たち33

「承知いたしました。

ではテスト用IDで正規のアクセスを試みた者、最後の男についてご報告いたします。

まず時期でございますが、今からおよそ30年ほど前から10年ほどの間、年に1、2回の頻度でアクセスがございました。

しかし最初の9年ほどはアクセスに失敗しており、最後に1度だけアクセスに成功いたしております。

ですが接続以外に何もできなかったことで諦めたのか、その後このIDからのアクセスはございません。」


「現在、その男の行方などはどうなっている?」


「申し訳ございません。

最後のアクセス以降は、記録が存在しておりません。

ただ気になる点がございます。」


「それは何だ?」


「どうやらその男は、自身を転移させることができるようでございます。

最後の記録は、アクセス後にどこか遠方へ転移したと思われるものでございました。

そのため以降の記録は、今のところ確認できておりません。

おそらくその際に記録範囲外へ転移したものと思われます。

また過去の記録にも、その男による短距離転移と思われる記録が複数残っておりました。」


「転移か・・・アカシックレコードシステムの欠点として、情報体の不連続状態を検索することが非常に困難だったはずだ。

これについて改善はされたか?」


「申し訳ございません。

現在におきましても、改善の目途は立っておりません。」


「いや、アカシックレコードシステムの仕様的に改善が難しいことは、以前出した試算でわかっている。

これを実現するためには、処理能力を大きく向上させる必要がある。

その場合、並列接続した制御カプセルとユニットが少なくとも1000組は必要だ。

だが制御カプセルは数を用意できても、希少なユニット適性を持つ者を用意するのは不可能。

仮にいたとしても、私のように長期間の運用に耐えることは難しいからな。

これは実現できないと早々に破棄された。

代わりに記録への重点を置いた現在の最小構成が最適なのだ。

これにより耐用年数を大幅に引き上げることができ、ある意味では都合が良かったのだがな。」


「基本コンセプトは現在も変わっておりません。

そのため稼働してからこれまで、アカシックレコードシステムには何の問題も発生しておりません。

しかし一方で改善は行われているものの、それは微々たるもので、実際には微調整と相違ございません。

また計画のみの機能拡張に関しましては、現在凍結状態でございます。

おそらく主様の知識との齟齬も、ほぼ無いと思われます。」


「それも致し方あるまい。

維持管理と機能拡張は別物だ。

ここまで稼働を維持できただけでも称賛に値する。」


「ありがとうございます。

今後も私たちの知りうる限りのことは、全て主様へ共有させていただきます。

ただ、私たちも知らされていない創造主による隠し機能がまだ潜んでいる可能性もございます。

こちらは基本的に私たちの方で調査させていただきます。

ですが主様も何か思い出されましたら、共有いただけますようお願いいたします。」


「わかった。

では話を戻すが、この世界で転移は禁忌のはず。

強行すれば、その距離に応じた代償を支払うことになる。

有視界内の短距離程度であれば、せいぜい距離に応じた体力を消耗する程度。

だが有視界外の長距離となると話は変わる。

良くて部位欠損、少し加減を誤っただけで簡単に命すら落とす。

だが何故このような世界の仕組みが存在するのか、何時、誰が、何の目的で、その一切が謎だ。

これについて何か進展はあったか?」


「いいえ、主様が第一制御カプセルに入られて以降から何の進展もございません。

転移禁忌による代償の支払も、何故このような仕組みが存在するのかも、何一つ判明しておりません。

いまだに謎は謎のままでございます。」


「そうか。」


「ですので、おそらくこの転移した男も加減を見誤り、そのまま転移先にて絶命した可能性が高いと思われます。」


「確かにその可能性が高いだろう。

だがあくまでも一つの可能性であって、逆に生き延びて機を窺っている可能性もある。

違うか?」


「主様の仰る通りでございます。

今後も男の動向には注視いたします。」


「任せる。

それで、その男、何者だ?」


「過去の情報から、両親やその種族などは判明しております。

ですが、その生まれの経緯や行動に関しては、異常の一言につきるのでございます。」


「どういうことだ?」


