表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
羽の唄――二羽の鳥の生きた証  作者: Kentarou Tou / Kentarou Theater


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/10

第二話「巣を作り始める」


枝を探すのは、降りてきた鳥の仕事になった。


自然にそうなった。


朝、二羽が並んで目を覚ます。空が白くなる。降りてきた鳥が先に飛び立つ。枝を探して、山を回る。細い枝を、口にくわえて戻ってくる。


もう一羽は、巣を作る場所を決めていた。


山の中腹の、大きな杉の木の股の部分だった。二本の幹が別れていくその角に、平らな場所があった。風が当たりにくかった。雨が直接かからなかった。下からは見えにくかった。


もう一羽は、その場所をよく見ていた。


枝を持ってきた降りてきた鳥に、その場所を見せた。


降りてきた鳥は、その場所を見た。


いい場所だと思った。


自分では気づかなかった場所だった。



枝を積んだ。


細い枝を積んで、丸い形にした。


内側に、柔らかいものを敷いた。


枯れ草を集めた。羽毛を集めた。苔を集めた。


降りてきた鳥が外の枠を作り、もう一羽が内側を整えた。


自然にそうなった。


どちらが決めたわけでもなかった。


二羽が動いていると、自然にそうなっていた。



山の高いところに、老いた鷹がいた。


大きかった。翼を広げると、二羽の体が並んでも余るほどだった。羽が灰色で、目が金色だった。


その鷹は、毎日、二羽を遠くから見ていた。


狙っているわけではなかった。


ただ、見ていた。


二羽は鷹の存在を知っていた。大きな鳥が高いところにいることを、体が知っていた。しかし怖くはなかった。怖い気配がなかった。


ある日、もう一羽が、鷹の方を見た。


鷹も、もう一羽を見ていた。


しばらく、遠くから視線が交わった。


それだけだった。


しかし次の日から、鷹は少しだけ近い木に移動してきた。



巣が、ほぼできた。


二羽は並んで、できあがりつつある巣を見た。


まだ完成ではなかった。隙間があった。内側が少し薄かった。しかし形になっていた。


降りてきた鳥が、巣の中に入った。


丸くなってみた。


ちょうどよかった。


もう一羽も、中に入った。


少し狭かった。しかし、二羽で入れた。


並んで、巣の中に座った。


空が見えた。


杉の葉の間から、青い空が見えた。


風が吹いた。


巣が、少し揺れた。


揺れても、壊れなかった。



老いた鷹が、遠くで鳴いた。


一声だった。


二羽は顔を上げた。


鷹は、もう別の方向を見ていた。


しかし、鳴いた方向は、二羽の巣のある杉の木の方だった。


何かを言ったのかもしれなかった。


何を言ったかは、分からなかった。


しかし悪いことではなかった気がした。



(第二話 了)



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