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colorS  作者: オレンジタイフーン


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40/41

#40

「#40」



ゴミ処理施設への突撃を開始したミスターノーズ、マスター、サラの3人。


裏口の守衛を軽くあしらうと左右に伸びる廊下が見えた。


「私は右へ行く、君達は左を任せた‼︎」


ノーズの言葉にマスターとサラは頷く。


背中で駆け足を感じる。


廊下には部下と思われる人間が失神したり、関節を外されたりして…


戦闘不能で戦意喪失していた。


「シュガーさんってのはメチャクチャ強いんだな、サラくらい格闘術に秀でていそうだ…」


サラは何故か嬉しそうだ。


今も飛びかかってきた部下達を同じように無力化していくサラ。


こんなのが日常だった。


そんな2人だから、尚更…


愛娘の美優希をなんとしても守りたい。


軽業師のようにヒョイヒョイと階段を駆け上がっていく。


そうやって駆け上がって何分経っただろうか…


ブレスレットの液晶がシュガーの位置を知らせる。


目的地らしい…


アミアミの床が広がる場所へたどり着く。


天井が近い…


キャットウォークを登ってタラップを登れば屋上に出られるのだろうか?


高所恐怖症なら下を見ることが出来ないだろう。


十数メートルくらいはありそうだ。


目の前に広がる景色。


ドラム缶や一斗缶、様々な資材が積まれている。


機械油が染み付いたウエスやワイヤーの端材が転がっているくらい…


あとはトラス構造の柱と一体化したクレーンが数機見えた。


大きな換気扇が騒音を立てて回転していた。


ゴミや下水のような臭いが鼻をつく。


「発信機だと、この辺にシュガーがいるはずだ…」


「ドコ…」


2人は背中合わせになり、周囲を見回した。


…………………………


……………………


………………


…………


……





同じ頃…


ミスターノーズも座敷牢があるはずだと探索していた。


誠次の部下達は鼻毛の存在に気付くと恐れ慄いて逃げ出した。


「オレ達で赤鬼とやり合うなんざ、無理だろうよ‼︎」


部下の1人が悲鳴にも似た叫び声を上げる。


ここでは、そのくらいヤバい存在として認識されていた。


赤鬼の異名は伊達では無いようだ。


手当たり次第の探索。


ただ勘は当たっていたらしい。


遠くから声が聞こえてくる。


逃走する部下が赤鬼が来たと叫び声を上げるものだから座敷牢の中の人物も気付いて助けを求めて声を上げる。


「おやぶーん、おやぶーん‼︎」


「助けてーぇぇ‼︎ 誰かー‼︎」


ノーズには聞き覚えのある声、恐らく細川だ、もう1人の若い女性の声は…


その声が聞こえてくる部屋のドアを蹴飛ばしてぶち壊す。


鍵を持っていそうな部下、見張り番の人間さえいなかった。


荒っぽいが施錠されたドアを蹴破る。


手っ取り早い。


部屋の中は鉄格子の座敷牢。


牢は真っ直ぐな鉄の棒で作られたシマウマのようだった。


ノーズは座敷牢の中の人物に声をかける。


「ん…細川か、そっちは…若菜ちゃんだな?」


ノーズの言葉に静かに頷く女性、極道時代からの部下で家族同然の細川は助かったと安堵の溜め息をついた。


「親分、鍵は誠次の部下の副島ってヤツが持ってます…」


不安そうに見つめる若菜。


「鍵?

うははは…

そんなもの必要無い‼︎」


ノーズは座敷牢の鉄棒を力まかせに…左右に思いっきり引っ張って広げようとする。


「え…無茶ですよ…」


若菜が、そう言いかけた時…


………………


…ギ、ギ、ギ、ギ…カゴン‼︎


嘘みたいにひしゃげられた鉄棒。


「すまない、通りづらいだろうが出てくれ…」


思ったよりも広げられなかった…


ノーズは全盛期程の力は無くなったかと落胆していた。


「流石、赤鬼の親分だ‼︎」


「なんて力、ケンジさんが言っていた通りの凄い人ですね…」


そう言う2人の手首には手錠が光っていた。


「ご丁寧に手錠もか?」


ノーズは若菜の手錠を手に取る。


「すまない、少し痛いかもしれん。」


ノーズは強引に手錠の鎖を引きちぎる。


バチン!という音と共に弾け飛ぶ鎖。


「嘘‼︎」


若菜は手首に出来た擦り傷の痛みよりも、目の前の光景に驚きを隠せない。


「細川、若菜ちゃんを連れて逃げろ!


