白の街
特異な街で
少女に出会う。
東大陸東南エリア。
東ゴルガン自治区。
「………この変異は人為的なもんじゃのう」
黒いコートに白髪の髪をオールバックにした知的な老人が顎鬚に手を当てながら呟く。目の前の白く染まった森を見ながらため息をつく。干からびて石英のように硬質化した木々を見ながら隣の黒髪の若者に声をかける。
「レイ君………君の意見はどうかね?」
「………こういうのは学者様の仕事でしょう………僕は料理人ですよ?」
「それはそれでいいじゃないか………君の知識人としての知恵を聞きたいのだよ」
そう言うと地学者の老人………地帝………ミュート=オベリスクは笑った。人の良さそうな笑みを浮かべるミュートにレイは苦笑を浮かべながら答える。
「………ミュートさんに言われたらしょうがないな………僕も初見ですし、今までにない状態ですから憶測も入りますがよろしいですか?」
「頼むよ」
ミュートはパイプに火をつけると説明を続けるようにお願いをする。
「………恐らくこれは魔導兵器の一種でしょう、先ほど分析魔術をかけましたが基本的に全ての細胞が石に近いものに変異しています………そしてある特性があるんです」
「………ある特性?」
「魔力を内蔵するという事です、命というものは植物であれ生物であれ魔力を内包しています………それを生きたまま言うなれば魔石にするという代物なのでしょう………幸いにして高魔力の人間には効果がないようですが………一般兵に使われたなら」
「敵の兵器の動力源として良いように使われるか………どこの兵器かわかるかね?」
「………まだ情報がないので何とも………ですが戦争を好む国ならば………」
「………一番としては帝国が濃厚か………密偵の話だと勇者召喚に成功したらしいからね………、これを機会に宣戦布告をするかもしれない」
「………勇者召喚ですか」
レイはふむと頷くとミュートに違う話題を振った。
「………それよりもこの石英に侵された人達は?」
「ミサトくんによって一命を取り留めたよ………まあもっとも切除と復元魔術を行ったから患者は魔力回復に専念しているがね」
「………それならばよかった」
「さて私は報告に戻るが?」
「僕はもう少し調べてから帰りますよ」
「それは助かる………いつものように和楽で………今宵はたこわさがいいね」
「わかりました………では冷酒にしときますね」
はは、頼むよ」
ミュートはそう言うと転移した。
レイはミュートと別れて奥へと向かうそこへ行くと石になった村人達の亡骸があり………周りを静かに見る。肉体が朽ち果てている所を見ると大分日数が経過しているようだ。
「………こんなに時間が経過しているのでは蘇生は無理か」
レイの扱う蘇生魔法はあらゆる手順を簡略化し冥府の神と契約を結んだ上での代償を無くしているものなのでどんな状態からでも蘇生という事ではなくあくまで限定的な蘇生という形にしている。無論正規の手順での蘇生もすぐにでも出来るが………本来命は一度きりのものであるのでなるべく正規の蘇生魔法は扱わないようにしている。友人であるジーニアスの悪党討伐の際は悪党共に鉄槌を与えるために蘇生はさせたが不完全な蘇生にしておいたため………刑罰を受けた瞬間命を失うようにしておいた。まあそれはさておきレイは村を見ながら一つの特異点を見つける。
「………なるほど………少女型の人型兵器か」
「………貴方は何者ですか?」
メイド服を着た紅い眼の灰色の髪のポニーテールの女性が声をかける。
「僕はレイ………しがない料理人さ」
「私は帝国式殲滅型メイドロイド………ナノ=エステマです」
「………制作者の趣味が丸見えだな」
レイはにこやかに笑う。彼女に目線を合わせながらふむと頷く。
「なるほど………黄金期のナノマシンの模倣とメデューサの因子が複合されているのか………そちらの学者は優秀だね」
「………驚愕します………初見で何故わかるのでしょうか」
「………僕だから?まあ君一応敵国なのに友好的だよね」
「ナノは人間が好きです………ですが制作者の意図により命令を遂行しないといけません」
ナノは悲しげに呟く。
「………ではその命令を聞かなくてよいとしたら?」
「それは無理です………ナノが命令を拒否した場合すぐにでも………」
レイはにこりと笑いナノの頭に電流を流すとナノは驚愕の表情をした。
「驚愕しました………命令強要コードの消失を確認」
「質問なんだが、ナノさん以外にもこういう惨状にする兵器はいるのかな?」
「石化特化の個体は私だけです………機械文明の技術はコストも含めて国家予算に匹敵するので何体も作れません」
「なるほど………特化体は後何体いる?」
「後、三体います」
「決定だね、帝国は戦争をするつもりだ」
「はい………肯定します………制作者のリーダーは戦争反対を唱えてましたが上層部に幽閉されました」
「なるほど………友好的なのはそのリーダーが産みの親だからかな?」
「肯定します………優先順位は博士に帰属します」
「………なるほど………じゃあ交換条件だ………ナノさん」
レイはナノを見る。
「これから帝国を殲滅して博士も助ける………だからうちの店の従業員にならないか?」
「その条件了承致しました」
ナノはにこりと笑った。




