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無双するご主人様のハーレム事情  作者: 不利位打夢
第20章 探求と暗躍
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フィロの受難2

そんなアクアに対して、フィロはその場で一歩も動かずに自然体で立ったままだ。


当然そのままアクアの右拳がフィロの腹部に吸い込まれるように当たり、深くめり込む。


するとフィロは殴られた勢いで後ろに飛ばされてしまう。


そのままどこまでも行ってしまうのでは思われたが、何故か10m程で勢いは止まり、フィロは倒れることなく立ったあままだ。


そして少しふらつきながら元の場所へ戻ろうと、ゆっくり前に歩きはじめる。


だが数歩進んだところで立ち止まってしまい、その場で膝から崩れ落ちてしまう。


フィロは殴られた腹部を両手で抑えながら前かがみになり、そのままうずくまってしまった。


すぐにマコトがフィロに近づき、神法で治療を行う。


「・・・フィロ、立てるか?」


ほぼ一瞬で治療を終えてマコトが話しかけると、フィロは何事も無かったかのようにゆっくりと立ち上がりながら答える。


「だっ、大丈夫だよ。

さすがに効いたけどね。」


そう言ったものの、フィロの表情からは精神的にまだ完全に回復してないことが窺える。


そのためマコトは気を使ってフィロに提案する。


「そうか。

次の相手に行く前に、少し休むか?」


しかしフィロはその提案を断った。


「いいや、すぐにやるよ。

今ので少しコツを掴めたみたいだからね。

次はもう少し上手くできると思う、いや、やってみせるよ。」


そのままフィロはマコトの答えを聞かずに、先程まで自分が立っていた位置に向かって歩きはじめる。


どうやら精神を好奇心と探求心が上回った状態のようだ。


そんなフィロをマコトも止めず、その場から離れて行ったのだった。




一方、殴った方のアクアはというと、マコトがフィロの治療をはじめたのを見てから、背を向けて皆の許へと戻っていた。


そんなアクアに、他の五人が声をかけてくる。


「何じゃアクア、手心を加えるとは、お優しいことじゃな。」


フェニスの言葉に、アクアは今の攻撃について説明する。


「ここに来て新たに得た力を使わなかったという意味では、確かに手心を加えたと言えないわけではありません。

しかしそれ以外では、今の私が出せる全力で殴ったことは間違いありません。

それで十分だと思ったのですが、その結果があれです。

まさか気絶させるどころか、後方へあの程度しか吹き飛ばせなかったとは、完全に誤算でした。」


「アクアの地上での物理攻撃力は、私たちの中では下位に位置するのは間違いない。

だがそれでもかつての全力と比べて、少なくとも数倍以上は威力が増しているのだぞ。

それを無防備な状態で受けたにもかかわらず、気絶どころか倒れもせずに耐えたのは意外としか思えないぞ。

やはりフィロが何かしたのだろうか?」


ナーシャに問われたものの、アクアにもわからなかったようだ。、


「特にフィロが何かしたようには感じませんでした。

殴った方の私には何もありませんし、殴った際の違和感などもありませんでしたから。」


「じゃぁフィロがアクアの攻撃に耐えられたのは、まぐれってことかよ。

チッ、運の良い奴だぜ。」


ルーヴが舌打ちしながら少し残念そうに言うと、アクアはその意見に対して否定も肯定もしなかった。


「わかりません。

私の殴りそこないというのであれば、ルーヴの言う通りかもしれません。

ただ気になることが一つあります。

いくら殴りそこなったからといって、たかだか10m程しか後ずらせることができなかったのは疑問に思います。」


アクアの疑問に、ヴァイフーも同意する。


「確かにな。

となれば、何かしらの絡繰りがあるのは明白だ。

おそらくマコトの入れ知恵なのだろうが、実際に見ていたにも関わらず、正直なところ何をしたのかさっぱりだ。

私には、フィロがただ突っ立ていただけにしか見えなかったからな。」


「我もだ。

後ろに大きく吹き飛ばず、地に足を付けたまま後ずさっただけに止めて見せたのは、フィロが何かして見せた証。

だが我らの誰もが、その方法について皆目見当がつかない状態だ。

アクア、一応確認するが、力を逃がさないように殴ったのではなく、後方に吹き飛ばすように殴った。

これに相違ないな?」


リュジュからの確認に、アクアは迷わず肯定する。


「ええ、先ほども言いましたが、間違いありません。」


「そうか・・・さて、どうしたものかな。」


すっかり目的が、フィロを殴ることではなく、フィロが何をしたのかに切り替わってしまったようだ。


これについて大半が深く思考しはじめた中、ナーシャだけが現実的な提案をする。


「今考えても、少ない時間で正解に辿り着けるとは限らないぞ。

ならば先程のがまぐれだったのか実際に試してみて、更なる情報を集めるのが答えに至る近道だと思うぞ。

というわけで、私は勝手にやらせてもらうぞ。

ちょうど次は私の番だからな。

皆はそれを見て参考にすればいい。」


それだけ言ってナーシャは、誰の返事も聞かずにフィロの近くへ行ってしまう。


残された五人はというと、全員ナーシャの提案に乗るようだ。


まだはじまる前だというのに、今度こそ見逃さないようにと、フィロの一挙手一投足を凝視している。


そしてナーシャが少し離れた場所で立ち止まると、フィロから話しかけてきた。


「次は君かい、ナーシャ?」


「そうだ。」


「ところで相談は終わったのかい?

