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無双するご主人様のハーレム事情  作者: 不利位打夢
第20章 探求と暗躍
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暗躍する者たち8

シェドラとしては一、二体くらいだろうという軽い気持ちでの確認だったが、シェインの口から出た数を聞いて少し慌て出す。


「十体ほどだ。」


「十体!?」


「そんなに驚くことか?」


「十分に驚くべき事態です!

天魔一体は、少なくとも堕天使百体に匹敵します!

一、二体程度ならともかく、十体となれば今の南方の国の国力であれば大半を滅ぼすことも簡単です!

その場所は何処です!」


焦るシェドラとは対照的に、シェインは淡々と事実だけを答える。


「確か北方の砂漠地帯、その入り口から少し北に進んだ付近だ。」


「先程の堕天使たちが消息を絶った場所よりも更に北ですか。

ということはシェイン、貴方が感知できる範囲ギリギリですね。」


「ああ、だから精度は保証できない。」


「しかし貴方が天魔と思われる存在を感知したのは、これが初めてのことです。

正確な数はともかく、存在自体は否定できないでしょう。

それで、その後天魔はどうしたのですか?

やはり今は南方の各国に潜入しているのですか?」


さすがに看過できない状況だと判断したようで、シェドラは詳しい情報をシェインに求める。


しかしシェインの口から出たのは、簡潔な言葉だった。


「消えた。」


「つまり貴方の感知範囲外に逃げたということですか?

そうなると、相手も貴方の存在に気付いた可能性が・・・」


シェドラが再び自問自答に入ろうとしていたのを、次のシェインの言葉が現実に引き止める。


「そうではない。」


「ん?どういうことです?」


「言葉の通りだ。

感知してものの数秒で突然反応が消えた。

それも砂漠のど真ん中でだ。」


「引き返したのではなく?」


「そんな行動は見受けられなかった。

一斉に反応が消えたからな。」


ここまでのシェインの報告内容から、シェドラは真っ先に頭に浮かんだ予想を口にした。


「消えた・・・つまり、何者かに感知を阻害された可能性が高い、と?」


これにシェインも同意する。


「俺はそう考えている。」


「なるほど、天魔が自分たちの存在を隠すためであれば、感知される前からそうしているはず。

だが少しでも感知されたのであれば、それは最初から隠すつもりが無かったということ。

となれば、天魔と相対した者がいて、その者が咄嗟に隠した可能性が高いですね。

更に言えば、その者に天魔たちは既に倒されているかもしれません。」


「俺も同感だ。

一応その場所に行ってみたが、何の痕跡も発見できなかった。

戦闘の跡すらだ。

これはあきらかにおかしい。」


「慎重になりすぎたたためか、完璧に隠しすぎてしまったようですね。

しかし天魔の存在を感知できた我々側からすれば、何も無いのは逆に不自然です。

どうやらいますね。

天魔を保持する勢力や我々とは別に、天魔と戦えるだけの戦力を保持する第三の勢力が。」


「どうする、追うか?

