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無双するご主人様のハーレム事情  作者: 不利位打夢
第20章 探求と暗躍
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暗躍する者たち9

シェインもすぐにそれが意味するところを察したようだが、あえて口に出して聞き返した。


「・・・それは、裏切り者について、か?」


「ええ、そうです。

それで、何か進展はありましたか?」


少し早口で急かすシェドラに、シェインは首を横に振りながら答える。


「いいや、残念だが有力な情報は何も得られていない。

裏切り者の消息も生死も、それどころか僅かな痕跡すら未発見だ。

当然探し物もだ。」


「そうですか・・・やはり逃げ隠れすることにかけては、相手の方が一枚上手のようですね。

これまで我々に何の情報も掴ませないのですから。」


「どうする。

このまま続けるか?」


「引き続きお願いします。

ですが優先度は一時的に一段下げてください。

今の最優先は拠点の発見でお願いします。」


「わかった。」


シェドラはシェインとの話を切り上げると、シェヴァにも同じ内容の報告を求める。


「ではシェヴァも報告をお願いします。

何か進展がありましたか?」


だが問われたシェヴァは、報告ではなく疑問を口にした。


「裏切り者か・・・最近今更ながら思うんだけど、本当にいるのかい?」


この疑問にシェドラは、確信を持って答える。


「愚問ですね。

現に我々は各々が奪われているではありませんか。

だからこそ今の不自由な状態なのです。

でなければ、このように長年こそこそ隠れながら回りくどいことはしていません。

全てが万全であれば力を示せばいいだけなのですから。」


「それについては僕も同意するよ。」


「でしたら何故裏切り者がいないなどと言うのです。

もし裏切り者がいないというのであれば、奪われたそれらはいったい誰がどこに隠しているというのです。」


逆にシェドラから指摘されたシェヴァはというと、答えではなく更に疑問を投げかけてくる。


「そこなんだよねぇ・・・そもそも僕たちは、気付いたときには奪われた後だったからね。

だから、いつ、誰が、何の目的で、僕たちから奪ったのか、それが全くわからないんだよ。

当然、裏切り者がいるのか、その存在すらいまだに不明というのが本当のところじゃないかい?」


「・・・何が言いたいのです?」


鋭い視線を向けてくるシェドラに臆することなく、シェヴァは飄々とした態度で軽く返す。


「僕が言わなくても、君ならもうわかっているだろ?」


これ以上の駆け引きは無駄な時間を浪費するだけと考えたのか、早々にシェドラが折れた。


「はぁ・・・シェヴァ、貴方はこう言いたいのですね。

逃げ隠れしている裏切り者など最初からいなかったのではないか、と。

そして、真の裏切り者は我々の傍にいるかもしれない、と。」


「正解。」


期待した答えをシェドラから引き出せたからか、シェヴァは満面の笑みだ。


一方シェドラは表情を変えることなく、自分の見解とある事実を報告として付け加える。


「当然私もその可能性は考えました、最初に。

ですが私が独自に内部調査を行った結果、我々の中にはそのような者は一人もいませんでした。」


「さすがはシェドラだね。

でも、その調査を最後に行ったのはいつだい?」


「最後は半年ほど前です。

調査は数年に一度ですが、それなりの時間をかけて抜き打ちで秘密裏に行っています。

後になって心変わりする可能性もありますから。」


「さすがに抜かりないね。」


「当然です。

やるからには徹底的にが性分ですから。」


「となると、身内には潜んでいる可能性は、限りなくゼロに近いか・・・ただし例外を除いて。」


そう言ってシェヴァが視線を向けてきたので、その意味を理解したシェドラが冷たい視線を返しながらやんわりと抗議を口にする。


「冗談にしては笑えないですね。」


「でも可能性はゼロじゃない。

調査者本人が実は裏切り者だった、なんて、物語なんかじゃド定番だからね。

最初に疑うのは当然でしょ。

違うかい?」


「状況的に貴方がそう考えるのも仕方のないことですか・・・それで、私にどうしろと?」


「まずはその調査の内容について、いくつか僕の質問に答えてくれるかい?」


「いいでしょう。

私に隠すことなどありません。

何でも好きに聞いてください。

全てに答えましょう。」


「そうこなくてはね。

じゃぁ・・・」


そこからシェヴァは、調査について質問を繰り返した。


それはもう、これでもかと言うくらい事細かくだ。


しかし問われたシェドラは嫌な顔をせずに、包み隠さず全てを理路整然と答え続けた。


「・・・です。」


「なるほどね。

後は・・・」


しかしあまりの質問の多さに、とうとうシェドラが痺れを切らした。


「シェヴァ、まだ納得できませんか?」


「ん?いや、君の調査は完璧だよ。

ここまでの僕の質問に対する答えも全く非の打ち所がない。

さすがはシェドラ、完璧だ。」


「でしたらそろそろ終わりにしてほしいところです。

お互い暇ではないのですから。」


暗に自分の仕事がしたいからと、そちらも自分の仕事をしろと言うシェドラに、少し考えてからシェヴァが了承する。


「そうだねぇ・・・だったら次が最後だ。

これで終わりにすると約束しよう。

いいかい?」


「ようやくですか。

わかりました。

何でも聞いてください。

最後まで嘘偽りなく答えると約束します。」


「そう願うよ。

