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異世界食事処 [和楽]  作者: 作者不明
11/34

遠方にて

ふるまうは


優しいおやつ


和楽にて




「ミサトは本当にすごいな」



ジーニアスはにこやかにお気に入りの緑茶を飲みながらレイに声をかける。

最近のミサトの治療スピードと患者の異常なほどの回復………件の毒の件で瞬く間に評判の医者となり多忙の日々を過ごしている。勿論王都の方の学会にも顔を出し事件性の高い病気や毒などあらゆる事にも協力しているのもまた功績として大きいだろう。二つ名としては[拳の神医]という名が与えられている。本人としては不服なのだが拳一つで名だたる悪党をこれまでにも成敗していたのだからしょうがない二つ名とも言える。またゼファーと共にこの世界では広まっていない切除して治すという切開術を広めたおかげで新たな医術を産み出した功労者としても名高い。



「しかし元来の投薬して治すから悪い箇所を切除して直接治療術式をかけるという方式なんてどこの医学界を探しても彼女一人だけだろうなあ」


「(地球では割とポピュラーであるし魔術という手段があるからできる手法なんではあろうが………まさか知識だけでやるとは我が妹ながら恐れ入る)」



レイは苦笑しながらジーニアスの会話を聞くと近所の仲のよい老夫婦から貰ったクコの実を取り出すと皮を剥きだす、クコの実は林檎のような形の果実で蜜柑と林檎の中間のようなさっぱりとした味わいでこの地方では長く愛される果物である。



「お、おいしいよね、クコの実は私も昔から好きだよ」


「この地方では割とポピュラーのようですね、御客さんもよく持ってきてくれます」



「なんだかんだあれだよね、普通にお客さんも来るし」



「まあ副業も稼がせてもらってますしね」



「レイ、帝にならないの?」


「なりませんね………僕はしがない料理人でいいですよ、妹達とのんびりとね」


「モコモコくんとエアリスちゃんは学校かな?」


「そうですね、いつもジーク君が一緒にいてくれて助かりますよ」


「弟は気難しいから仲良くなったことに驚いたよ」


「エアリスは皆と仲良くなりたいみたいで友達もたくさんいますよ」


「そんな可愛い妹を持つ料理人君」

「いきなりなんですか」


「ちょっと頼みをきいてくれませんかね」



「断われないでしょ、それ」



南の最果て


コニャック諸島。



「………暑いですね………」



アロハシャツを来て藁帽子に短パンを着たレイは呟いた。





和楽




「実は親父の懇意にしている恩師が隠居してこの大陸の最南端で孤児院をしていてね」



「………御年はいくつになるんですか?」



「99になるそうだよ、まあそれでもまだまだ御健在だそうだ………半龍人の方だからね………見た目は老いてはいてもまだまだ現役の拳術家でもある、まあ人格者でもあるし………実に心地の良い人物であるんだが………自らの修行の場を過酷な南の島にしたのはいいんだがね」



「問題でも?」



「その島は財政に難がありこれといった名産もない、しかしだ………子供を異常に産むせいで出産率が高い………金銭が余り発展しないような土地で子供をどんどん産む………成長すれば当然都へと出ていく………それで残るのは老人と子供達のみ………幸い親父の恩師が孤児院を立て生きる術を学ばせているからいいが………少なくともそのうち島は立ちまわらなくなるだろう………凶悪な魔物も多く住んでいると聞く………それでだ、レイ、君は鍛冶や料理………それから店をしているんだ………経済にも明るいだろう?」



「………断わっても王の勅命とかするでしょ?」



「よくわかるね」


「………なんだかんだ付き合い長くなりましたからね、いいでしょう、そろそろエアリスも店に立ちたいといっていたので店はエアリスに任せます、一通りの事は教えたし、ミサトにもいいますので」



