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ダンジョンで魔物料理店を開いたけど客が来ないので、ダンジョン配信者になって宣伝しようと思う。  作者: 猫額とまり
第5章 店長、地上にお出かけする

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第120話 コラボ配信のお誘い


(三人称視点)


 ――士道大元(しどうだいげん)の元にその連絡が入ったのは、一連の洗脳事件の首魁が倒されたと聞いた、少し後のことだった。


「よりにもよって、このタイミングか……」


 せっかく洗脳危機を協会や政府に伝達できたと思ったら、翌日にはその黒幕が倒されるという急展開に忙殺(ぼうさつ)されていたシドウ。

 丁度その混乱がひと段落つき、久方ぶりの休息を取ろうと思った矢先の出来事であった。

 正直シドウは無視しようかとも考えたが、送り主の名を見てしまった以上、流石に無視するわけにはいかなかった。


 メールの送り主は、サカガワトオル。

 以前ダンジョン協会の本部に彼を招いた際、何かあった時のために連絡先を交換しておいたのだ。

 メールの内容は、要約すると“コラボ配信しませんか”という事だった。


「……このタイミングでの打診。偶然ではないだろう。何か考えが……?」


 以前に一度、トオルからコラボ配信の誘いがあった時は、“自分だけでは判断できない”という理由で一旦断っていた。

 しかし、その数日後に再びの打診。そしてシドウは、この一連の混乱の中心に、サカガワトオルが居た事を知っている。

 アメリカのある筋から(もたら)された情報では、この黒幕を打倒したのはサカガワトオルだというのだ。

 彼もその情報については真実だと考えていた。流石に黒幕がもう一人のトオルだとは想像すらしなかったが。


「難しい判断だ。だが、やるとしたら逆に今か?」


 今、サカガワトオルの人気は世界中で急上昇している。

 イギリスでのアヴァロン大迷宮のダンジョンブレイク。それを終息させた英雄として、彼を英雄視する人物やマスコミが一気に増えたのだ。

 事実、イギリスからも協会宛に、幾つかコンタクトがきている。現状トオルとダンジョン協会は何の関係もないので、お引き取り願ったが。


 しかし。もしトオルとダンジョン協会が、正式にコラボを組んだならば。

 急上昇しつつあるトオルの人気の恩恵を授かれるのではないだろうか?


(……現にここ数日。渋谷ダンジョンへ立ち入る探索者の数は急増している。あわよくば一目、サカガワトオルに会いたいという目的なのだろう。

彼は滅多に表に姿を現さないが、そこを交渉次第で上手くできれば……?)


 正直、この提案はシドウにとっても渡りに船であった。

 日本のダンジョン協会は今、トオルに対する扱いで意見が割れている。

 好ましい状況ではない。そこにこの洗脳騒ぎだ。シドウは組織としての安定を、一刻も早く取り戻す必要があると考えていた。

 ……トオルの力を借りれば、その強力な話題性で無理矢理一つの方向にまとめられるだろう。口うるさい他の理事も、洗脳騒ぎにいち早く対応したシドウの立場と、トオルが生み出す莫大な利益で黙らせる。


「もしかすると彼は、これを見越してこのタイミングでメールを送ってきたのかもしれないな」


 その深謀遠慮(しんぼうえんりょ)にシドウは内心で戦慄しながら、ある人物に連絡をとった。

 メールには一度、止まり木亭で直接話し合いたいと記載されていた。

 トオルがいるとはいえ、ダンジョンに潜るのにシドウ一人だけというのは体裁上よろしくない。


「クライは別件(・・)にかかりきりで動かせない。となると今動けるSランク探索者は……」



「これはこれは、またとない機会がやってきましたね」


 都内某所にて。

 日本に十人いるSランク探索者の一人、真仮秋人(まかりあきひと)は、シドウから送られてきた連絡を見て、そう呟いた。


「僕と同じ【召喚術】のスキルを持つ、別世界の人間。以前から興味がありました。これまでは抽選に当たらず、来店する事もできませんでしたが……まさか、お仕事として向かうことになるとはね」


 彼は少し前までは、国内最強の探索者として世界に名を()せていた。

 しかしトオルが現れてからはその影は薄くなり、ホムラが世界最強の探索者になるころには殆ど話題にも挙がらなくなっていた。


「面白い。見極めさせてもらいましょう。サカガワトオルという存在を」


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