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ダンジョンで魔物料理店を開いたけど客が来ないので、ダンジョン配信者になって宣伝しようと思う。  作者: 猫額とまり
第5章 店長、地上にお出かけする

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第131話 神と等しきモノ


(一人称視点)


:うわあああああ

:イ、イカダーッ!!

:転覆しちゃった

:イカダ……いい奴だったよ


「あー、ダメだったか」


 時間停止の結界を張っておいたのでイカダは壊れこそしなかったものの、ダブルヘッドドラゴンの超遠距離ブレスであっさりひっくり返ってしまった。

 一発だけならともかく、連射されると五人ではまだ対処が難しいようだ。


「残念ながら今日の訓練はここまでですね。まあ三層まで下ってこれましたし、初回にしては良い出来なんじゃないでしょうか」


:だから中層の川下りとか普通やらねーんだわ

:水辺は危険なので極力近づかないのがセオリー。なんでそこをイカダ下りしようとか考えたの??

:死人がでたら炎上どころじゃ済まないが……


「一応安全マージンは取ってるけどね。本気で死ぬ気で訓練させるなら、とっくに深層に放り込んでるし。

んじゃ、そろそろ五人を回収してきまーす」


 危険を犯さずに強くなれるならそれが一番だが、そんな都合のいい方法は残念ながらない。

 ギリギリの極限状況でしか得られないものの方が、探索者にとってはずっと多いのだから。


「ホムラちゃんが居たら、もう少し良い方法もあったんだけどなー」


 ……ホムラちゃんとは現状、連絡が取れない。

 深層は電波も通っていないし、時間の流れも違うので当然といえば当然だが。

にしても、ちょっと帰還が遅すぎる気はする。


「やっぱり何かトラブルに巻き込まれたのかな? まあ、ホムラちゃんの実力なら大抵の事は何とかなるだろうけど」




 ……しかし、心配ではある。だから一応、救援要請(・・・・)は出しておいた。俺もこっちの計画で忙しかったから、時間の流れが違う深層に入れる状況ではない。だからあいつ(・・・)を呼んだのだ。


「あいつには、過保護と言われるかもしれないが。けど向こうもホムラちゃんに用事があるみたいだし、丁度いいでしょ」


  ……最近、個人的にちょっと、ホムラちゃんに肩入れし過ぎているかもしれない。

 あの自分の夢に真っ直ぐな所、昔の俺を思い出しちゃうんだよなあ。



(三人称視点)


「――本当に、人遣いの荒い奴だよ。全く」


 そして、深層2階――辺り一面に広がる荒野の真ん中で、イヴ・ドミネイトは愚痴を溢した。


「ボクだって、地上での立場があるから暇じゃないんだけどね?

……まあいずれにせよ、こっちに帰ってくるために長期休暇を取るつもりではあったけど」


 現在アメリカで動画配信サイト、Dチューブの運営会社の社長を務めている彼女は、厄災のトオル事件が解決した後、その後処理にしばらく奔走していた。

 そしてある程度の時が経ち、ようやくひと段落した所で、渋谷ダンジョンに帰還するために休暇を取ってきていたのだ。

 ……本来はトオルと今後の動きについて話し合う予定だったのだが、ホムラの様子を見てきてほしいと頼まれた結果、イヴ本人がここに来たのだ。


「うーんこの殺風景。やっぱ深層も早いとこ整備しときたいなー、そろそろ深層のボスモンスターも決めておきたい所なんだけど……魔王種達がなんか戦国時代みたく領土争いしてるみたいだし」


 このダンジョン本来の主、ダンジョンマスターである彼女は深層の光景を見て、そんな感想を呟くのみであった。


「ユニークモンスターも相変わらず紛れ込んでるし。ホントあいつらどこからでも湧いてくるなあ。迷惑度合いで言えばスギ花粉以上だ」


 植物人間のようなユニークモンスターが襲いかかってくるが、時空を捻じ曲げて適当に処理する。

 彼女はこのダンジョンの、あらゆる摂理を操ることができる。

 時間の流れ、空間の連結、その他有りとあらゆるものを操作できるのだ。

 この渋谷ダンジョンという小さな異世界において、彼女という存在は神に等しい。


「……お」


 そんな支配者イヴ・ドミネイトの前に、一匹の魔王種が姿を現した。

 透けた腹部から銀河を覗かせる巨大なカエル、【暴食】のバエルである。


「僅かにホムラちゃんの魔力を感じるね。もしかして食べられた(・・・・・)のかな?」

「ゲコッ」


 魔蛙は、低く鳴いて返事を返すだけである。


「……大人しく従う気は無いみたいだね。全くこれだから魔王種は。創造主であるこのボクに歯向かうとどうなるのか、その身にたっぷり教えてあげよう」





 深層時間で数分後。


「え、ええぇぇぇ!?? イヴさん!? どうしてこんな所に!?」


 魔王種バエルの内部世界。そこでホムラアカリは、粘液まみれで転がるイヴを発見した。


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