第二話「巣を作り始める」
枝を探すのは、降りてきた鳥の仕事になった。
自然にそうなった。
朝、二羽が並んで目を覚ます。空が白くなる。降りてきた鳥が先に飛び立つ。枝を探して、山を回る。細い枝を、口にくわえて戻ってくる。
もう一羽は、巣を作る場所を決めていた。
山の中腹の、大きな杉の木の股の部分だった。二本の幹が別れていくその角に、平らな場所があった。風が当たりにくかった。雨が直接かからなかった。下からは見えにくかった。
もう一羽は、その場所をよく見ていた。
枝を持ってきた降りてきた鳥に、その場所を見せた。
降りてきた鳥は、その場所を見た。
いい場所だと思った。
自分では気づかなかった場所だった。
枝を積んだ。
細い枝を積んで、丸い形にした。
内側に、柔らかいものを敷いた。
枯れ草を集めた。羽毛を集めた。苔を集めた。
降りてきた鳥が外の枠を作り、もう一羽が内側を整えた。
自然にそうなった。
どちらが決めたわけでもなかった。
二羽が動いていると、自然にそうなっていた。
山の高いところに、老いた鷹がいた。
大きかった。翼を広げると、二羽の体が並んでも余るほどだった。羽が灰色で、目が金色だった。
その鷹は、毎日、二羽を遠くから見ていた。
狙っているわけではなかった。
ただ、見ていた。
二羽は鷹の存在を知っていた。大きな鳥が高いところにいることを、体が知っていた。しかし怖くはなかった。怖い気配がなかった。
ある日、もう一羽が、鷹の方を見た。
鷹も、もう一羽を見ていた。
しばらく、遠くから視線が交わった。
それだけだった。
しかし次の日から、鷹は少しだけ近い木に移動してきた。
巣が、ほぼできた。
二羽は並んで、できあがりつつある巣を見た。
まだ完成ではなかった。隙間があった。内側が少し薄かった。しかし形になっていた。
降りてきた鳥が、巣の中に入った。
丸くなってみた。
ちょうどよかった。
もう一羽も、中に入った。
少し狭かった。しかし、二羽で入れた。
並んで、巣の中に座った。
空が見えた。
杉の葉の間から、青い空が見えた。
風が吹いた。
巣が、少し揺れた。
揺れても、壊れなかった。
老いた鷹が、遠くで鳴いた。
一声だった。
二羽は顔を上げた。
鷹は、もう別の方向を見ていた。
しかし、鳴いた方向は、二羽の巣のある杉の木の方だった。
何かを言ったのかもしれなかった。
何を言ったかは、分からなかった。
しかし悪いことではなかった気がした。
(第二話 了)




