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無双するご主人様のハーレム事情  作者: 不利位打夢
第20章 探求と暗躍
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暗躍する者たち10

しばらく黙って二人並んで歩いて行くと、建物が見えなくなり、分かれ道で一度立ち止まる。


「俺はこっちに行く。」


「僕はそっちだ。」


別の方向に行くことを互いに確認すると、シェインは別れの挨拶も言わずに立ち去ろうとする。


一方シェヴァは、周囲に誰もいないことを確認してからシェインを呼び止める。


「・・・シェイン、少し話をいいかい?」


呼び止められたシェインはすぐに立ち止まって振り返ると、シェヴァの要望に応じる意思を示した。


「ああ、別に構わない。

だが回りくどいのは無しだ。

手短にしろ。」


シェインの要望通り、すぐにシェヴァは本題に入る。


「わかってるよ。

早速だけど、君はさっきの僕とシェドラの話をどう思ったんだい?」


だが大雑把な聞き方だったためか、シェインがオウム返しで聞き返してくる。


「さっきの話とは?」


「とぼけないでくれ。

例の裏切り者についての一連の話だよ。」


「その話か。」


「で、どう思ったんだい?」


「どうも思うわん。」


「どうしてだい?」


「今は内で争ったり疑心暗鬼になるときではないからだ。

何よりも優先すべきは、計画を先に進めることだ。

そのためにシェドラの力は必要不可欠だ。

違うか?」


「確かに君の言う通りだ、シェイン。

しかしその結果が僕たちの本意とは違っていたら大変だ。

だからこそ事前確認は必要だと思わないかい?」


このシェヴァの意見に、シェインは全く共感しないようだ。


「思わん。」


「それは何故だい?」


「シェドラが俺を裏切るのであれば、そのときに対処すればいいからだ。

重要なのは過程ではなく結果だ。」


「つまり、最終的に本来臨んだ結果になれば問題無いということか・・・まぁ君らしい答えだね。

だが足元をすくわれた後では遅いかもしれないよ。

取り返しがつかなくなって、結果を修正できない場合もあるからね。

でも事前に対処できるなら、後々面倒事を防げると思わないかい?」


すると今度はシェヴァの意見にシェインも一定の共感を示したものの、賛同どころか逆に注意してきた。


「お前の言うことも一理ある。

だが現状ではシェドラが裏切ったという事実も証拠も一切無い。

その状況でのあからさまな警戒は、俺たちの間に不和を生むだけで、双方に益が無い。

だから今回お前が疑いの目を向けていることをシェドラに伝えるべきではなかった。

違うか?」


暗に余計なことをするなというシェインに、シェヴァは反省もそこそこに、すぐ別の話に切り替えてきた。


「そうなんだよねぇ。

今回は僕も直接過ぎたから悪かったと思っているよ。

じゃぁそこで改めて確認だ。

君は本当に、僕らの目を掻い潜って逃げている裏切り者がいると思うかい?」


これに対してシェインは即答する。


「わからん。」


予想外の答えだったのか、シェヴァはシェインに真意を尋ねる。


「わからん、って、君はそれでいいのかい?」


「構わん。

いたら粛清、いなければそれに越したことは無いというだけだ。」


シェインの簡潔な答えを、シェヴァが自分なりに解釈して要約する。


「探す手間をかけるくらいなら、再び僕たちを害してきたとき臨機応変に対処すればいい、か。

それはつまり、今は過去の報復よりも未来につながる計画を優先すべき、というわけだ。」


「そうだ。」


「君らしい答えだね。」


「理解したなら話は終わりだな?