今ならまだ追えるかもしれないぞ。」


このシェインの提案を、シェドラは一瞬迷ったが断った。


「・・・いえ、今は止めておきましょう。

今のところ我々に敵対しているわけではありませんから。

下手にこちらから手を出して、我々の計画の妨げになるのも困ります。」


「わかった。

では天魔の出処の方はどうする?」


「来た方向からもわかるように、おそらくは北方の砂漠、その更に北の先にある可能性が高いでしょう。

あそこはいまだに人類未踏の地ですから。

ですがシェイン、貴方個人であれば、ある程度時間をかければ、北の果てへ到達することも可能なはずですよね?」


「当然だ。」


「ではそちらは引き続き追ってください。

上手く追跡できれば拠点が判明するかもしれません。」


「わかった。

聞いてもいいか?」


「何でしょう?」


「一つ疑問がある。

何故戦場に天魔を出したかだ。

理由はわかるか?」


「確かに、今回貴重な戦力である天魔を、それなりに失ったと思われます。

つまり、それだけのリスクを負うだけのリターンがあると考えての投入でしょう。

おそらく戦場で多くの兵士を喰らわせて糧とし、次の進化へと促す狙いがあったと推測します。」


「より強くするためか。」


「戦力増強もでしょうが、おそらく贄の質を上げるためではないでしょうか。

もしくは天魔の補充が容易に行える環境が整った可能性もあります。

それこそ使い捨てできるほどに。」


「なるほど、そう言われればしっくりくる。」


「最終段階に入ったことからも、運命の日はそう遠くない未来なのでしょう。

そのための準備を、我々も進めなければいけません。

我々の計画遂行を妨げさせるわけにはいきません。

そのためにも、まずは拠点を把握しておく必要があります。」


「わかった。

必ず見つけておく。」


「おねがいします。

ですがくれぐれも、まだ手は出さないでください。

出すのはこちらの準備ができてからです。

当然、こちらの存在に気付かれてもいけません。

隠密行動を常に心がけてください。」


「わかっている。」


「ただできれば、天魔、堕天使、天使、これらを最低合計5体は確保しておきたいところです。

あれはあれで使い道がありますから。」


「生死は?」


「問いません。

ですが損傷は少なく、できる限り新鮮な状態でお願いします。」


「善処する。」


「お願いします。

ああ、それともう一つ。」


「何だ?」


「拠点を見つけても見つけなくても、報告のために2ヶ月以内には必ず戻ってください。」


「善処する。」


いつもならこれでこの話は終わりなのだが、今回は珍しくシェドラがシェインに念を押してきた。


「いいえ、それでは困ります。

必ず2ヶ月以内に戻ってください。

これだけは厳守してもらいます。

もし戻らない場合は、強制送還を執行します。

私は本気です。」


これにシェインが慌て出す。


「それは困る!」


「だったらどうすればいいか、わかりますね?」


シェドラの脅しに、シェインには選択肢が無かった。


「・・・わかった。

必ず2ヶ月以内に戻ると約束する。

だから強制送還の執行は止めてくれ。」


「私としても不本意ですから、約束さえ守ってもらえれば、そんなことはしないと約束します。

ですから、くれぐれも忘れないようにお願いします。」


「ああ、わかった。」


シェインに無理矢理了承させたシェドラは、場の雰囲気を変えるために話を元に戻す。


「では話の続きに戻りましょう。

他に気になる戦力などはありましたか?」


シェインも切り替えて報告を続ける。


「ある。

かなり昔に報告したが、前の話でも出てきた北方の大森林に潜んでいた連中のことだ。」


「確か以前、人の手によって創られた神を模した出来損ないがいると報告を受けていましたね。

もしかして、侵入した堕天使にでも倒されましたか?」


「違う。

さっきの報告の堕天使は関係ない。

だが状況が少し似ているという意味では同じだ。」


「どういうことです?」


「気配が消えた。」


「それはいつのことです?」


「確か半年ほど前のことだ。」


「堕天使が現れるよりも更に前のことですか・・・」


「そうだ。」


「確かに、多数の堕天使が襲来した件とは関係無いようです。

しかし気配が消えたからといって、報告を受けていた程度の実力しかない連中を気にすることでもないでしょう。

放置して問題無いのでは?」


「連中が消えただけならな。」


「何か気になることでもあるのですか?」


「ある。

連中以外に、連中が後生大事に守っていた禍々しい何かの気配も一緒に消えた。

しかも何の前触れも無くだ。」


「おかしいですね。

我々にとってはたいしたことがないとはいえ、消える際の余波くらいは何かしら起こるはずです。

それが一切無いのは、あきらかに変です。」


「その通りだ。

だがそれだけではない。

他にも商国に潜んでいた天使もどきの気配。

その西の山脈と東の渓谷を縄張りにしていた人工幻獣の気配。

深海に現れた邪悪な気配。

軍国方面に現れた異形の気配。

これらそれなりの力を有する何かの気配を感知したが、いずれも消失している。

共通しているのは、何の余波も痕跡も残さず、ただ気配が消えた、ということだけだ。」


「・・・おそらく天魔と敵対した第三の勢力が関わっている可能性が高いでしょう。

手口が似ていますから。

であれば、我々の対応は先程決めた通りです。」


「放置、だな。」


「そうです。

我々にとって邪魔な障害を勝手に排除してくれるのですから、むしろ第三の勢力には勝手に頑張ってもらいましょう。

ですが接触や味方に取り込むのは止めておきます。

逆に我々も標的になる可能性が高いですから。

だから上手く利用して我々は美味しいところだけいただく漁夫の利を狙います。

いいですね?」


「わかった。」


「他に外界の戦力状況について報告すべきことはありますか?」


「いや、他には無い。

後は取るに足らない有象無象だけだ。」


「なら問題無いでしょう。

ではこの報告についてはここまでにしましょう。

最後に・・・例の報告をお願いします。」


シェドラがそう口にした瞬間、その場の雰囲気が一気に重苦しいものに変化したのだった。

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