魔王ギルゼウス・デーレイン
「ここに、アルシェーラ将軍が泊まっているだろ?」
「申し訳ありません。お客様の情報は漏らすことは出来ません。そんなことは、私達の宿屋魂に傷をつけることになります。決して、決して言うことは出来ません!!!」
「魔王様命令だ!」
「私には、宿屋魂があるのです!」
「どうしてもと言うなら...五百魔金貨でどうだ?」
「!! 喜んでお教えします!」
私達が起きると、こんな攻防が繰り広げられていた。
相手は魔王の使者だった。
宿屋の人はすぐに負けたけど...。
教えないでって言ったのに!
「お客様! 魔王城の使者の方が来ていますよ」
「「「はーい」」」
仕方なく部屋から出た。
「おお! 透き通るような髪、完璧なスタイル、まさしくっ我が愛しのアルシェーラ様ぁ!」
この人暑苦しくて、ちょっと苦手だ...。
「...あはは、ごめんね。魔王城行かなくて...」
「いえいえ、無事で何よりです。我が愛しのアルシェーラ様」
「一々言うのかい!」
全身鎧で覆われた使者は、無理矢理シーラを馬車に乗せた。
「私達も乗って良いんですよね?」
「はぁ!? 何言ってるんだ。お前らが乗って良い馬車なんて無いんだよ」
「え?」
「お前らは歩いて付いて来い」
それは酷くない?
馬車の席も余裕あるし...。
「ちょっと、ゼノン! シュラムアさんとリューカさんを乗せてくれないなら、私も歩いて行くから!」
「そ、それは! わ、分かりました...。特別にその方々もどうぞ...」
シーラは全身鎧男、ゼノンの説得に成功した。
「よし、出発進行」
〇〇〇
使者に連れられ、私達は魔王城に来ていた。
「アルシェーラ将軍がお戻りになったぞ!」
「「「アルシェーラ将軍!」」」
またも歓声があがった。
「魔王様がお待ちです。こちらへどうぞ」
階段を上がると、赤いカーペットの先に大きな椅子があった。
そしてそこに座る、威圧感のある男。
左右には、棍棒を持った大柄な男と腰に二本の剣を納めている女。
「只今戻りました、魔王様」
シーラが魔王に言った。
「よく戻りましたね。アルシェーラさん」
え? 敬語?
威厳が無いなぁ。
「威厳が無くてごめんなさいね」
え? 私、口に出してました?
心を見透かされたということか...。
魔王恐るべし。
「別に心が読めている訳ではありませんよ。僕に初めて会った人は大体そういう顔するんですよね」
「し、失礼しました」
「いえ大丈夫ですよ。ところで名前は何とおっしゃるのですか?」
「シュ、シュラムアです」
「お、俺はリューカとおっしゃります」
「ちょ、リューカ!? 『おっしゃります』はおかしいよ!?」
「え、あ...お、俺はリューカと言います!」
「ハハハハハッ! 面白い人達ですね。僕はギルゼウス・デーレインと言います。シュラムアさん、リューカさん、アルシェーラさんを連れて来てくれてどうもありがとうございます」
「い、いえ。とんでもない...です」
魔王は体の芯から震えるような不気味な笑みを浮かべた。
すると、シーラが魔王に発言の許可をとった。
「実は反乱が終わった直後、ゾーモ副将軍が私の背後から襲い掛かってきたのです」
「ああ、はい。知ってますよ?」
「!! なら何故捕らえないのですか!?」
「僕が命令したことだからですよ?」
「そ、それじゃあ、まさか...」
「反乱は僕が起こさせたものですよ?」
「な、何の目的で...」
「僕の勢力拡大...ですかね?」
「!?」
「あ、どうせ死ぬんですから教えておきましょう」
こ、殺す気なの?
この人数相手じゃどうやっても逃げられない。
...ここで終わるの?
「──僕の能力をね...」
その能力は果たして...?




