第127話 訓練(犠牲者)メンバーの自己紹介
(一人称視点)
「そんな訳で、今回集まってもらった五人の探索者の方々です」
シドウさんとの会談からしばらく経って、ひとまず中層1階にキャンプ場の設備と、五人のテスターを集めることができた。
あとは俺の用意した訓練メニューが、どの程度効果を発揮するかだ。
「く、訓練って、マジでやるんですか……? しかも、トオルさんが直々に?」
「正確にはメニューを考えただけで、俺が直接何かをする訳じゃないけどね。ただ今回は初回ということで、俺も訓練の様子を見守らせてもらいます。だからあんまり気にしなくていいよユダさん」
「いやいや、流石に無理があるでしょ……!」
元々この訓練メニューは、“俺がいなくても強くなれる”という方針で作ったものだ。
俺もかかりっきりで修行の世話なんてできないしね。
「さて、今回は五人でチームを組んでもらうんだけど……まずはお互いに自己紹介したほうがいいかな? スキルとか戦い方とか、そういう情報は最低限共有が必要だろうし」
そして協会から集められた五人は、それぞれのペースで自己紹介を始めた。
偶然か意図的か、俺の知っている人も混じっているが……まあ、やることは変わらない。
「じゃあトップバッターは私かな?
Aランク探索者、狗雷美香でーす! 副業で配信者もやってます♪
スキルは【雷術師】で、電気を使った攻撃やサポートが得意だよ! 本職ほどじゃないけど、前衛もこなせるからバリバリ頼っちゃってね★」
最初に自己紹介を始めたのは、お馴染みクライさんだった。
面会の時は来れなかったが、今回は都合がついたようで、テスターとして参加してくれるそうだ。
なお、今回のトレーニングの内容は配信を行うつもりでもある。ホムラちゃんと連絡がつかない現状、クライさんはこのコラボ配信の宣伝役となってもらうつもりだ。
「えと……湯田幸矢です。一応Cランクです。スキルは【水術師】で、弓矢とか水とか操作して遠距離攻撃ができます。
……あと、基本ソロなので、パーティーでの役割とかはあんまりわかりません……」
次に控えめな様子で自己紹介したのは、以前にお客さんとして来てくれたユダさんだ。
あまり自信がなさそうだが、ソロでCランクまで上り詰めたのは、本人の才覚と 努力の賜物だろう。決して卑下するような実力ではない。修行の効果次第では、一気に化けるかもしれないな。
「では次は僕が。Aランク探索者、真仮秋人です。スキルは【召喚術】。前衛から後衛、オールラウンダーでいけます。どうぞよろしく」
お次がマカリさん。この間の面談以来である。
なんというか、爽やか系王子様って感じだな。実力も十分だし、この五人組の中では、総合力では一番だろう。
……ただ、ちょっと挙動が怪しい所があるので、様子見かな。
「……深山ベルフェ。ランクはB。スキル、【影剣士】。役割は前衛。以上」
次は初対面の少女だ。フードのようなものを被っていて、表情らしきものも浮かべていない。クールで物静かな印象だ。
ただ、実力は相当なものだろう。下手すると、近接戦闘に限ればこの場で一番かもしれない。
「私が最後ですね……曙日和といいます! スキルは【回復術師】で、ヒーラーとして活動してます! 探索者ランクはDなので、一番下手っぴですね……でも、皆さんの足を引っ張らないように頑張ります!」
そして最後に元気いっぱいな自己紹介をしてくれたのは、こちらも初対面の背丈の小さな少女だ。
杖や医療道具を身につけているからなんとなくヒーラーだろうなと思っていたが、やはりそうだったらしい。パーティーにヒーラーがいると安定度が段違いだからな。ランクが低くても、この人選は妥当なものだろう。
「……さて、自己紹介も終わったし。とりあえず今後の内容をざっと説明しよう。今日を含めて三日間、皆さんにはこの渋谷ダンジョンで過ごしてもらいます。そして最終目標は中層の攻略……ダブルヘッドドラゴンの打倒です」
「……あの、トオルさん? なんかいま三日で中層攻略しようって聞こえた気がするんですけど」
「うんそうだよ」
「トオルさんここの難易度わかってますか!? ここ踏破できたらもうAランクなんですって!! なのにこれまで踏破できたのはたったの数十人だけですよ!?」
「でーじょうぶだ。とりあえず人間をやめれば中層程度なんてことはない。Aランクも二人いるしイケるイケる」
「え? 今すっごい不穏な単語聞こえましたよ? やっぱ帰っていいですか?」
残念だがユダくん。もうキャンセル期限は過ぎてしまっているんだ。
ここまでくれば一蓮托生! 全員揃って中層を攻略してもらうぞ!




