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ダンジョンで魔物料理店を開いたけど客が来ないので、ダンジョン配信者になって宣伝しようと思う。  作者: 猫額とまり
第5章 店長、地上にお出かけする

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第134話 用心棒


 ホムラ、イヴ、アルの前に現れたその建造物は、確かに止まり木亭であった。

 やや古びた印象の木造のログハウス。恐る恐る、三人は突如現れたそれに近づく。

 見た目も触感も木材そのもの。しかし、何かがおかしい。


「薄っぺらいの。適当に情報を拾い上げて作った、ハリボテのようじゃな」

「ボクもそこの魔王種……アルに同意だ。これは本物じゃない。情報をコピーして作った偽物だね」

「! 言われてみれば、なんだか存在感が薄い(・・・・・・)気がします。これが情報の密度、という感覚なんでしょうか……?」

「問題は、何故止まり木亭の偽物がボク達の前に出現したのか、だ。間違いなくバエルの仕業だろうけど、一体何の目的で……?」


 訝しげに偽の止まり木亭を睨むイヴをよそに、しかしホムラだけは別の違和感を覚えた。


「この店、外観が新しい」

「ん?」

「私、毎日店に通ってるからわかります。トオルさんの営む止まり木亭は、もう少し外観が古ぼけていました」

「……ふむ? 儂もあの下層にある店はチラッと見ただけじゃが、言われてみればもう少しボロかった気がするのう」


 それを聞いて、イヴが顎に手を当てて考え込む。

 この場の誰よりも、イヴはこの世界の仕組みについて詳しい。その頭脳が急速稼働し、バエルの目論見を推測する。


「店の外観が新しい……過去の情報を(・・・・・・)参照している(・・・・・・)

ダンジョン操作の権能をテストしているのか? いやそもそも、そんな情報どこで手に入れた。そもそもボクより強いあの魔王種は何なんだ――いや違う、違う。

今考えるべきなのはそれじゃない。今ボクたちの身に起こりうる、最悪の可能性(IF)を考えないと――」




 結論としては。イヴの危機察知は役に立たなかった。

 なぜならその可能性にイヴが思い至った時、既に()は三人を射程圏内に収めていたからだ。

 誰もそれを、寸前まで感知できなかった。それほどの実力差が存在していた。


「――なんだ、お前ら。また(・・)ウチの店に喧嘩売りにきた輩か?」


「なっ……」

「へぁ!?」

「うわ、最悪」


 ホムラ、アル、イヴの三人が揃って驚愕する。

 既に刀を抜き、三人を即座に斬り伏せられる状態で、その男は牙を剥き出しにして威嚇した。


「客なら通す、敵なら殺す。――いずれにせよ、用心棒(・・・)の俺を無視して通れると思うなよ?」



 そして、サカガワトオル(・・・・・・・)は――ホムラの知る姿よりも若々しい姿で、その獰猛な視線を向けた。





(三人称視点)


「このままじゃ俺絶対死ぬ」


 ずぶ濡れになった身体を焚き火で乾かしながら、ユダは歯の根を振るわせながらそう零した。


「やっぱりこんな訓練メニューおかしいって……絶対人間のやる事じゃないって。こんな訓練があと二日も続くとか無理だろ! 絶対俺死ぬって!」


 現在ユダ達訓練生の五人は、中層1階のキャンプ場まで戻ってきていた。

 正確には、ダブルヘッドドラゴンの超射程ブレスによってイカダが転覆し、水中で魔物に袋叩きにされていた所をトオルに助けてもらったのだ。


「だ、大丈夫ですか? ユダさん」


 三角座りで絶望していた彼の元に近寄ってきたのは、同じくイカダ下りを共にしたヒーラー、ヒヨリだった。

 転覆の際にいくらかダメージを負っていた五人だが、彼女の回復スキルのお陰ですぐに全員、全快していた。


「全然大丈夫じゃないです……この訓練、なんで協会は許可を出したんですかね? どう考えても難易度がおかしいですよ」

「正直私も、予想よりハードで驚いてます。けど幸い死人は出ませんでしたし、本当に危ない時はトオルさんが助けてくれましたし、何とかなるんじゃないでしょうか?」

「そりゃ、結果的には死人は出ませんでしたけど! でもこんな調子じゃ、絶対いつか脱落する人がでますよ!」


「んー、そこまで心配する必要はないと思うなー、ウチは」


 そこに割って入ってきたのは、同じくイカダ下りを共にしたパーティーメンバークライだった。


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