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無双するご主人様のハーレム事情  作者: 不利位打夢
第20章 探求と暗躍
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フィロの正体15

何事も無かったかのように、クシナダが話を続ける。


「では話を戻します。

続いてフィロ、貴女に協力してほしい内容です。

先程説明したように、通常稼働時のユグドラシルシステムには、中枢ユニットの常駐は必要ありません。

そのため稼働管理程度であれば、私たち統制管理者の通常業務範囲内でまかなえます。

これは改修後から現在までの稼働で既に確認済みです。

つまり通常稼働時であればフィロに仕事は無いため、自身のやりたいことを行って構いません。

ただし、働かざるもの食うべからず、ここでの生活を対価に、相応の仕事は行ってもらいます。」


「まぁ正論だね。

必要最低限の仕事をすることは構わないよ。

理想としては私のやりたいことに特化したいところだが、それはどんな仕事があるか確認してからだな。

それで構わないかい?」


「問題ありません。

先に伝えてはいましたが、基本的には貴女の得意分野である研究班に所属してもらいます。

ただ可能性を狭めるつもりはありませんから、他に適性や興味があれば、別の仕事に回すことも可能です。

これについては後日改めて説明します。」


「頼むよ。

それで、本題は通常時以外なのだろう?」


「そうです。

通常時以外、これは緊急時や戦闘時などになります。

このときフィロには、ユグドラシルシステムの中枢管理者として手腕をふるってほしいのです。」


クシナダの話を聞き、フィロがあからさまに嫌そうな顔をする。


「・・・結局通常時以外は、私一人だけ暗く狭い場所へ監禁されて空中都市の歯車に戻れ、ということか。

話にならんな。

断固として拒否させてもらう。」


拒絶するフィロに、クシナダが更に説明を続ける。


「それについては誤解があるようなので訂正させてください。

現在のユグドラシルシステムは中枢ユニットを廃止しました。」


このクシナダの話には、フィロも興味を示したようだ。


「何?

