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03:「あ、すみません」

 そこに居たのは、魔族ばかりいる城では場違いなほど大きく白い翼が背中から生えている、金髪金眼のどこからどう見ても天使な少女だった。

 あれ、ここ魔族の城じゃなかったの!? と戸惑ってしまうが、暫く考えると何故彼女のような天使がここに居るのかが分かった。

 魔族という言葉の定義と範囲は以外と曖昧なのだ。魔法を使える知的生命体を魔族、魔法を使えない知的生命体を人間と呼んでいるだけのことだ。まあ、人間にもたまに魔法が使える人間が生まれるけど。

 ようは、天使も魔族に分類される生物なのだ。だから天使の少女がここに居ても別に不思議ではない。

「さっきから鏡の前に立ってぶつぶつ独り言を仰っていますけど、大丈夫ですか?」

 心配している様子で、天使の少女は僕に近寄る。ああ、この人生(もとい魔生)を踏み出して初めて人の温かみを感じたよ――。って、ちょっと待て。

 別にひとりでしゃべってたわけではない。僕はちゃんと女神様と話してて……。ってまさか。

「もしかして、女神さまの声って、他の人には聞こえないんですか?」

「当たり前じゃないですか」

 ああ、やっぱり、と僕は肩を竦めた。これじゃあ女神というより唯の疫病神だ。そんな僕の反応を見て女神はまた笑ってるし。

「だ、大丈夫です。ちょっと頭痛がするだけなので」

「頭痛が!? すぐ病院に行きましょう! 今すぐに!」

「あ、いいえ、大丈夫です。痛いといっても少しだけなので」

「いいえ、少しだけでも痛いなら病院に行きますよ!」

 誤魔化すために仮病を使ってみたけど、逆効果だったみたい。天使の女の子は只管病院に行きましょうと僕の腕をひっぱる。

 ああ、どうしよう。病院に行ったって僕お金とか持ってないしな。というか魔族に病院なんて要るの? 治癒魔法があるのに。

 まあ、仕方がない。ここで断ったりしたらせっかく心配してくれてるのに失礼だし、行きながらでもお金を持っていないことを説明すればいい。行ってみよう。ああ、自分の人の良さが嫌になってきた。



 この城は、様々な生活に必要な施設が整っているらしい。

 広場から少し外れて階段を上り上の階に行くと、そこには確かに病院らしき場所があった。途中通った場所も商店街のような雰囲気を持っていたし、魔族の城というのは一つの街も同然のようだ。

 さっきまで通った場所やそれ以外の城の内装の壁は茶色のレンガだったのだが、この部屋だけは白くレンガ造りではないようだ。薬品のあまりい感じのしない匂いが漂っていて、沢山ある棚には医学用具がギッシリと詰まっている。本格的な病院だ。

 自分がお金を持っていない旨を伝えても、天使の少女は「私のお金で払います」と治療費を出してくれた。本当は頭痛じゃないのにと心が少し痛いが、流石にここまで来て本当のことは言えず、僕は観葉植物が傍に置かれたイスに座って自分の番を待っている、冗談抜きで心が痛い。

「ユウ様はおられませんか?」

 看護婦らしき魔族に名前を呼ばれて、はいと返事して診察室に入った。ちなみにユウというのは病院で診察してもらうために名前は何ですかと聞かれ、女神に即席で作ってもらった名前だ。名前の由来は女神曰く「元勇者だから勇者のユウです」らしい。

 診察室はあまり大きな部屋でなく、レントゲンの写真を張るボードらしきもののついた机の向こうに、この病院の先生らしき魔族が座っていた。白衣で胸には聴診器がかけられている。物腰柔らかそうな白髭の老人だ。

「どんな症状が出ているんだい?」

「ええっと……、少し頭が痛いんです」

 とりあえず正当回答。医者はふむと少し何かを考える動作をし、僕の体に聴診器を当てる。

 っておいお医者さん! 何勝手に人の服めくって聴診器当ててるんですか! 自分が女になっていることを意識してしまい、僕は聴診器を持つ医者の手を振り払ってしまう。

「あ、すみません」

 行動してから自分のやってしまったことに気が付き、僕は謝罪した。医者はまあいいという顔で再び僕の服をめくり聴診器を当て始める。

 我慢だ我慢だ。なんか無性に恥ずかしい気持ちが込み上げてくるんですけど。ああちょっとそんなに僕の顔見ないでください。なんかお医者さん心なしか鼻息荒くありません?

 こうして、僕にとっての地獄の診察が始まった。女神笑うな。

書いてから後悔するってこういうことですね。うん、性転換って難しい。

やっぱり自分男子ですから女性の気持ちを理解するのは難しいですし、何か「これ卑猥」と防御が脳で働いてあまり大それたこと書けませんし。

でも、頑張ってやっていきたいと思います。皆様これからも応援よろしくお願いします。

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