最速の闘い
さて
料理人は
闘いも早いのですよ?
「やはりか」
ジーニアスはミュートの言葉を聞き苦虫をかみ潰したような顔になる。帝達を招集し密偵からの報告を聞くと同時に帝国は世界に宣戦布告をするという事が確定された。まさか自分の代で再び戦争が起きようとは思いもしなかったが、覚悟を決めるしかない。帝達も一様に覚悟を決めている。だが次にもたらされた情報は驚くべきものだった。
「報告致します!![黒の料理人]殿が帝国を降伏させました!!」
その言葉にその場に居た人間達は口をあんぐりとあけてかたまる。だがジーニアスだけがその事実を聞き愉快そうに笑っていた。そうなのだ。私の友人はどんな無茶でもやり遂げるまさしく破天荒な人間なのだ。そう思うと同時に愉快さが湧き出て笑いをおさ切れなかった。また誰よりも彼の所業を感謝した。彼一人の功績で誰一人傷つく事なく戦争終結ができたのだがら。さて何故このような事になったのかは話を遡る。
「さてと………」
ナノさんは従業員としてお店にもう送ってあるのでそこらへんの説明はミサトに念話をしておいたので大丈夫だろう。さて僕は中央大陸南部に存在する軍事国家帝国へと潜入している。この帝国は世界征服を初代より掲げ多くの国を相手取り毎回戦争をするという野蛮極まりない国で………毎回勇者召喚という愚行を行うも毎回負けて自国にダメージを与えるだけという少々おつむの足らない国だ。そして毎回召喚される勇者は超がつくほど良い人で帝国がどれだけ非道を行おうとも内政から変えようと努めるも歴代皇帝にいいように扱われ結局種馬扱いになり皇族に取り込まれ無念の内になくなるという事だ。今回も召喚された勇者は帝国に疑念を持っているらしく密かにレジスタンスを結成しているらしい。勿論皇族には筒抜けでそろそろ殲滅作戦がはじまるようだ。
………そろそろ従業員が欲しいところなのでここでスカウトをしようと思います。僕も異世界に転生してきておとなしくしてましたのでそろそろ暴れたいなと思いますね。
勇者視点
俺の名前は神白慎也高校の帰り道召喚陣に巻き込まれ隣に居る幼馴染の新垣護と一緒に帝国へと召喚された。紆余曲折を経て勇者って事になったんだが………どうにもきなくせえ。護と一緒に自分の魔力属性やら能力を知りながら特訓しつつ………過去の文献やらなんやら見たりしたがそれが情報を改竄してたという事がわかり………この帝国の在り方に疑問視をしている第一王女シゼリア=オーランドと共にレジスタンスと接触………今夜皇帝を打ち取る予定だ。殺すなんてした事ねえけどこの世界に来た以上腹を決めるしかねえ………俺は護と共に王女とレジスタンスの元へと行くことにした。
「………大変だね………うちならこのくらい出せるよ?どうする?」
「マジすか!!全然うちより待遇いいじゃないすか」
「可愛いぬいぐるみ買える」
「おいしいもん食べれる」
帝国兵を足蹴にした黒髪の作務衣の男が特記体と呼ばれる特殊兵の三人に交渉をしていた。一人は茶髪にサングラスをかけたチンピラ風の男………たしかジーザスだったかな?能力は硬質化で武闘派の男だったはずだ。ピンク色のゴスロリの可愛らしい女の子はネピア………ヌイグルミに生命を吹き込み戦う人形使いだ。最後の苦学生っぽい幸薄そうな蒼髪の少女はシルビア----氷雪系の魔法とは違う術式の能力を持っていたはずだ。
「帝国潰すけども………ちゃんと身の回りきちんとしなさいね………ちゃんと君達の不利になるコードは消したから」
「アザース………じゃあ店でまってりゃいいすね?」
「おやつある?」
「ご飯」
「そこらへんは妹いるから聞いてね、じゃ転移するから」
そういうと三人を転移させ男はにこりと笑って俺達に声をかけた。
「君達バイト経験ある?」
本当にもうこの人は頭おかしいんじゃないかと感じました。
さて勇者………恐らく一人は巻き込まれであると思われる少年二人に合流。見た目もなかなか美形だ………。こちらでいうところの東方出身者に多い黒髪に二人は180センチ前後でやせ身………シンヤ君の方は優男風のイケメンでマモル君の方は無口系のイケメンで給仕をさせたら様になるなと思いつつ………帝国の情報を鵜呑みにしないのはありがたかった。若い少年達の考えを改めさせるのは存外力がいる。この二人もまたなんらかの神の加護があるようだし………そのうち会えばいい。なんだかんだバイトの話は保留になり………王女とレジスタンスの面々に会う事にした。王女とレジスタンスに挨拶をした後、身元をきちんと言って黒の料理人という事を知ったら皆さん思いの外元気になったのでよかった。こっそりシンヤ君に聞いたら僕の通り名は恐怖の対象らしい。そこまでの事はしてないはずだが………(先ほど待ち伏せしてた帝国兵全員二秒で潰したくらいで)まあそんなこんなで作戦説明があったのだがもうすでに僕は戦闘兵を倒し切ってたので先に進む事を提案。化け物を見る目で見られた。
「………なんなんだお前は!!我が兵倒すし特記兵も懐柔するわ!うちの帝も倒すし!」
皇帝が涙眼で訴えてきたのでいたたまらなくなりましたが、そこは帝達も攻撃してきたわけですし、宣戦布告をする準備もしたわけですからそれはそれはしょうがないと思うのですよ。最早シンヤ君とマモル君と王女の眼が哀れな瞳で皇帝を見ていたのが印象的ですね。
「………まあ調子のったから仕方ないんじゃないですか?」
特大の重力魔法を皇帝にぶつけて(命がある程度まで抑えて)おしまいにしました。事後処理は王女にお願いしてとりあえずシンヤ君とマモル君にバイトの話はつけておいて帰路につくことになりました。
帰ったらミュートさんにやりすぎだ!と叱られましたが。




