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無双するご主人様のハーレム事情  作者: 不利位打夢
第20章 探求と暗躍
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暗躍する者たち18

一方、受付の男との通信を終えた帽子をかぶった男はというと、すぐに依頼された仕事へは向かわなかった。


まずは今いる自身がいくつか所有する隠れ家から、別の隠れ家へと移動をはじめた。


このとき隠れ家から外に出て、徒歩など様々な手段を使って普通に移動するわけでは無い。


最初に石板のような白い板状のものが置かれている通信を行った部屋から、隣の何も無い部屋へと移動する。


次にその部屋の中央に立つと、目を閉じて意識を集中してすぐ、帽子をかぶった男の姿が霞むようにその場から消えた。


そして帽子をかぶった男が目を開けたときには、元居た場所から国をいくつもまたいだ離れた場所への移動が完了した後だった。


つまり、空間転移した、というわけだ。


しかしこれで完全に終わったわけではない。


当然この後、相応の代償を支払うことになる。


一呼吸置いた後、突然帽子をかぶった男の右腕と左足が根元から同時に弾け飛び、部屋の壁に勢いよくぶつかる。


更に部屋の中は、辺り一面に血が飛び散って悲惨な状態だ。


だが帽子をかぶった男は平然とした様子で、それをただ冷めた目で見ている。


「・・・相変わらず面倒な代償だ・・・ふんっ。」


そして慣れたように失った部位へ僅かに力を込めると、いつの間にか右腕と左足は何事も無かったかのように元に戻っており、軽く動きを確かめていた。


同時に弾け飛んだ腕と足、飛び散った血も奇麗さっぱり消えている。


「・・・動きは・・・問題無いな。

毎度のことながら、どうにかしてほしいところだ。

さて、仕事の前に、こっちも報告しておくか。

後々になると面倒事に巻き込まれて、余計な時間を消費させられるだけだからな。」


そう独り言を言って帽子をかぶった男は、移動先の何も無い部屋から隣の部屋へと向かう。


そこには移動前の隠れ家にもあった、同じような石板らしき板状のものが置かれている。


しかし前の隠れ家にあったものとは少しだけ違っており、色は茶色がかった黒であった。


帽子をかぶった男がそれに手を置くと、目の前に血だらけの白衣を着た男が一人映し出される。


すぐに白衣の男は、帽子をかぶった男からの通信に気付く。


「ん?

誰です?