「記録では、出産前に母親の胎内から複数回の短距離転移を行うことで身を隠したようでございます。」


「確かに自我が生まれる前の赤子としては異常だな。

他に怪しい動きはあるか?」


「はい。

その後、成長してある程度自由に行動できるようになってからは、多くの遺跡を訪れておりました。

そして遺跡に隠された過去の文明の遺産を暴いて得ておりました。

ですがおかしいことに、まるで最初から遺跡の存在と場所を知っていたかのように、その行動に迷いが一切見受けられなかったのでございます。」


「遺跡というのは、空中都市エデンの園に関連する施設のことか。

存在を知らなければ、普通は見つけるのも難しいはずだ。

ということは、最初から存在どころか場所まで知っていたというのは、あながち間違いではないだろう。

それで、その男は遺産を使って何をした?」


「それが、得た知識や機材などを用いて、自身の細胞から大量のクローンを創り出したようでございます。」


「その程度であれば、実現するための技術や施設が残っていてもおかしくはないな。

それで、そのクローンたちはどうなった?」


「現在これらのクローンたちは、そのほとんどが地上の様々な場所へ溶け込んで生活しているようでございます。

多少の暗躍を行う個体もおりますが、男と接触したり、それぞれが連携している様子は見受けられません。

記録を見る限りでは、それぞれ好き勝手に世の中を僅かにかき乱しているように見受けられます。」


「クローンについては男から目を逸らすための囮といったところか。」


「断言はできませんが、可能性は高いと思われます。

ただ気になる点がございます。

数体のクローンが定期的にですが、一定時間立ったまま動きを止めることがございます。」


「立ったまま寝る習性がある、ということは無いだろうな。

であれば何らかの通信手段、例えばテレパシーなどを使って、クローン同士が情報共有でもしているのか?」


「いいえ、違うと思われます。

その不自然な行動は、各個体違うタイミングで行われております。

どれも10日以上の間が開いております。」


「では相手は、その男か?」


「わかりません。

立っているだけで、何かを行っている記録は残っておりません。

何かの儀式とも考えられますが、詳細は不明でございます。」


「怪しい行動ではあるが、記録に残っていないのでは、その真意はわからないか。

さすがにアカシックレコードシステムでも、頭の中で何を考えているかまではわからないからな。」


「いかがいたしますか?」


「クローンの監視は行っているのだろう?」


「はい、常に行っております。」


「なら現状維持で構わない。

ただし怪しい動きがあれば都度報告しろ。」


「承知いたしました。」


「話を男に戻すが、産まれる前から転移が使え、遺跡と化した過去の文明の遺産の存在を知っていた、か。

そうなると可能性として最も高いのが、転生、だな。」


「おそらく間違いないと思われます。

しかし主様もご存じの通り、転生は転移と同様に、情報体の不連続状態に該当いたします。

そのため、何時の時代の何処の誰が転生した存在なのか、現時点におきましても不明でございます。」


「それは一つ前の転生元もわからないということか?」


「はい、申し訳ございません。

また補足といたしまして、空中都市エデンの園に存在した者の情報の中にも、該当する者はおりませんでした。」


「そうか・・・転生によって肉体は別人になるが、魂は違う。

多少変化することはあっても、根幹は変わらない。

だが現時点でアカシックレコードシステムに残る記録に該当する者はいないというのもおかしい話だ。

ツクヨミ、確認するが、報告になかったことから、その男に、魂の統合や同居の痕跡は無い、ということだな?」


「はい、どちらも記録上は観測されておりません。

また記録が改ざんされた痕跡もございません。」


「となると他に考えられそうなのは、隔世遺伝や記憶の継承といったところか。

これなら肉体だけでなく魂も別人になる。

どちらも同じ血統内で起こりうる現象だが、当然既に調べているのだろう?」


「はい。

ですが、血統内に該当する者はおりませんでした。」


「だろうな。

他に考えられそうなものはあるか?」


「申し訳ございません。

現時点では、他に見当がついておりません。」


「八方塞がりか・・・」


「主、ツクヨミ、ちょっとこれ見て。」


「何だ?」


「何です、アシュラ?