「助かるよ」








コニャック島



「まあジーク君にもお願いしてあるから大丈夫だろうけど………思ったよりひどいな」

藁ぶき屋根の簡素な家が立ち並ぶ寂れた漁村にため息をつくと歩き出す。






「………衛生面は芳しくないな………全ての家も老朽化してる………先代の恩師という人は生活は野性的と見た方がよろしいかな?」



少なくとも大工スキルや料理スキルは余り期待できそうにはない、大型の魔物が通った足跡があり………この窓口の村は機能してない事がわかる。



「………孤児院と村が統合したと考えた方が無難かな?」



そう考えるとジーニアスの渡してくれた地図を見ながら森の中へと歩き出した。











「やほー、レイ君」



「シンさん………何してるんですか」



「何って旧友に会いにきたにきまっとるじゃろ、なあ龍ちゃん」


「そうじゃの、シンちゃん」


森の中に入った途端見知った顔の老人と拳法着を着た細目の老人が巨大な猪を蹴り飛ばしながら朗らかに笑っていた。



「………まさかの出会いで驚きましたがシンさんのお友達?」



「そ、ワシ、龍=メイジンよろしくなー」



「………(龍名人………)」




そう朗らかに笑う龍を見ながらレイは苦笑した。



森の奥に行くとステンドグラスの白い教会があった。多くの子供達と一人の美しいシスターが居てレイ達に気づくと頭を下げた。



「あら、龍先生、お友達ですか?」


「そうそう、シンちゃんとえと」


[遠縁のレイ君じゃ]



「シンちゃんの親戚か!そりゃよいのお!!今日は鍋でもやるか!!」


「いいのう!!龍ちゃん!!レイちゃんは料理人じゃから作ってもらおうな!!」



「そりゃいいの!!」




「………まあ元からそのつもりでしたからよいですけどね」



レイは苦笑しながらシスターを見た。






教会内厨房。




「つかぬ事を聞きますが他の大人達は?」



「………逃げましたこの土地から」



シスターは顔を曇らせながら言い返す。レイは仕込みをしながらシスターの話を聞く。


「この土地は昔から人が住むには適さない土地だったのはわかっていました、でもこの土地の人間は欲望に自制ができない人間達ばかりで子供ばかり産み結局手放し自分達は好き勝手生きる」



シスターはため息をつく。



「龍先生がいなければ子供達も私も路頭に迷う所でした………正直貴方が来て救われてます」



「それはよかった、僕もやりやすいものです」



シスターのポカンとした表情を見てにこやかに笑顔を返すレイ。


「やれやれ………老人二人はよく飲みましたね」



牡丹鍋を作りふるまい子供達に簡素なホットケーキを作り大層喜ばれた後、シスターに自分の事情を話、今は教会の裏手の山へと来ている。




「………金銭が発生しない………冗談じゃないな………ここは食物を育てるのに十分適した環境だ………恐らくここに住んでいた人間は開拓する気力がなく何もしてこなかったんだな………まあ適した環境という事は………」





巨大な恐竜に近い魔物の存在を確認すると苦笑しながらレイは包丁を出す。



「………凶悪な魔物もいるわけだ」



レイはそう言うと同時に恐竜型の魔物を切り裂いた。


「………安直に塩をふりかけた方がうまいか」



恐竜型の肉を焼いて齧りながらレイは呟く。




島を探索して分かった事はこの島は地下水脈の水源が豊富で大地を湿らすくらい循環をしているという事と、腐葉土に近い形の自然肥料が豊富であること………また生息する全ての魔物が食用である事………自然に生えている果物や野菜は全て栄養豊富ですぐお金に換金できる品物であること………また外来種を持ってきた際には生存競争なく植えれるという事………抵抗なくできるという事は品種配合をして新たな種も産み出す事も可能という事。



「こんなに恵まれた土地はそうそうないな、雨季もあるようだし水をやる手間もかからないし………寧ろここを契約農場にして子供達にお願いしてみるのもありかな………彼らに計算やお金の価値を学ばせる事も出来るし………」




顎に手をかけながらレイは上を向く。




「さて………貴方がこの島の魔物を統べる長かな?人語は解するようだけど」



「………変わった人間だな」



いつの間にか川の付近につき川の横の大岩に座る白い虎を見ながらレイは笑いかける………強大な魔力や威圧を秘めた雄々しき姿ながらもその両眼には深い知性が感じられる。



「白虎ですね、四神の種になぞられる」

「私はそんな大層なものではないよ」


体の傷跡が歴戦の猛者を連想させ見る者に尊敬の念を抱かせる。


「………ここで戦闘になった魔物は言葉も介さずただ襲うだけの魔物でした………対話をし………子供達を護る貴方に敵対する理由はありませんよ」



「………そこまでお見通しか………ならば会話の席を設けよう………来たまえ」



そう言うと人化しプラチナブロンドの流れるような長髪の金色の眼の白い服の優男が現れた。




「へえ………洞窟に住んでるんですね、きちんと家屋もある」


「知性を持って産まれたならばあぐらをかかずに知識を学ぶ事が重要であると私は思うからね」



木製の簡素な机と椅子に木製の食器棚………寝床になっていると思われる場所には獣の皮に通気性のある蔓がひかれている………風通りもよく住みやすそうだ。白虎は陶器のカップに珈琲を入れレイの前に置く。



