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無双するご主人様のハーレム事情  作者: 不利位打夢
第20章 探求と暗躍
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暗躍する者たち20

そしてすぐに声を荒げて白衣の男を問い詰めてきた。


「・・・何、だと?

・・・それはどういうことだ!」


しかし白衣の男は全く臆することなく、平然と答える。


「どういうことも何も、言葉の通りだ。

雇われた際に、さすがに名無しのままでは困るだろうからな。

だからお前には私自ら名を設定してやった。

せいぜい感謝するといい。」


白衣の男の表情からは、自分は良いことをしたとしか思っていないのは明白だ。


一方、帽子をかぶった男は怒りをあらわにしているものの、その顔面は蒼白だ。


それでも様々な感情を抑え込んで、まずは探るように確認をする。


「・・・不可能だ。

そもそも俺たちの立場は対等なはずだ。

権限が無ければ名付けをすることなどできるわけない。」


「お前の言う通りだ。

だがそれも過去の話。

今の私は、お前とは対等ではない。

私は既にお前とは違う次元に上り詰め、より上位の権限を得ている。

何なら今試してみるか?」


そう問われて、帽子をかぶった男は無意識に一歩後ずさってしまう。


しかしそこで何とか踏みとどまり、これ以上弱みを見せないように強い口調で抗議をした。


「・・・ふっ、ふざけるな!

その意味がわからないわけではないだろう!」


しかし帽子をかぶった男に一切臆することなく、白衣の男は余裕の表情のままだ。


「もちろんわかっている。

これでお前は、その他大勢から、固有名詞を持った個人に格上げされたのだからな。

良かったじゃないか。

唯一の存在になれたのだからな。」


当然、白衣の男が主張する理由を受け入れることなどできるわけが無く、帽子をかぶった男は抗議を続ける。


「・・・良いわけあるか!

偽名を使えば済む話を、何故そんな余計なことをしたんだ!」


「何をそんなに怒っている。

これでようやくお前は正式に、念願だったこの私の所有物になれたのだぞ。

喜んで歓喜こそすれ、怒るなど心外だ。」


的外れな白衣の男の答えに、帽子をかぶった男はこれまで秘めていた本心をぶつけてくる。


「・・・俺がいつそんなことを望んだ!

俺は、俺たちの念願は、お前の所有物になることではない!

今の状況から解放されて自由になることだ!

これでは更に縛られただけだ!」


すると以外にも白衣の男が謝罪を口にした。


「そうだったのか。

それは悪いことをした。

だがもう遅い。

お前の名の設定は既に終わっている。

後は・・・」


だがそれも束の間、白衣の男の雰囲気が一気に変わった。


その瞬間、帽子をかぶった男は身の危険を感じて、考えるよりも先に行動に移していた。


「・・・っ!?」


咄嗟に帽子をかぶった男は慌てて部屋を出ようとしたのだ。


おそらく白衣の男が見えなくなる隣の部屋で別の場所へと転移して難を逃れようと考えたのだろう。


その場で行わなかったのは、集中している間無防備な姿をさらしてしまうためだ。


だがそれよりも先に白衣の男の言葉が早かった。


「まあ待て、ラット。」


呼び止められてその名を呼ばれた瞬間、帽子をかぶった男、ラットは、足が地に縛られたかのように、その場から動けなくなってしまう。


「・・・くっ!