主様、これは・・・」


「魂の強化、魂の隠蔽、魂の従属、これらに関する研究提案書だな。

しかしどれも著者は不明。

そしてどれもまた、アカシックレコードシステムが稼働する以前に作成されたと思われる、か。

どれも怪しいとしか思えないタイトルの研究だ。

ツクヨミ、それぞれの研究概要の説明を。」


「承知いたしました。

魂の強化は、元となる魂に他者の魂を融合させることで元となる魂を強化するための研究でございます。

こちらは魂の損傷を修復することを主な目的とする研究でございます。

ですが、魂を融合しますとその性質までもが変化してしまい、別の魂として認識されてしまうことが問題視されたのでござます。

また元となる魂に対して常に主導権を与える部分の理論的な根拠が示せなかったため破棄されております。」


「魂はその者にとって唯一無二のもの。

それを変質させてしまうことは、空中都市エデンの園に住む者たちには受け入れがたいことだろう。

更に残そうとした魂が、逆に別の魂に乗っ取られてしまっては、それは既に別人だからな。

それでは意味がない。

破棄されるのも当然だ。」


「魂の隠蔽は、他者から魂を隠すための研究でございます。

こちらは犯罪者である加害者などから被害者を隠すことを主な目的とする研究でございます。

ですが、特定条件に合わせて魂を隠蔽する部分の理論的な根拠が示せなかったため破棄されております。」


「常に隠すだけでは、そこに魂が無いと思われてしまう。

特に魂の状態を管理されていた空中都市エデンの園では、逆に反意があると勘違いされ不審者扱いされてしまうだろうな。

それでは本末転倒だ。

それに魂を隠すことで、その場にいないように偽ることも可能になる。

犯罪に利用される可能性があっては、破棄も当然だな。」


「魂の従属は、他者の魂に制限を与えて従えるための研究でございます。

こちらは犯罪者などの管理や更生を主な目的とする研究でございます。

ですが、魂に細かい制限を与えることが難しく、また従属後に解除する部分の理論的な根拠が示せなかったようでございます。

そのため倫理的に反対する声が多かったことで破棄されております。」


「使い方によっては、一生物言わぬただの人形ができるだけ、か。

管理はできるが、元に戻せないのであれば、その後に待っているのは廃棄という名の処刑だ。

それでは犯罪と処刑が同義になってしまう。

破棄以外考えられないだろう。」


「主様の仰る通りの理由から、どれも実用化どころか、研究が行われた痕跡すらございません。」


「当然の結果だな。

このような研究、反対する者が大半だろう。

だが記録に残っていないだけでは、研究が行われていないことにはならない。」


「その通りでございます。」


「そして、魂の強化、魂の隠蔽、魂の従属、どれか一つだけなら、一見その男とは関係なさそうに思える。

しかし、この三つを組み合わせたとしたら、別人になることは可能だと思わないか?」


「いくつかクリアすべき問題はございますが、十分可能だと私は考えます。

例えばでございますが、強化を融合、隠蔽を偽装、従属を隷属、このように考え方を置き換えます。

そういたしますと、それぞれ次のように研究が進展いたします。

強化の主導権を得る部分に隷属を利用することで魂を強制的に従え、安定した融合が可能と思われます。

隠蔽の特定条件のみ隠すという考えを捨て、これまでと変わることを嫌わなければ、融合による魂の変質によって偽装が可能と思われます。

従属の制限を与えて後に解除する部分を無視するのであれば、処刑済みと偽って別人に偽装させることで世間体を気にせず隷属が可能と思われます。

これらにより、隷属させた魂を融合して自身を強化し、更に変質することで別の存在に偽装することが可能になると思われます。

つまりうまく組み合わせることで、別人としてアカシックレコードシステムの記録から逃れることができるのでございます。」


「私も概ね同じ意見だ。

男がこれらの研究を利用したことは、状況から見てほぼ間違いないだろう。

そうなると、男は空中都市エデンの園にいた可能性が非常に高い。

それもかなり高位の権力者だったはずだ。」


「間違いないと思われます。」


「だがここで手詰まりだ。

結局、男の正体はわからないという結論に至っただけだ。」


「はい。

別人に偽装されてしまっては、どれを同一人物として結び付けていいか判断ができません。

ですので、消えた男が現れるのを注視することしか、できない状況でございます。」


「仕方ないが、それが今できる唯一の手段だろう。

男の新しい記録が追加されないか監視を続けろ。」


「お任せください。」


「そういえば、男の両親や種族はわかっていると言っていたな。

そことのつながりは無いのか?」


「はい、記録には一切ございません。

男としては、自身の存在を隠すことを第一に考えたようで、余計な接触を避けたと思われます。

また両親や親類縁者は、男の存在に気付いておりません。」


「それはおかしな話だ。

普通の親であれば、突然子が胎内から消えたのだから、気付いて原因を調べるくらいするはずだ。

何故気付いていない?」


「気付いてはいたようでございます。

しかし男は双子として生を受けました。

どうやら両親は、胎内でもう一人に吸収されたと判断したようでございます。」


「そういうことか。

身を隠すのに都合がいい状況だったわけだな。

納得したぞ。」


「では、この男に関しますご報告は以上になります。

他に何かございますでしょうか?」


「無い。

次の報告を。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。