・・・お前か。

何の用だ?」


最初は猟奇的な姿とは対照的に穏やかな口調であった。


だが帽子をかぶった男からだと気付くと、あきらかに下に見て尊大な態度に変わる。


そんな白衣の男の態度には何も言わなかったが、映った様子に対して帽子をかぶった男が揶揄する。


「・・・報告だ。

相変わらずお盛んなようだな。」


これに対して白衣の男に気にした様子は無く、軽口を返してきたものの、中断させられたことで少々機嫌が悪くなっているようだ。


「お前ほどではない。

見ての通り忙しいので手短に報告しろ。」


それでも臆することなく、帽子をかぶった男は一言注意を付け加える。


「・・・わかっている。

だがその前に、この場に相応しくないその姿を何とかしろ。」


すると意外なことに白衣の男は素直に謝罪しながら、帽子をかぶった男の指摘を受け入れた。


「私としたことが、失礼した。

・・・これでいいな?」


白衣の男が白衣に軽く触れると、一瞬で血の跡が消える。


その姿を確認してから、帽子をかぶった男はようやく報告をはじめた。


「・・・いいだろう。

俺が依頼された内容と今後の予定だ。

まずは天使数体を確保して従える。

次にオノゴロへ上陸し、管理者と共に確保して掌握する。

その後はシェヴァに雇われる。

この後、時期は不明だが、いずれ北にいる連中の拠点に攻め入る協力をすることになると思う。

以上だ。」


帽子をかぶった男が一気にこれからの予定を大まかに報告すると、すぐに白衣の男から質問が返ってくる。


「その内容からすると、とうとう事態が大きく動き出したか。

ここまで長かったが、ようやくだな。

一つずつ順番に確認する。

天使を確保して何に使う?」


「・・・オノゴロを含む空中都市へ上陸するため、だと思う。」


「ああ、空を飛んで空中都市へ渡るための足にするのか。

天使を使わなければ行けないとは、相変わらず不便だな。

だが、それだけか?」


報告に対して白衣の男が詳しい意見を求めてきた。


だが帽子をかぶった男は自分の意見を簡単に答えただけで、すぐにその要求を拒否する。


「・・・おそらくそれ以外の用途も考えているだろうが、俺は何も聞いていない。

そもそも俺が関与することではない。」


この答えで白衣の男はあっさり引き下がる。


「それもそうだ。」


すると帽子をかぶった男は、依頼内容の詳細説明を追加で口にする。


「・・・ただ俺がオーダーされたのは、最低でも五体を殺さずに生かしたまま、できるだけ無傷で確保することだ。

だがこれだけではない。

その後、調教して従順にする、までだ。

安全な移動手段にするという意味では、わからなくもないオーダーではある。

しかし、たかが移動手段、それも天使に、そこまで手間をかける必要があるのかは疑問だ。」


「確かにな。

これはあきらかに移動手段以外でも何か用途があるな。」


「・・・だろうな。」


二人の意見が一致したものの、白衣の男は自分から言っておいて、あまり重要視していないようだ。


「しかし、たかが天使。

使いどころは、それほど重要では無いはず。

お前は気にするな。

頭の片隅ででも俺の方で考えておく。」


「・・・任せる。」


この質問はここまでのようで、白衣の男は前置きせず唐突に次の質問へ移った。


「オノゴロ掌握の際、中枢施設や管理者はどうする?」


「・・・当然オーダーは、どちらも使える状態で確保、だ。」


「ふむ・・・まずは他の空中都市確保のために。

次に北へ攻め込むために。

その基本的な用途は戦力としてか。」


「・・・だろうな。」


「しかしそれ以外にも何か重要な用途があるのは間違い無いな。

むしろそっちが本命のはず。

お前はどう思う?」


白衣の男に問われた帽子をかぶった男だが、突っぱねた答えを返す。


「・・・俺に聞くな。

俺は報告するだけ。

考えるのはそっちの役目だ。」


帽子をかぶった男の態度に気を悪くすること無く、むしろ白衣の男は肯定しながら質問を続ける。


「その通りだ。

だからこそお前が知りうる情報は、事細かく全て報告しろ。

それこそ関係無いと思われる些細なこともだ。」


「・・・わかっている。」


「なら逆に、中枢施設や管理者以外はどうなる?」


「・・・極力現状維持で確保するようにオーダーされている。」


「少しでも修理の手間を省きたいということは、すぐにでも全ての機能を利用するためか。

おそらくオノゴロを強制的に覚醒させ、その全てを使って他の空中都市を早期に掌握するつもりだろうな。

覚醒前の他の空中都市であれば、間を開けないことで容易に掌握することが可能だと判断したか。」


「・・・オノゴロの機能を使うつもりなのは間違いないが、用途は俺の知るところではない。

そもそもオノゴロ以外の空中都市については、俺に掌握するオーダーは出ていない。」


「となると他の空中都市は、お前に依頼せず自力で掌握するつもりなのか。

それは万が一お前が、管理者特級権限の最上位を得てしまう可能性を懸念しているからだろう。」


この白衣の男の予想に、帽子をかぶった男が疑問を口にする。


「・・・いや、それはおかしい話だ。

オノゴロの管理者確保については、オーダーに方法の指定は一切無い。

やり方は俺に一存されている。

好きなようにして構わないとな。」


「それは、お前がオノゴロで管理者特級権限の最上位を得る可能性も織り込み済み、ということだな。

だったら何故、オノゴロ以外の空中都市掌握はお前に依頼しない。

裏を読めば、他の空中都市は自力で掌握する必要がある、ということかもしれない。

それともお前のやり方を確認してから、どうするか決めるつもりか。

一体何を考えている?」


「・・・さてな、俺にはわからん。」


「そうか・・・だが、少し面白くなってきた。」


「・・・俺には面倒事が増えるとしか思えん。」


「まぁそう言うな。

これについても俺の方で考えておく。」


「・・・そうしてくれ。

ああ、一つ追加情報があるのを思い出した。

今回のオーダーでは何故か、天使確保とオノゴロ掌握の開始時と終了時に報告が義務付けられている。

どう思う?」


帽子をかぶった男から意見を求められ、白衣の男は考え込むのだった。

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