何やら考え込んでいたみたいだけど。」


「いいや。

正直、深く考え込むのは私の性に合わないのでな。

再度実践で確かめてみることにしたぞ。」


「なるほど、合理的だね。

そういうことなら私の方はいつでも構わないよ。」


そう言いながらフィロは先程と同様に、ナーシャと正面に相対しながら自然体でただ立っているだけである。


ナーシャはフィロの構えを見ながら、先程のアクアのときと比較して、思わず声に出してしまった。


「構えは先程と同じ、か・・・」


この独り言に対して、フィロが返事を返す。


「何か問題があるかい?」


「全く無いぞ。

それはアクアのときで既に証明されているからな。」


「それは良かった。」


「さて、フィロの準備ができているなら是非もない。

早速はじめさせてもうぞ。

ふぅ・・・ふんっ!」


ナーシャは一度全身を脱力させてから、まずは気合と共に力を発動して、右半身を前に出し、左半身と左拳を引いた構えを取る。


先程のアクアとは、構えが左右が逆転していた。


だがそれで準備が終わりではなく、更に両足と左拳を中心に力を集約した。


どうやら防御の必要が無いため、攻撃に必要な個所へ重点的に力を割り振ったようだ。


先程のアクアを超えた威力になることは、誰の目にもあきらかだ。


準備ができて一呼吸置いてから、ナーシャが音も無く動いた。


このときのナーシャの動きを、フィロは全く見えていなかった。


気付いたときには、フィロの腹部にナーシャの左拳が深くめり込んでいた。


そのまま後方へと吹き飛ばされるフィロだったが、ここで予想外の事態が起こる。


フィロは最初に立っていた位置から後方へと吹き飛ばされたものの、その距離は5mにも満たないで止まってしまったのだ。


先程のアクアよりも強い威力の攻撃を受けたにもかかわらずだ。


それにどうやら気絶もしていないようで、ゆっくりとだが、今度は崩れ落ちることなく開始位置まで自力で戻ってきた。


しかしそこで力尽きたのか、再び膝から崩れ落ちると、殴られた腹部を今度は左手だけで抑えながら前かがみになり、うずくまってしまう。


すぐにマコトがフィロに近づき、再び神法で治療を行う。


「・・・フィロ、どうだ?」


ほぼ一瞬で治療を終えてマコトが話しかけると、フィロは何事も無かったかのように普通に立ち上がって答える。


「今回も効いたけど、さっきよりも理解が深まったよ。

次は更に効率化できそうだね。

早く続きをはじめようか。」


フィロが好奇心むき出しの表情で答えたので、気を引き締めなおすためにマコトは一度注意を促す。


「気が逸る気持ちもわからなくはないが、次からが本当の山場だぞ。

これまでと同じように考えていると大変なことになる。

気を引き締めて臨むんだ。」


だがフィロは頭ではわかっていても、最早あふれ出る好奇心を抑えるつもりは無いようだ。


「わかってるよ。

でもそれ以上に、今の私は次の結果がどうなるかが楽しみで仕方がない。

まさか戦闘の中で私にこのような気持ちが芽生えるとはな。

だがこの気持ち、マコトならわかってくれるだろ?」


マコトはフィロには同意せず、更に注意を促す。


「どうやら興奮しすぎて、正常な判断ができなくなってきているようだな。

まずは少し落ち着け、フィロ。」


しかしフィロはマコトの言葉に聞く耳を持とうとしない。


「私は至って正常だよ。

私のことは私自身が一番よく知っているからね。

むしろ絶好調だから落ち着く必要はない。」


「・・・やれやれ。

このままだと止めざるを得なくなるぞ。」


マコトが強硬手段に出る一歩手前であることを伝えると、ここでフィロは自身が持つ最大の切り札を切ってきた。


「マコトの考えはわかった。

だがもしここで止めたりしたら、マコトへの許可は無かったことにさせてもらう。」


「許可?

まさか・・・」


「そう、私を口説く許可をだ。

それも一生だ。

私は有言実行するぞ。

どうする?それでも止めるつもりかい?」


これにはさすがのマコトも、フィロの言葉を受け入れるしかなかった。


「はぁ・・・わかった。

だが俺が譲歩できるのは、フィロが確実に死ぬ状況に陥らない限りは止めない、ここまでだ。

これだけは絶対に譲れない。」


「まぁいいだろう。

そのマコトの条件を受け入れるよ。

私としても、まだ死ぬつもりは無いからね。

ただ、死にさえしなければ完全回復が可能、なのだろう?」


「ああ、それは約束する。」


「なら安心だ。

私も自分の好奇心に従って、全力で取り組めるからな。」


「俺としては、十分に安全確保しておきたいんだがな。」


「その気持ちはわからなくもない。

だが死を乗り越えた先にしか得られないものもある。

違うかい?」


「否定はしない。

だが今回は該当しないと俺は考えている。」


「そうだとしても、それを決めるのはマコトじゃない、私自身だ。

だから今回は邪魔をしないでくれ。」


「さっきも言ったが、フィロが確実に死ぬ状況に陥らない限りは止めない。

それは約束する。」


「ああ、それでいいよ。

ところであっちの準備がまだみたいだから、今の内に少し聞きたいことがあるんだけど、いいかい?」


「ああ、構わない。」


とりあえずマコトとフィロの間で、続けることに合意したようだ。


二人は次の相手が来るまでの間、雑談を交えながら準備を行うのだった。

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