「人化してからの楽しみはもっぱら珈琲と読書でね………シンさんに無理をいって空間貯蔵の本棚を作成してもらったよ」


黒い留め金がついている本棚を指さしながらにこやかに笑う。



「なるほど、それで人間と話すという事がそんなにうまいんですね」


「うまいかどうかはわからないけれど会話は楽しいね………」



向かい合わせに座ると珈琲を啜る。



「この島の気候は珈琲の実を作るのに適していてね………素人ながらに改良を重ねてみたんだ………まあ私は上手に環境調整が出来ないんでね………少量しか作ることはできないが」



レイはその言葉に感謝の言葉を返してその珈琲を啜るとその味に驚嘆をする。今まで飲んでいた珈琲は薄味の物がおもでじっくり焙煎するという前提の珈琲ではなかったが………この珈琲は綿密な時間で焙煎され抽出し後味も悪くない………嫌みのない苦みとコクが口の中に広がる………元々レイは自分があまり珈琲を飲まない性質なので研究はしなかったのだが………珈琲が飲める程度の人間でも夢中にさせる珈琲………思いがけない出会いだ。



その話は後でするとしてまずはこの目の前の男性にレイは聞くことがあった。



「白虎さん」



「………人化時はホワイトと名乗るようにしているよ………まあ安直だけれど」



ホワイトと名乗った男は苦笑しながらレイに言い返す。



「ではホワイトさん………何故貴方ほどの最上位種が子供も?」


ホワイトは珈琲を啜りながらにこりと笑う。


「子供は可愛いし………私は人間が好きなんだよ」

ホワイトは昔話だけれどと前置きをしてくれた上でゆっくりと語り出してくれた。ホワイトの家族はもう自分一人を遺して逝ってしまったらしく白虎自体も種族的には稀少種という事で余り表には出ずにそれぞれの集団で生活をしているらしい。


そして50年程前………とある一団と戦闘をし父母を殺された後………満身創痍でこの島にたどり着いたホワイトを看病してくれたのは他ならぬ人間だった。美しい村娘に看病され自身が魔物である事を打ち明けたとしてもこの村の人間は自分に優しかった。傷を癒しつつ人間社会に溶け込むうちに人間という種を知りたくなった。



ある日村は疫病に晒され誰にも救われる事なく自分一人をのぞいて人間達は死んでしまった。悲しみにくれたホワイトはただ一人山に籠り………また何年後かに人々が住みはじめた頃には森の王となっていた。






「何故………一度は離れた村を護るのに?」



「………君も大人の少なさを見たろう………この村は言わば口減らしの村なんだ………私が居た時は普通の村だったんだがね」



最初は貴族の口減らしのために赤子の子供達が置いてかれた………そして世話役の大人達もだが世話役の大人達も子供達が物心つくころにはいなくなり………今度は老人が捨てられた………、そして老人が亡くなり子供達が青年になる頃にはまた別の子供達が………悪循環としての機能が村に産まれそしてそれは龍老人とシスターが来るまで延々と続いたという事だ、勿論この現状を知った龍老人はシンさんに声をかけてシンさんが単身その貴族と裏組織事潰したという話を聞いてレイは自分がしたかったと心の中で思ったのはここだけの話だ。


「まあ私も体は一つしかないしね………せめてここの魔物から子供達を護るので精いっぱいだったというわけさ………会話できなくともわかるやつはいいがわからない奴が多くてね………ここの魔物は人間社会では大層価値のある希少価値の高い肉なんだろうが………換金する場所もないしね」

ホワイトはやれやれと肩を竦める。



「ふむ、では換金できる手筈とここでの子供達の守護が確立させればいいんですね」



レイはにこりと笑うと黒いスマートフォン(グシャラボルク製)を取り出しある所に電話をかける。






「しかし辺鄙なところによんだもんだね、レイ」




黄色のポニーテールに男装した美しい翡翠色の眼をした美女がレイに声をかける。ホワイトの前に現れたのはルビー=デミムーア………世界をまたにかける大商人にして王都を守護する一角………雷帝の一人である。眼のやりどころに困るKカップ。ミサトと共同開発したブラジャー等の下着はすでにブランドとして特許を取り破竹の勢いで売れている。その他にも水産・医療・食品・武器・人材・ありとあらゆる商業を扱うプロである。



「まああんたの価値の嗅覚は信頼しているからね………んでその兄ちゃんは人間ではないね?あとあんたの提案した通信機器スマートフォンは特許無事とれたし………約束通り三割口座に振り込んでおくよ………しかし三割でいいのかい?」