では最後の質問だけど、その調査は今も昔も君が一人で行っているのかい?」


ここではじめてシェドラが一瞬答えに迷う。


しかしすぐに自身が宣言した通りに答えた。


「・・・いいえ。

調査自体はレッド、ブルー、グリーン、この三人に一任しています。

私は調査の指示と報告を受けているだけです。」


「君の直属の部下で懐刀の三人かぁ・・・まぁ当然そうだよねぇ。」


自分の予想した通りの答えをシェドラの口から直接確認できて、シェヴァは一人で納得している。


そんなシェヴァの態度に、不機嫌そうな声でシェドラが質問してくる。


「何か問題でも?」


するとその質問を待っていたとばかりに、シェヴァが不満を口にする。


「いや、問題は無いんだけどねぇ・・・正直、僕は彼等がよくわからないんだよ。

仕事仲間としては長いけど、深く関わっているわけでも親密でもない。

そもそも僕は彼等に直接会ったことすら無い。

そんな彼等を心の底から信用できると思うかい?」


これに対するシェドラの答えは、部下たちの擁護だった。


「彼等は優秀で忠臣ですよ。」


そこにシェヴァが付け加える。


「彼等が優秀かつ忠臣であることは認めるよ。

ちゃんと結果を出して、僕たちの利益につながっているんだからね。

でもそれは君に対してだけだろ、シェドラ?

僕たちはオマケみたいなものだ。」


「そんなことはありませんよ。

貴方たちだって、彼等にはいろいろと世話になっているではありませんか。

計画の第一段階が成功したのも、今私たちがこうしてある程度自由に動けるのも、彼等の功績があってこそです。

それこそ彼等が忠臣である証。

違いますか?」


「確かにねぇ。

でもねぇ、今思うと肝心なところ以外は、あまりにも出来すぎだったような気がするんだよ。

まるで今の状況こそが本来の計画だったかのようにね。」


「出来すぎですか・・・しかし計画を立てたのも、実行に移したのも、私たち三人が主導で行ったことです。

彼等を含めた私たちの部下たちは、私たちの指示通り、忠実に事を運んだだけです。

しかし結果は計画の一部が予想とは違っていたことで、不本意ながら今の状況になってしまいました。

その責任まで彼等に押し付けるのは、責任者という立場としていかがなものかと思います。」


責任という言葉を軸にして論点を戻そうとするシェドラだったが、すぐにシェヴァが軌道修正する。


「責任者が責任を負うのは至極当然だと僕も思うよ。

でも計画の準備の大半、それも重要な部分を担ったのは彼等だ。

僕たちはそのお膳立ての上で計画を実行したにすぎない。

そう考えると、全ては彼等の思惑通りなのではないかい?

計画の第一段階が成功したのも、今の僕たちの状況もね。」


「あり得ません。

彼等はあくまでも私たちの手足です。

意見を口にすることはあれど、頭脳としての最終決定権まで与えたことなど、これまで一度もありません。

そこは彼等も十分にわきまえています。

ですから、もし彼等が勝手な解釈で私たちに損害を与えるのであれば、私が責任をもって彼等を処断し、その責任は私が請け負います。

しかし私の今の最優先目的は、計画の第二段階を成功させ、第三段階へと速やかに移行させることです。

それは貴方たちも同じはずです。

そしてそのためには、どうしても彼らの協力が必要不可欠です。

違いますか?」


このシェドラの答えを聞いたシェヴァは、それまでの対立姿勢から一転、急に態度を軟化させた。


「もちろんその通りだよ。

いやぁ、シェドラの口から彼等に関する責任の所在について聞けて一安心だよ。

君がそこまで彼等について断言するのであれば、これ以上の追及は止めておこう。

それに今も昔も僕たちの目的が同じであることも確認できて満足だよ。

すまなかったねぇ、根掘り葉掘りネチネチと聞いてしまって。

まぁでも、これは君に対する必要な監査で、君が行った調査の捕捉のようなものだとでも思ってくれ。

協力してくれてありがとうね。」


シェドラとしては、シェインからの謝罪と感謝を受け入れないわけにはいかなかった。


「そう言われてしまっては、私には返す言葉がありません。

疑いが晴れたのであれば、良しとしましょう。」


「そう言ってもらえると助かるよ。

じゃぁこの話はここまでだ。

それでいいかい?」


「ええ、異論はありません。」


「じゃぁこれからもよろしく頼むよ。」


「こちらこそよろしくお願いします。」


「さてと、そろそろ僕は仕事に戻るよ。

君も行くだろ、シェイン?」


「ああ。」


「そうですか。

ではシェイン、シェヴァ、お願いします。

吉報を待っています。」


「行ってくる。」


「じゃぁねぇ。」


それだけ言って、シェインとシェヴァは部屋から出て行ってしまった。


階段を降りて一階まで行くと、受付カウンターには来たときと同じく男が立っていた。


受付の男はすぐに二人に気付くと、来たときと同じく、恭しく頭を下げながら出迎えてくれる。


「お疲れ様でございました、シェイン様、シェヴァ様。

本日のご用は御済みでございますか?」


「ああ。」


「見ての通り無事終わった。」


「それはようございました。

そうなりますと、このままお仕事に向かわれるのでございますか?」


「ああ。」


「そういうことだな。」


「それでは、どうぞお気を付けて行ってらっしゃいませ。

またのお戻りを心よりお待ち申し上げております。」


「ああ。」


「邪魔したな。」


二人は素っ気なく答えると、そのまま足早に外へ出て行ってしまったのだった。

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