裏口の近くに大型の白いワゴン車が停まっている…


レディスノーという味方がいる…


それから若菜ちゃん、前嶋君は私が助けてみせる…


安心して逃げなさい、いいね、戻るんじゃ無いぞ‼︎」


ノーズはブレスレットを見て駆け出した。


背中越しに若菜の声が聞こえる。


「ケンジをよろしくお願いします‼︎」


ノーズは親指を立てる。


頼もしい背中だと若菜はホッと胸を撫で下ろした。



………………


ダン、ダン、ダンと地響きがする…


正しく赤鬼と言わんばかりの憤怒の表情…


力強い足取りで駆け抜けるノーズ。


ブレスレットの液晶が目的地を知らせる。


クレーンの見えるアミアミの床のフロアに到着する。


どこにシュガーがいるのかと辺りを見回す。


………………‼︎⁉︎


かなり遠くにマスターとサラが見え

た。



……………………


………………


…………


………


……



辺りを見回すマスターとサラ。


足元に何かが転がってくる。


「スタングレネードッ‼︎」


「チッ…クソ‼︎」


ものすごい爆音と目の前が真っ白になる閃光が炸裂する。


何も見えない、聞こえない…


漆黒の闇へ落とされたみたいだ。


「はいはぁい…平和ボケしたなぁ、フィナーレは‼︎」


耳栓とアイマスクを投げ捨てる…


薄笑いを浮かべた誠次は…その言葉と共に銃を連射する。


心臓を狙ったものの、マスターの左肩と右太腿を貫いた。


突然の衝撃にマスターは膝をつく。


噴き出した血液の温度で撃たれたのが左肩と右太腿だと気づいたマスター。


右太腿は…動脈を貫かれたのか…


出血の勢いが凄まじい…


身体に力が入らない、意識が遠退きそうになる。


アミアミの床をすり抜けて血の雨が降る。


ここで倒れる訳にはいかないと踏ん張る。


サラはどうなった、撃たれたのか?


マスターの脳裡にサラの笑顔がよぎる。


もう一度でいいからサラを抱きしめたい………


突然の紫煙の香りに銃が撃たれたと気付いたサラ。


きっと撃たれたのはマスターだと直感するサラ。


こういう時の悪い予感は昔から的中してきた。


「ダーリン‼︎」


そう叫び声を上げる。


その声を遮るように…


首元に冷たいものが当たるのに気づいた…


「サラさん、お願いだから動かないでくれよ…」


前嶋はサラの耳元で静かに囁く。


しかし、聞こえるはずもない。


サラは首元の冷たさで刃物を押し当てられたのだと直感する。


「マッケンジー⁉︎」


小声で尋ねた。


前嶋はサラの靴に…自分の靴で2回ノックする。


フィナーレの時に決めたイエスの意味の合図だ。


直感は確信に変わる。


………‼︎


ドラム缶の壁が蹴り飛ばされて崩れてきた。


蹴り飛ばしたのは副島だった。


そのドラム缶の壁の後ろには…


椅子に拘束されているシュガー。


口元は油汚れを拭き取ったウエスで猿ぐつわをされていた。


シュガーも爆音で耳は聞こえちゃいなかった。


しかし、ドラム缶の壁で視界は保たれていた。


言葉にならない声を上げる!



『ヴァァァァァァァァァァァーー‼︎‼︎‼︎』



このフロア全体に、その断末魔のような叫び声が響き渡る。


やまびこのように壁や天井に反響する声…


床には出血多量で這いつくばるマスター。


首元にナイフをあてがわれて拘束されているサラ。


拘束されているシュガー。


絶体絶命であった。



この状況を雪乃は、何も出来ずに音だけを手掛かりに祈るばかりであった。



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