「ええ、お金は僕も稼いでますし………社員の給料あげてあげてください………人材は宝なのでしょう?」



「本当に………無欲な奴だね………で、儲け話は?」


ルビーの言葉にレイは順を追って説明していく事にした。

わかりやすく言えば、この土地は野菜や食物に適して外来種とも配合可能の事………、また魔物に関して言えば希少価値の高い肉であること………また今まで口減らしだけに機能していた村であることと孤児院と子供しか今はいないという事。




「にゃるほど………我が身かわいさに子供捨てる奴もあれだが貴族も貴族でやだねえ………じゃあ……当面やる事は安全の確保………子供達に計算やらなんやらを教えるという事とかかねえ………寂れた村はリフォームして宿屋やら土産やら色々作ればいいとして………てか子供に勉強教えるんだったら学校作ったほうが早くね?よし決定………えと兄ちゃんの名前は?」


「ホワイトだ」



「よしホワイト、なんだかんだ本の虫っぽいしある程度教えられたりするだろ?うちからも教師常駐させるからあんた校長で学校しよう」


「了承した」



「教会を改築して教会兼学校したらええやね、なるべくなら子供達が主体で村作りしてほしいから、うちから派遣するのは数名でいいか………傭兵ばっかしてて休暇ほしいとかいってたランクオーバーの奴数人いれるから、それでよし」



「………ギルドのランクオーバーって大分大盤振る舞いですね」


「そりゃあ古代級は詠唱できるからねえ………まあ子供は未来の宝物だよ………この投資は無駄じゃあない………そんな事は君にもわかるだろ?」



「………まったくですね」


レイはくすりと笑う。



一週間後。




見違えるような村がそこにあった。きちんとした瓦の屋根にどこか懐かしい地球の沖縄のような風景。南国にありながらも和を基調とする雰囲気は見る者を和ませる。



「まあ一週間にしたら上々か………名産も珈琲とパイナップルにしたし、てかこのパイナップルってはじめて食べたけどうまいな」



「ええ、たまたま苗を持っていたので(まあ作成したんですが)この気候にも会うし森に自生してた果物とかも色々と植えましたしね」



「まあ名物なんて時間をかけてみつけていくものだし、ゆっくりでいいよ」



ルビーはへらへら笑いながら楽しそうに言う。



とりあえずこの一週間で僕等がしたのは龍さん達に事情を説明して学校を建築するという事………それは予めどんなものを作るかを説明しやすいように簡略化した説明書を作成したので問題なかった。



以前ルビーに商業に関する学校という物が存在しないという事を聞いていたので僕は商業的要素と生活水準を上げる目的を兼ね備えた学校を作るという事を提案した。何故ならば文字を読める機会と数字を計算できる機会があればそれだけで生活は便利になるし、また商業の目利きや利益の勉強をしておけば将来お金の管理や使い方の意味にも困らない。彼らは一通りの教育を受けてきていない子供達だ、ならば多いくらいの学びの場があってもいいだろう。将来この村をけん引するのは彼らなのだから。



ホワイトはあらゆる国の指南書や教育書にも目を通していて知識量はかなりのものだった。自分の読解力や理解力もさることながら教える技能も非常に優れていて校長に相応しい人物だった。



龍さんにはそのまま体育を担当してもらい御自身の武術の指導を行って貰う事にした。シスター………名前は今知ったのだがシスターアマリアさんはそのまま保健の先生………治癒術がお得意だそうですので………他の教科の先生は南国に移住したいと希望を出していたルビーの部下が担当する事になった。



そして村の防衛にあたるのはギルド………民間の何でも屋とも言われる総合組合の中でも指折りの実力者であるランクオーバーの男女数名………正直国一つ滅ぼせるほどの実力者なのでさすがにルビーに聞いたのだが



「本人達がのんびりしたいっていってんだからいいじゃん、子供達も懐いてるし………てかそのランクオーバーより上の帝全員に勝利してるあんたが言う?クソワロタwww」



その言葉でレイは何も言えなくなり、シンさんはその様を見て爆笑した後そのまま旅に出ました。レイはきちんと終ったのを見ると幸運の食べれるクローバーを混ぜ込んだハニ―クッキーを作り子供達や龍さん達にふるまった後、その場を後にする事にしました。







和楽




「なんか最後の報告あたり少し疲れてない?」



「暑さのせいですかね」

ジーニアスの言葉にただ苦笑するしかなかった。



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