表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
羽の唄――二羽の鳥の生きた証  作者: Kentarou Tou / Kentarou Theater


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/10

第三話「嵐の夜」


夜、嵐が来た。


最初は風だけだった。


杉の梢が激しく揺れた。葉が落ちた。小枝が折れた。


それから雨が来た。


横から打ちつける雨だった。


二羽は巣の中にいた。


体を低くして、羽を広げて、互いに寄り添っていた。


雨が巣に当たった。


巣が濡れた。


内側の枯れ草が湿った。苔が重くなった。



風が強くなった。


巣が揺れた。


大きく揺れた。


降りてきた鳥が、巣の縁をくちばしで押さえた。


もう一羽も、反対側を押さえた。


雨が降り続けた。


夜が続いた。


二羽は動かなかった。


飛び立てば安全な場所があったかもしれなかった。もっと大きな木の、もっと深い場所に、雨が当たらない穴があったかもしれなかった。


しかし二羽は巣を離れなかった。


まだ完成していない巣だったが、離れなかった。



夜中に、風が最も強くなった。


巣が、大きく傾いた。


内側に積んでいた枯れ草が、一部落ちた。


外側の枝が、二本、取れた。


それでも、巣は残った。


壊れなかった。


二羽は巣の中にいた。



夜明け前に、雨が止んだ。


風が静かになった。


山が、濡れて、静かになった。


二羽は巣の中で、顔を上げた。


空が明るくなりかけていた。


巣を見た。


外側が傷んでいた。枝が二本なかった。内側の草が薄くなっていた。


もう一羽が、巣の外に出た。


傷んだ場所を見た。


降りてきた鳥も、外に出た。


二羽で、巣の状態を確かめた。



朝になった。


二羽は、また枝を集め始めた。


前と同じように。


降りてきた鳥が枝を探した。もう一羽が巣を整えた。


抜けた二本の枝の代わりを探した。内側の草を足した。


昨日の嵐がなかったかのように、また作り始めた。


いや、そうではなかった。


嵐があったから、弱い部分が分かった。


今度はその部分を、少し厚めに作った。



老いた鷹が飛んできた。


いつもより低い場所を飛んだ。


巣のある杉の木の近くを、ゆっくりと旋回した。


一周して、また高いところへ戻った。


確かめに来たのかもしれなかった。


二羽が無事かどうかを。



昼には、巣がほぼ元通りになった。


嵐の前より、少し丈夫になった。


二羽は並んで、できあがった巣を見た。


また同じことをした。


降りてきた鳥が巣の中に入り、丸くなった。


ちょうどよかった。


もう一羽も入った。


並んで座った。


空が見えた。


昨日の嵐のあとの、澄んだ空が。



(第三話 了)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