表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
羽の唄――二羽の鳥の生きた証  作者: Kentarou Tou / Kentarou Theater


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/10

第五話「危険が来た」


蛇は、下から来た。


幹を伝って、静かに上がってきた。


音がしなかった。


気配だけがあった。



もう一羽が最初に気づいた。


体が、固くなった。


羽が、立った。


卵を温めながら、下を見た。


幹の途中に、蛇がいた。


灰色の体が、幹に巻きついていた。


頭が、上を向いていた。


目が、巣の方を見ていた。



もう一羽は声を出した。


鋭い声だった。


いつも出す声とは違う声だった。



降りてきた鳥が、遠くの木から飛んできた。


巣を離れていた。食べ物を探していた。


しかし声を聞いた。


体が動いた。


考える前に、飛んでいた。



杉の木に戻った時、蛇は幹の半分まで上がっていた。


降りてきた鳥は、蛇に向かって飛んだ。


翼で打った。


くちばしで突いた。


蛇は動いた。しかし止まらなかった。


また打った。また突いた。


蛇はゆっくりと、また上がってきた。



その時、影が来た。


大きな影が、上から落ちてきた。


老いた鷹だった。


鷹は蛇の頭を掴んだ。


大きな爪で。


蛇が体をくねらせた。


鷹は、蛇を掴んだまま、飛び上がった。


そのまま、遠くへ飛んでいった。



静かになった。


降りてきた鳥は、幹の近くに止まっていた。


羽が乱れていた。


巣に戻った。


もう一羽が、卵の上にいた。


卵は、無事だった。


三つとも、そこにあった。



二羽は並んだ。


何も言わなかった。


言葉がないから。


しかし、並んで、卵を見た。


卵は動かなかった。


ただ、そこにあった。


温かかった。



夕方、老いた鷹が戻ってきた。


高い枝に止まった。


二羽は鷹を見た。


鷹は、二羽を見なかった。


遠くを見ていた。


しかし、近くにいた。


それでよかった。



夜になった。


降りてきた鳥は、巣の縁に止まった。


もう一羽が卵を温めていた。


月が出た。


山が、青白く照らされた。


卵が、月の光の中にあった。


降りてきた鳥は、その夜、巣の縁から離れなかった。


朝まで、そこにいた。



(第五話 了)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