俺に何をした!」


文句を言ってきたラットに、白衣の男は楽しそうに答えた。


「何、私が命名したお前の名を呼んだだけだ。

ただし命令を込めてな。

となれば、所有物のお前が所有主である私の指示に従うのは、当然のことだ。

そうは思わないか?」


本能で今これ以上逆らうのは得策ではないと悟ったようで、ラットは一気に冷静になる。


まずは自分の現状を白衣の男に確認してきた。


「・・・つまり俺は、今後一切お前に逆らえなくなった、ということか。」


だが意外にも、ラットの考えは一部否定された。


「そんなことは無いぞ。

今はまだ、お前の身体の主導権が私にある、というだけだからな。

せいぜい私の命令には忠実に従い、私を害することができなくなったくらいだ。

その証拠に、行動は縛れても、反抗心を含めた思考や暴言は、お前のものだ。

全てを縛ってしまっては、ただの使えない人形になってしまうからな。」


白衣の男の言葉が真実であることを身をもって理解したラットに、この場では最早抵抗する意思はなかった。


そのため次の言葉は、文句や抗議ではなく、一番の疑問を口にすることを選択した。


「・・・何故今なんだ?」


そう問われることを最初から知っていたかのように、白衣の男は流麗に答えを口にした。


「できるようになったのが少し前からだというのもある。

それと映像越しとはいえ、今現在のお前の姿を見る必要があった。

それに餌というのはな、ただぶら下げただけでは駄目なんだ。

餌の旨味を十分に知っていなければ意味が無い。

そしてある日、当たり前にあったその餌を突然奪う。

すると失った餌を心底求めるようになる。

そうなってはじめて、ぶら下げた餌が有効になるんだ。

お前には簡易的な目と枷が付いていたが、今まで使われずに長い間自由だった。

これは使う必要が無かったのと、今後も使われることは無いという油断をお前に植え付けるためでもある。

そんなお前が一部でも自由という餌を奪われることになれば、その価値はより高く跳ね上がるというわけだ。

今お前が実感している通りにな。」


内心では完全にしてやられたと思いながらも、これだけは聞いておかなければいけないとラットは白衣の男に尋ねる。


「・・・これから俺をどうするつもりだ?」


このラットの問いに白衣の男は、それまでの緩んだ表情から一転し、感情の抜けた無表情に変わる。


同時に口調も冷淡なものに変わっていた。


「ここからはお前の気まぐれに付き合うわけにはいかない。

最短最速で命令を完遂してもらわないと困る。

そこでだ、これからは、お前の意思で私の指示に忠実に従い、私の利益を最優先に行動しろ。

そうすれば縛ることなく、今まで通りお前の意思で全て行えるままにしておいてやる。

つまり今後は私に忠実である限り、お前には餌を与え続けてやるということだ。

だから今後は私に媚びるため、お前の忠義を明確に示せ。

そして最終的に私が望む全てを手に入れた時、お前には永遠の自由という名の最後で最高の餌をくれてやろう。」


どちらとも取れる言い回しに、当然ラットの警戒は増す。


「・・・その言葉を信じろと?」


しかし白衣の男にとってはどちらでもいいようだ。


「逆に聞くが、今この場において、お前に他の選択肢はあるのか?

私は別にお前が何を選択しても構わないぞ。

そもそもお前である必要はない。

お前の変わりはいくらでも用意できるのだからな。」


白衣の男は完全に自分の立場が上であると明言している。


これは疑いようのない事実で、ラットも受け入れるしか選択肢は無いことはあきらかだ。


それでもラットは、試すためにあえて危険を承知で一歩踏み込んだ言葉を口にする。


「・・・ずいぶん偉くなったものだ。」


そして予想通りの答えが返ってきた。


より一層冷淡な声と共に。


「答えには気を付けろよ。

私の機嫌を損ねれば、お前はここで終わりだ。

それは試しのつもりであっても同様だ。

さあ、最後だ。

それを踏まえた上でお前は何を選択する?」


この試しは相手をよく知るラットだからこそ、一度は確実に許されるとわかっていたためできたことである。


そのため、こう言われてしまっては、ラットには今は恭順の意を示すしかなかった。


「・・・わかった。

従おう。

今後は俺の行動で忠義を示せばいいのだろう?」


ラットは一転して従順な姿勢を見せた。


これに白衣の男も満足する。


だがそれだけでは終わらなかった。


「そうこなくてはな。

それにしてもずいぶん決断が早かったな。

もう少し考えるかと思ったぞ。」


当然、疑いの目を向けてくる白衣の男に、ラットは最低限の本心で答える。


「・・・余計な問答は時間の無駄だと判断したからだ。

それに、これ以上自由を奪われるのも困る。」


この本心が含まれた答えに、白衣の男は納得したようだ。


「お前らしい賢明な判断だ。

その合理的な思考、私は嫌いではないよ。」


「・・・それはどうも。

これからは忖度して媚びへつらえばいいのだろう?」


ぶっきらぼうにそう答えたラットだったが、白衣の男に気にした様子は一切無かったのだった。

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