どういうことだい?」


「その前に、ユグドラシルシステムについておさらいしましょう。

ユグドラシルシステムとは別名、空中都市自動運用管理機能のことです。

その名の通り、空中都市内の自動化された機能を円滑に運用・管理するためのシステムになります。」


そこへフィロが嫌味を付け加える。


「空中都市内における生活やインフラの維持から、有事の際には外敵の排除まで、私以外の他人が楽をするための機能だ。」


クシナダはフィロの言葉を聞き流さずに肯定し、かつての非を認める発言をしてから続きを口にする。


「否定はしません。

そして以前のユグドラシルシステムにおける中枢ユニットの役割は、演算機能を大幅に拡張することでした。

これにより処理能力が飛躍的に向上され、システムの効率化を図っていました。

その方法が、中枢ユニットを個室に閉じ込めて意識を奪った状態で隔離する、というものでした。

しかしこれは非人道的であり、生体でありながら消耗品のような扱いでした。」


「わかってるじゃないか。

まったくもってその通りだ。」


「ですがそれも過去の事、今は違います。

今回構築しなおした際に、その在り方を見直しました。

それが新たに設けられた、中枢管理者です。

この中枢管理者に代わったことで中枢ユニットが廃止され、フィロもユグドラシルシステムの恩恵を受けられるようになります。」


だがクシナダの説明を聞いても、フィロから疑いの目は消えない。


「それは単純に中枢ユニットを呼び変えただけではないのかい?」


「そのような詐欺まがいのことはしません。

中枢ユニットと中枢管理者は全くの別物です。」


「そこまで言うからには、明確な違いがある、ということなんだろうね?」


「もちろんです。

では続いて、その違いについて説明します。

まず中枢管理者が保有する権限は次の三つです。

一つ目は、ユグドラシルシステムの改善。

二つ目は、ユグドラシルシステムの操作。

三つ目は、ユグドラシルシステムの停止。」


「つまり、ユグドラシルシステムを私好みに調整し、私の好きなように動かし、時には強制停止という強権まで発動できる、というわけか。

ただのパーツから、ずいぶんと格上げされたものだな。」


「さまざまな技術革新によって、中枢ユニットが不要になり、代わりに中枢管理者が必要になったからです。

これはフィロだからできることだと、統制管理者全員の総意です。」


「罪滅ぼしの意味もあると?」


「それだけではありませんが、否定はしません。

ですがどちらかと言えば、過去の過ちを正した、というのが正確でしょう。」


「なるほどね。

だがいいのかい、私にそこまでの権限を与えても?」


「当然制限は設けます。

まず中枢管理者ですが、こちらは貴女を含めて三人います。」


「私以外は誰なんだい?」


「マコト様と、そちらにいるアイさんです。」


「マコトはともかく、たしか君は統制管理者特別監査役とか言っていたね。

君にその資格と能力があるのかい?」


疑問の目を向けてくるフィロに、アイは自分のことについて説明した。


「疑問に思うのも当然ですね。

では私も改めて自己紹介しましょうか。

私の名前はアイです。

かつて廃番となった第二世代の神、無限書庫でもあります。」


アイの素性を知り、フィロが一瞬目を見開く。


「そうか、君が・・・ということは、支配国の研究者たちは自力で神の創造に成功していたのか。

正直意外だが、君という生きた証拠がある以上、私は連中を過小評価していたようだ。」


困惑しつつも感心していたフィロだったが、すぐにアイがその考えを訂正する。


「いいえ、それは少し違います。

確かに無限書庫としての神の器を創ったのは支配国の研究者たちの成果です。

ですが無限書庫として完成させたのはマコト様です。

あの支配国の研究者たちでは永久に完成させることはできなかったでしょう。」


「ふむ、興味深い話だが、それは後にしておこう。

さて話を戻すが、そういうことであれば、君には資格と能力が十分にある。

それに統制管理者特別監査役という地位も好ましいな。

これからよろしく頼むよ。」


「こちらこそよろしくお願いします。

ではクシナダさん、話の続きをお願いします。」


「わかりました。

では次に中枢管理者の権限の種類について説明します。

権限には二種類あります。

最上位管理権限と、一般管理権限です。

マコト様が最上位管理権限、アイさんとフィロは一般管理権限になります。」


「ちなみにその二つの権限の違いは何だい?」


「まず最上位管理権限ですが、先に説明しました三つの権限を一般管理権限の承認なしに行えます。

そして一般管理権限で行った改善や操作について、単独での拒否権を持ちます。

逆に最上位管理権限で行った改善や操作については一般管理権限に拒否権は無く、意見申請のみ可能です。

これは停止についても同様です。」


「当然そうなるよね。

まぁ最上位管理権限の保持者がマコトであれば問題無いだろうからね。」


「次に一般管理権限ですが、先に説明しました三つの権限の内、一つ目の改善と二つ目の操作だけは、他の中枢管理者の承認なしに行えます。

ただし他の中枢管理者から拒否権が発動された場合は、強制的に改善と操作が保留扱いになります。

この場合は中枢管理者同士での話し合いによって解決してもらいます。」


「つまり、改善と操作は私の好きにできるが、マコトやアイに不評だったら私の許可なく一旦無かったことにされると。

改善と操作を再度元に戻したい場合は二人を説得する必要がある、というわけか。

そして停止についてはマコトの許可無しには実行不可。

まとめると、好き勝手出来るのは自分だけじゃない、ということだな。

私の認識はこんなところだが、何か問題はあるかい?」


「いいえ、問題無いと思います。」


「そうか。

まぁ落としどころとしては妥当だろう。」


「私からの説明は以上です。

フィロ、他に何か聞きたいことなどはありますか?」


「とりあえず今の内容だけで十分だよ。

後はおいおい確認するから。」


「ではフィロ、中枢管理者の任、引き受けてくださいますか?」


「いいだろう、と言いたいところだが、一つだけ要望がある。」


「要望、ですか?

内容次第です。」


「何、私からの要望は至ってシンプルだ。

私のことも統制管理者特別監査役にしてもらおうか。

過去の教訓を生かして、君たち統制管理者が暴走しないように、私から監視させてもらう。

この要望が聞き入れられないのであれば、中枢管理者の話は無しだ。

さぁどうする?」


フィロは意地の悪い笑みを浮かべていることから、どうやらクシナダたちを試しているようだ。


ここで自分の要望を拒否するのであれば、難癖をつけてあわよくば仕事を減らそうという魂胆なのだろう。


だが予想に反して、フィロの要望は簡単に受け入れられた。


「問題ありません。

そもそもフィロが中枢管理者になった時点で、強制的に統制管理者特別監査役も兼務してもらうことになりますから。

私の説明不足で申し訳ありませんでした。」


「えっ!?」


「そちらからの要望を聞き入れましたので、中枢管理者の任、引き受けてくださいますね?」


間髪入れずに答えを求めてくるクシナダに、フィロは咄嗟に言い返す言葉が何も思い浮かばず、受け入れるしかなかった。


「あっ・・・はい・・・。」


「ありがとうございます。

では現時刻を持って、フィロにはユグドラシルシステムの中枢管理者と統制管理者特別監査役の任に就いていただきます。」


「はぁ・・・わかったよ。」


「では今後ともよろしくお願いいたします。」


握手を求めて差し出してきたクシナダの右手を、フィロも自分の右手を差し出して握り返した。


「よろしく頼むよ。」


こうしてフィロは、かつてのセフィロトとは違う役目を新たに担うこととなったのだった。

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