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ダンジョンで魔物料理店を開いたけど客が来ないので、ダンジョン配信者になって宣伝しようと思う。  作者: 猫額とまり
第5章 店長、地上にお出かけする

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第125話 テスターを招待してみた(三人称視点)


(三人称視点)


「絶対行きたくない」


 Cランク探索者、湯田幸矢(ユダユキヤ)はスマホの画面を見つめながら、そんな弱音を零した。


『前略。湯田幸矢殿は探索者協会にて実施される、特別強化合宿(・・・・・・)のテスターとして抜擢されました』


 数日前に探索者協会からこんなメールが届き、それ以降ユダは眠れぬ日が続いていた。


「なんだよ特別強化合宿って……なんで俺がいきなり抜擢されるんだ?」


 以前に『止まり木亭』の直接送迎キャンペーンに応募し、当選したことがあるユダだが、今回は全く心当たりがなかった。

 内容としては、渋谷ダンジョン中層にて、個人の戦力増強を目的として三日間の訓練合宿を行う、と書かれてあった。

 しかしテスター書いてあるということは、まだ試作段階ということ。要するに訓練が成功するかどうか、実験体を募集しているのだ。


「正直めちゃくちゃ胡散臭いから断りたいんだけど……これ、断ったら今後の評価に響くのかなぁ。うわぁ、行きたくねぇ……」


 まるで飲み会に誘われた新入社員のような心境で、ユダは力なく寝転がる。

 ユダは別に最強の探索者だとか、そういった夢を持ち合わせているわけではない。

 ただ成り行きで探索者になった結果、成り行きでCランクまで上り詰めたというだけである。

 自分が食うに困らないくらいの稼ぎがあればいい。それくらいのモチベーションで探索者をやっている。これ以上強くなりたいと考えることもなかった。


 でもそれはそれとして、協会から悪印象を持たれたくはない。


「断りたい……! でも協会から嫌な奴とも思われたくない……! あー! 隕石でも降って台無しにしてくれないかなぁ!!」




 そんな無駄な事を願いつつ数日経ち、一向に隕石が降る気配がなかったので、ユダは悩み抜いた挙句に『参加します』と返信した。



 そして半月ほどの時が経ち。

 ユダは渋谷ダンジョンの中層1階を訪れていた。


「えっなにこれ」


 ユダは渋谷ダンジョンの中層に、以前もソロで訪れたことがある。

 渓谷を再現した複雑な地形と、上層とは一線を画す魔物の強さに、その際は攻略を断念する結果となったが。


 しかし目の前の光景は、ユダの記憶にある中層とはかなり様相が異なっていた。


鬱蒼(うっそう)と生い茂っていた森林は切り開かれ、高低差のある地面は平らに(なら)されている。そしてログハウスのような巨大な建築物と、木製のテーブルやイスのようなものがいくつか並んでいた。


「なんか、林間学校の時に見たキャンプ場と似てる……え? どうやって作ったんだこれ?」


 ダンジョン内部での地形開発というのは簡単ではない。

 魔物からの妨害もある上、地質や環境自体にも常識が通用しない。地上での工法をそのまま持ってきても失敗することが多い。

 しかもここは世界最難関とも呼ばれる、渋谷ダンジョンの中層だ。果たしてこの魔境で、どんな手段を使いここまで大規模な開発をおこなったのだろうか?


「……いや普通に考えて絶対無理だよな。もしかしなくてもこれ、あの人(・・・)が関わってる案件じゃ……?」

「――あれ、ユダさん?」


 不意に声をかけられたユダ。

 その声の主は、やはり予想していた人物であった。


「トオルさん、やっぱりあなたの仕業だったんですね……」

「久しぶりー! 前にお店に来てくれたよな? ユダさんも協会に呼ばれてたんだ」


 止まり木亭店長、サカガワトオル。

 下層で店を開いているはずの人物が、なぜか中層の1階に姿を現した。


「お、お久しぶりです。……この場所って、もしかしなくてもトオルさんがやったんですか?」

「ん、ああちょっと(・・・・)ね。ダンジョンに詳しい知り合いがいるもんで、そいつに手伝ってもらったんだ。俺は結界張ったり、魔物とか追っ払ったりしてただけだよ」


 そりゃそうか、とユダは納得した。

 ダンジョン土地開発だなんて、トオルにとっては対して難しい作業ではないだろうからだ。

 それよりも、トオルがこんな場所にいる理由の方が気になった。


「俺は今日、強化合宿をするって言われて来たんですけど……トオルさんが呼んだんですか?」

「あー、計画を立てたのは俺だけど、人選の方は協会に任せたんだよ。|俺の考えた訓練メニュー《・・・・・・・・・・》についてこれそうな人材を、適当に見繕ってくださいって」

「え」




「止まり木亭の経営戦略その一。『探索者全体のレベルを引き上げる』……その為の訓練メニューを、俺が考えた。今から始まるのは、それが通用するかどうかのテストだ」


 あ、これガチで死ぬかもしれん。とユダは自分の選択を後悔した。


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ユダくん案外強いのか?
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