では・・・」


話が終わったと思ったシェインが背を向けて立ち去ろうとしたので、慌ててシェヴァは呼び止める。


「ちょっ、勝手に話を終わらせないでくれ。

ここから本題に入っていくんだから。」


再びシェインは足を止め、シェヴァに向き直す。


「だったら早く話せ。」


シェインを引き止めることができたことを内心安堵しながら、シェヴァはすぐに話を続ける。


「わかってるよ。

じゃぁ君はシェドラの手足君たちについてはどう思っているんだい?」


「それはシェドラ直属の部下の三人のことか?」


「他に誰がいるって言うんだい。

ちなみに君は会ったことがあるかい?」


「ない。」


「じゃぁ彼等の下、その部下や傘下の組織のつながりなんかについては知っているかい?」


「知らん。」


ここまでシェドラの部下に対する認識が同じであることを確認したところで、シェヴァが疑問を口にする。


「僕も同じだ。

でもそれっておかしいと思わないかい?」


「何がだ?」


しかしシェインはそう思わなかったらしい。


そんなシェインにシェヴァは自分の考えを説明する。


「僕と君、そしてシェドラの三人は、互いの利害が一致した関係とはいえ、今は運命共同体の仲間だ。

手の内を全てを明かせとまでは言わないが、普通なら連絡用の部下くらい用意するはずじゃないか。

でもこれまでそんな話は一切出たことが無い。

今回の帰還指示の連絡だって、僕たちだけがわかる間接的なサインのみで、非常に非効率な手段をとっている。

連絡員でも用意すれば、もっと簡単に僕たちを招集できるのにだ。

あきらかに自分の手札を隠して、何か企んでいるとしか思えないんだよ。」


これに対してシェインが自分の考えを答える。


「お前の言いたいこともわかる。

だがそれは俺たちの存在を秘匿するためであることもわかっているはずだ。

余計な人員を増やせば、それだけ俺たちの存在も明るみに出る可能性が上がるからだ。

現に俺たちの存在は、いまだ公にはなっていない。

俺やお前が近しい部下を新たに作らず協力者だけに止めているのも、そのためのはずだ。

そうでなければお前が連絡員とやらを用意すればいいだけだからな。

しかしだからといってシェドラが何も企んでいないとは言えない。

だからそのときは全て排除すればいいだけだ。」


「君ならそう言うよね。

そこでここからが重要なお願いなんだけど、秘密裏に僕と約束してくれないかい?」


予想外のシェヴァの言葉に、思わずシェインが聞き返す。


「約束?」


「そう、それも後腐れの無い一回だけの約束だ。

だから契約を結ぶ必要は無い。

だけどそのときが来たら、必ず守る、という言質だけは今ここで取っておきたい。

どうだい?」


「内容による。」


断らずに続きを促されたので、シェヴァは約束について具体的に説明する。


「簡単な約束だよ。

もしシェドラやその部下たちが、僕やシェインのどちらか、もしくは両方を裏切るようなことがあった場合のための保険だ。

そのときが来たら、必ず互いに協力して事態を収束して解決する、それだけを約束してほしいんだ。

どうだい?」


少し考えてからシェインが質問してくる。


「・・・一つ答えろ。

裏切るとは、意図的に俺に不利益を与えた時、ということか?」


「そこは、僕たち、もしくはどちらかに対して、だね。」


シェヴァの補足を受け入れた上で、シェインは要望を提示する。


「いいだろう。

だがその判断は、互いの合意の上で、だ。

片方の一方的な判断では、俺は動かん。」


「つまり、裏切りがあったと僕と君の双方が認めた場合のみ約束として有効、ということだね?」


「そうだ。」


「オーケー、それで問題無いよ。

じゃぁ・・・」


シェヴァが最終確認をしようとすると、それをシェインの言葉が遮る。


「その前に、これだけは言っておくぞ。」


「んっ?何だい?」


「お前も例外ではない。

裏切れば排除する。

それは忘れるな。」


そう言って威圧してくるシェインだったが、シェヴァは涼しい顔で受け流しながら軽口で答える。


「あー怖い怖い。

もちろんわかっているし、覚えておくよ。

君とは今後も協力関係を継続していきたいからね。

そうならないように最大限努力するよ。」


「そう願う。

俺としても、お前の相手は少し面倒だ。」


「そう言ってもらえてある意味光栄だね。

だが君もわかっているはずだ、互いの最終目的を叶えるためには、僕は君、君は僕の協力が必要不可欠だってね。

だからこそ僕たちは永久に協力関係を築けると確信しているよ。」


「そう願う。

俺もお前との決裂は望むところではない、今はな。」


「まぁそれくらいが、お互いの距離感としては妥当なところだね。

じゃぁ改めて、裏切りがあったと僕と君の双方が認めた場合のみ約束として有効、この内容で約束してくれるかい?」


シェインは自分の中で改めて約束の内容を確認したのか、少し考えるそぶりを見せてから答えた。


「・・・いいだろう、約束する。」


シェインとの約束を取り付けることができたからか、シェヴァは嬉しそうな表情で感謝する。


「ありがとう、それだけ聞ければ十分だよ。

悪かったね、足を止めて。」


「構わん。

今度こそ話は終わりか?」


「そうだよ。」


「そうか。

ではな。」


背を向けたシェインに、シェドラも引き止めずに挨拶と確認のつもりで、次の時期を使った。


「また2ヶ月後に。」


するとシェインは振り返らずに足を止めて答える。


「時期は約束はできん。

それにシェドラからは、次は2ヶ月以内と言われていたはずだ。」


「でも君のことだから、多少の前後はあるだろうけどギリギリまでは粘るつもりだろ?

ちなみに僕はそのつもりだよ。

だったら今回みたいに鉢合わせるんじゃないかな。」


「・・・どうだかな。」


少し考えたそぶりを見せたシェインの態度を確認したところで、今度はシェヴァから話を切り上げた。


「まぁいいや。

とにかく吉報を待ってるよ。」


「そっちもな。」


それだけ言って、シェインは振り返らずに去って行った。


そんなシェインをシェヴァはその場から動かずに見送る。


そして完全にシェインの姿が見えなくなったところで、無意識に安堵のため息が出た。


「・・・はぁぁぁぁぁ。

これだから脳筋の相手は神経を使って疲れるよ。

でもとりあえず約束はできたから、今のところシェインの方は問題なさそうかな。

あれでもし演技だったら、さすがの僕でも見抜けない。

そのときは潔くあきらめるしかないね。

さてと、僕もお仕事しますかね。」


自問自答していたシェヴァだったが、自分なりの答えが出ると、足早にその場を後にしたのだった。

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